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6928 エノモト

東証P
1,603円
前日比
-5
-0.31%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
71.4 0.50 4.37
時価総額 110億円
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決算発表予定日

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エノモト Research Memo(4):技術力と適応力で荒波を乗り越えてきた


■エノモト<6928>の業績動向

1. ヒストリカルな収益動向
この20年程度を俯瞰すると、起伏の多い業績となっている。「産業のコメ」と言われる半導体関連メーカー向けに電子部品を製造供給しているため、外部環境にある程度左右されるのは仕方なく、高い技術力と適応力で荒波を乗り越えてきたと言うことができる。1990年代はパソコンの普及やデジタル化の流れのなかで半導体向け需要が拡大したが、21世紀に入ってITバブル崩壊により業績が低迷。LEDの普及とともに業績は改善したが、2008年のリーマンショックを契機に再び業績が低迷した。リーマンショック後は業績回復に時間がかかっているが、これは、リーマンショック後のリストラが東日本大震災によって後ろ倒しになったところに、急激な円高で中韓の電子部品メーカーが低価格で参入してきたことが理由で、2013年3月期に当期純利益が大きな赤字を記録する要因となった。このため2014年1月に改めて構造改革をスタート、1987年進出で高コスト化していたシンガポール工場の解散を決議したほか、不採算の事業所や静岡工場を閉鎖して人員削減も行った。

構造改革の甲斐あって固定費が削減されたところに円安の追い風が吹き、スマートフォン向けの需要が拡大した。加えて、低採算品の値上げ交渉や高品質電子部品の販路拡大が進展、さらに、これまでの価格競争で市場を退出したメーカーが多く、スマートフォンのハイスペック化に対応できる「メイドインジャパン」品質の電子部品を安定かつ大量に供給できる、同社のようなメーカーが少なくなっていたこともあり、営業利益率は急改善することとなった。顧客側からすると、歩留まりの高さなど技術力やニーズへの柔軟な対応力が、同社を選択する理由になったと思われる。現在、装置産業であることに加えて精密化やハイテクノロジー化により参入障壁が高くなったこともあり、「残存者メリット」を享受しやすい環境になっていると思われる。さらに、LEDやスマートフォンに続いて、車載用電子部品市場が拡大する波にも乗りつつある。


2018年3月期業績は車載用などが伸びて超過達成
2. 2018年3月期の業績動向
2018年3月期の業績は、売上高22,103百万円(前期比14.1%増)、営業利益1,674百万円(同35.0%増)、経常利益1,601百万円(同21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,246百万円(同33.0%増)となった。期初予想に対しては、売上高で2,603百万円、営業利益で374百万円、経常利益で281百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で296百万円の超過達成となった。

2018年初に北米メーカー製スマートフォンの減産が報じられたりしたが、自動運転技術を中心とする自動車向け部品や、IoTを支えるセンサー関連部品の需要が拡大していることから、市場は大きな混乱もなく、むしろ堅調な成長基調を持続している。同社も車載向けやIoTセンサー関連の部品の需要が増加したが、こうした増売効果による限界利益の増加に加え、品質改善と製造コスト低減を目指して生産プロセスの自動化や効率化を推進してきたこともあり、2ケタの増収増益を達成した。なお、出荷増や東京証券取引所市場第2部への市場変更関連費用などにより、販管費率の改善は大きく進まなかった。また、元高やHKドル安、期末の円高によって為替差損が発生し、営業外収支はマイナスに転じた。なお、期初予想に対して業績が超過達成したのは、自動車向け部品と海外工場での高付加価値製品の受注が見込みを上回ったためである。

製品群別では、IC・トランジスタ用リードフレームは、車載向けを中心に国内生産、海外生産ともに好調に推移した。自動車の電装化率の上昇と一部民生用機器向け部品の需要が引き続き堅調に推移し、売上高は7,870百万円(前期比9.9%増)となった。オプト用リードフレームは、2020年開催予定の東京オリンピック向けに底固い需要環境にあり、競技場や競馬場の大型ディスプレイやデジタルサイネージ、大型テレビ向けなどの出荷数量が増加した。しかし、低価格化による販売単価の下落が進行したため、売上高は3,050百万円(同2.6%増)にとどまった。コネクタ用部品は、フィリピンで生産する車載向けが堅調に増加、スマートフォン向けも新規モデルの部品向けがおおむね好調に推移し、売上高は10,478百万円(同22.3%増)となった。その他はリレー用部品が伸び、売上高は703百万円(同6.2%増)となった。なお、用途別では、車載向けが堅調に伸び、北米新モデル向けの低迷が懸念されたモバイル向けは、中国向けと北米旧モデル向けに伸びたため横ばい圏にとどまった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ

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