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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6866 HIOKI

東証P
6,320円
前日比
-750
-10.61%
PTS
6,345円
13:41 04/16
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 2.31 3.16 5.39
時価総額 886億円
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中村潤一の相場スクランブル 「春風に舞う、大いなる反撃株8選」


minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 寒さもようやく緩んできました。鎌倉界隈では、民家の垣根越しに至極当然の面持ちで咲き誇る紅梅が春を告げています。2月初旬から中旬にかけて強烈な北風にあおられた株式市場も、三寒四温の足取りながら戻り歩調に転じてきています。

 前回の2月14日配信の当コラムで、騰落レシオから判断して全体相場は目先的にリバウンドの機が熟しているとしましたが、同日が大勢底入れの日となるとは正直考えていませんでした。外国人の苛烈な先物への売り仕掛けには、感覚的にまだ先があると感じ、いったん戻っても再度下値を試す場面が2月中にあるとみていました。実際、アルゴリズム取引による下方圧力は残っていたと思われますが、相場の地合いは強く、米国株を先導役に売り方による踏み上げ的な反騰劇が演じられる形となり、一番底が確認されました。ただし、セリングクライマックスなしの戻りで、まだ完全に立ち直ったとはいえない部分があります。

●まだ楽観できる段階とはいえない株式市場

 注目されたパウエルFRB新議長の議会証言(下院)は、当初28日予定から議会の都合で1日前倒しされる形で27日に行われました。ここまで米国株市場は年3回の利上げかそれとも4回なのかで振り回された感もありますが、どちら寄りのシナリオかをはっきり示唆するような発言は回避されることが当然の流れ。市場関係者の声としては「(パウエル氏)は奇をてらうことなく淡々と米経済の見通しおよび、前議長を踏襲した政策スタンスを述べただけ。タカ派寄りでもハト派寄りでもなく、あとは取り巻くメディアのオピニオンリーダーが市場の思惑に合わせて後講釈のコメントをつけたに過ぎない」(準大手証券)という見方が的を射ていると思われます。

 ただパウエル氏の発言を、固唾を飲んで見守ったマーケットが、その後どういう反応を示すのかは、内容云々に関わらず現在の相場の基礎体力を確認するうえでも重要でした。NYダウは前日(27日)に約300ドルの下げをみせ、これ自体は戻り一服といえるもので、不穏なムードにつながるとも思えないのですが、直近に踏まされた(買い戻しを強要された)海外ヘッジファンドが再度うごめく可能性がないとは言い切れません。米長期金利の3%ラインがひとつの導火線になるケースも考えられ、引き続き金利動向を横目に慎重さを失わず、腹5分目の投資姿勢で構えておくところだとは思います。

●半導体関連に復権の季節が訪れる

 ただし、世界経済の強さは本物です。その流れを象徴するのが急落前の高値水準まで浮上したフィラデルフィア半導体株指数の動き。半導体関連銘柄は復権の様相をみせています。ビッグデータIoTの普及を背景とするデータセンター増設などで半導体メモリーやロジックの需要が拡大、スマートフォンの高機能化やエレクトロニクス武装が進む自動車向けでも半導体需要が強く喚起されることで、構造的な追い風が止むことはありません。

 これまでスーパーサイクル入りが言われる一方で、最近は先行きの需要に懐疑的な見方も出ていたことから、米国市場ではインテルやアプライドマテリアルズ、エヌビディアやザイリンクスといった業界を代表する株が一時大幅な調整を余儀なくされました。しかし、ここ2年にわたって半導体関連の押し目は100%買い場でした。そして、結果的に今回もそうなったわけです。

 米国株に追随する形で東京市場も同関連銘柄に春風が吹き始めています。為替の円高は重荷ながら、逆にこれが望外の仕込み場を提供しているともいえます。為替動向に目を奪われがちですが、忘れてならないのは最初に需要ありきなのです。東京エレクトロン <8035> やSUMCO <3436> の戻り足はまだ控えめとはいえ上値を指向しており、つれてその周辺銘柄で出遅れ妙味のある銘柄を探す動きが水面下で活発化しています。

【浜井産は半導体関連の穴株で出遅れ修正の初動】

 半導体関連でまず注目したいのが、浜井産業 <6131> [東証2]です。ラップ盤・ポリッシュ盤などの精密工作機械を手掛けており、半導体シリコンウエハー向けで収益環境には強いフォローの風が吹いています。自動車向けでは歯切り金属加工のホブ盤が収益に貢献、18年3月期は営業損益段階からの黒字化、19年3月期は50%以上の利益伸長が見込まれます。株価も200円以下と低位で値ごろ感が強いうえ、チャート的にも底値離脱の初動にあり、出遅れ修正余地は大きいでしょう。

【HIOKIも韓国・台湾半導体関連向け需要開拓】

 HIOKI <6866> は25日移動平均線をサポートラインとする下値切り上げ波動を継続、調整局面で上方カイ離を解消している時価は買い場といえます。同社は電気計測器を中心とする研究開発型メーカーで、アジア展開を強化するなか韓国や台湾の半導体関連メーカーに高密度計測技術が採用されるなどその技術力の高さは証明済み。今後、半導体関連分野での活躍余地が期待されます。さらに、世界的な電気自動車(EV)シフトの動きが強まるなか、バッテリーテスターが大幅な伸びを示しており、中期的な成長エンジンとして業績を後押しすることが考えられます。

【アルコニックスは半導体装置向け部品で商機】

 半導体製造装置関連の“部品”に絡む企業にも収益メリットが及んでいます。非鉄商社のアルコニックス <3036> は半導体装置向けの精密加工部品販売が伸びており、時価は見直し余地があります。また、同社はレアメタルやレアアースに強みを持ち、EV市場の拡大に伴い、車載用2次電池に不可欠のニッケルやリチウム、コバルトなどを扱っている点は見逃せません。特に、コバルト需給逼迫が取り沙汰されるなか商機が膨らむとの思惑が株高の原動力となりそうです。

●コバルト関連人気はまだ始まったばかり…

 コバルト 関連という切り口も今の株式市場では注目のテーマとなります。EV向け需要拡大を背景にコバルト価格は2年前の3~4倍に急騰している状況。耐熱性の高い超合金(スーパーアロイ)用途で航空機エンジン向けの需要も旺盛となっており、構造的要因から今後もコバルト価格は上昇傾向をたどる公算が大きいとみられています。

【レアメタルリサイクル本命の松田産にも出番】

 コバルト関連では、前回の当コラムにおいて2000円近辺で取り上げたアサカ理研 <5724> [JQ]はその後2900円近くまで上値を伸ばす場面がありました。こうなると松田産業 <7456> も外せない銘柄となります。同社はレアメタルリサイクル技術で業界を先駆しており、リチウムイオン電池からのコバルト回収実証事業を行う、いわば同テーマの本命格といってもよい銘柄。時価総額が大きい分、値動きはやや重くなりますがPERやPBRは相対的に割安感があり、足もとの業績も好調。18年3月期は営業利益段階で従来予想の40億円から48億円に上方修正、これは前期比で6割強の伸びとなります。

●物色テーマ盛りだくさんで材料株は百花繚乱

 今回のように全体相場が大きく調整を入れると、本当に強い株の顔が見えてきます。今はその強い株の仕切り直し相場に同乗するチケットを投資家は手にしていると考えてよいでしょう。主力株のバーゲンハントも一考ですが、ここは魅力的なテーマ株の切り返しに照準を合わせる格好のタイミングともいえます。

【日本和装は日本文化「コト消費」で雄飛の時】

 例えば、インバウンド関連は物色テーマとしては地味にみえて、実はかなり強力なインパクトを持っていると考えています。前々回取り上げたアスラポート・ダイニング <3069> [JQ]はマドを開けて買われましたが、ずばりインバウンドに乗る銘柄でした。また、2月21日にアップした株探トップ特集「嵐去りし後の上昇旋風に乗れ『とっておき材料株』10銘柄」で大穴株の素地ありとした北沢産業 <9930> も、訪日客増加→ホテル需要喚起→業務用厨房機器の商機拡大という分かりやすい流れがあります。

 そこで注目したいのが、昨年何度かご紹介した日本和装ホールディングス <2499> [東証2]。秋口以降、大化けを果たしていますが、ほどよい株価調整を入れた今、改めて注目したい局面です。

 昨年の訪日外国人旅行消費額は前年比18%増の4兆4000億円強と初の4兆円を突破。今年に入っても好調は続き、1月の訪日外客数が前年同期比9%増で同月の過去最高を更新しています。インバウンド需要も「モノ」から「コト」へとシフトが進むなか、和装体験が訪日客に大人気となっており、日本和装はその中軸に位置する銘柄といえます。中国の通販最大手アリババグループの旅行サービスプラットフォームで中国人旅行者向けに着物で日本文化を体験する通訳付きのアクティビティを販売するなど、「コト消費」の取り込みに積極的。これは経営戦略として株価が高評価されるだけの要素を十分に備えています。同社は業績面もしっかりしており、まだまだ株価の上値余地を感じさせます。

【5G関連でアイ・エス・ビーに上値追い好機】

 また、直近にわかに人気が再燃している 5G関連も息の長いテーマです。本命株はアンリツ <6754> ですが、値動きの軽さで個人投資家資金が集結しているのはサイバーコム <3852> など比較的時価総額の小さい銘柄。連続ストップ高の荒業を目の当たりにするにつけ“株は需給”ということを思い知らされます。マネーゲームと斬って捨てるのは簡単ですが、いうまでもなくその反動は承知のうえでの参戦でしょう。しかし、投資家として賢明なのは、火中に飛び込むよりも“次”を探すことです。

 そこで5G関連の穴株として注目したいのはアイ・エス・ビー <9702> です。同社は通信関連ソフトの開発を手掛け、携帯電話向けに強みを持っており、5G活用の基地局開発に絡む案件が同社の業績拡大を後押ししています。17年12月期は営業利益段階で前の期比97%増の5億9600万円とほぼ倍増の伸び、18年12月期も前期比21%増の7億2000万円と高変化を見込んでいます。信用買い残も乏しく信用倍率は1.6倍、日証金では株不足状態と需給関係の良さもポイントとなります。

【AI関連の本命格ブレインパッドも拾い時】

 株式市場の最強テーマが何かを考えた場合、それはやはり人工知能(AI)関連ということになるでしょう。IoT自動運転VR、ゲノム編集、フィンテックなど、あらゆる産業においてイノベーションの源泉となるのがAI技術だからです。「AIが人類史上最大のパラダイムシフトを起こす」と公言するのはソフトバンクグループ <9984> の孫社長ですが、この言葉は近い将来に株式市場の風景も大きく変わることを暗示しています。

 本命格の1社として目が離せないのはブレインパッド <3655> です。同社はディープラーニング分野の研究開発で他社に先駆しており、米GPU大手のエヌビディアとパートナー関係を結んでいることも見逃せません。株価は1月24日にマドを開けて買われた後は調整を入れながらも水準を次第に切り上げる足で押し目買いニーズの強さを物語っています。ここ調整を入れていますが、25日移動平均線との上方カイ離を解消してきた時価水準は買い場に見えます。

【利益急回復のSE H&Iは大相場の記憶も】

 最後に株価が低位に位置するSEホールディングス・アンド・インキュベーションズ <9478> [JQ]を挙げておきます。祖業は技術書を出版する翔泳社でITバブル相場の2000年2月につけた2050万円という高値は鮮烈でした。今の株価で引き直しても4517円。もちろん、これを引き合いに出しても始まりませんが、オールドファンの脳裏に刻まれている銘柄であることは確かでしょう。足もとの業績も減収ながら構造改革効果で利益は急回復歩調、18年3月期営業利益は前期比7割増の3億5000万円予想で、さらに上振れする可能性があります。教育・人材関連分野での活躍余地に加え、リチウムイオン電池の大容量化技術を有する米ゼプター社に出資していることは注目されます。

(2月28日記、隔週水曜日掲載)

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