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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6856 堀場製作所

東証P
16,030円
前日比
+395
+2.53%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.3 2.39 1.65 2.25
時価総額 6,818億円
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NSW Research Memo(4):2019年3月期も更なる増収増益を予想


■今後の見通し

● 2019年3月期の業績見通し
情報サービス産業界においては、企業収益の改善を背景にIT投資は堅調に推移しており、また、IoTやAI、自動運転などの技術を活用した事業展開が本格化している。一方で技術者不足が常態化しており、人材の確保が大きな課題となっているが、日本システムウエア<9739>では、自社要員の確保・育成と協力パートナーの活用による対応強化を図っている。併せて、2018年1月に日本ソフトウェアエンジニアリングを子会社化し、さらに4月には台湾オフィス(代表者事務所)の開設など、事業推進基盤の整備も進めている。

2019年3月期は、売上高35,000百万円(前期比4.5%増)、営業利益3,000百万円(同2.0%増)、経常利益3,020百万円(同1.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,070百万円(同0.2%増)を計画する。営業利益は引き続き過去最高益を更新し、売上高も過去最高の2008年3月期(34,646百万円)を上回ることを目指す。成長に向けた戦略的事業投資を継続実施し、更なる事業規模拡大に向けコア事業の高付加価値化に取り組むとともに、IoT事業の強化・拡大を加速させるなど、経営基盤の強化に取り組む方針である。

セグメント別には、ITソリューション事業では、従来型SI事業の付加価値向上、サービス型事業への転換加速による事業基盤強化により、売上高20,700百万円(前期比5.2%増)、営業利益1,150百万円(同2.2%増)を目指す。2019年3月期から、ITソリューションの強みを際立たせる事業体制への組織再編を目指して、サービスソリュ?ションを別組織として分離し、ソリューションとサービスの2軸で事業拡大を図る計画である。

一方、プロダクトソリューション事業でも、成長市場・新規分野への積極的進出によるコア事業の更なる深耕や、新サービス展開加速などにより、売上高14,300百万円(同3.4%増)、営業利益1,850百万円(同1.9%増)を計画する。うち、組込み開発では、特にオートモーティブ分野では、強みを持つカーナビなどの情報通信系を深耕する一方、自動運転などの走行安全系やカーシェアリングなどのモビリティ系に注力する方針だ。また、デバイス開発では、ルネサス エレクトロニクス<6723>グループをはじめとした既存顧客の深耕を図るほか、長年にわたる半導体設計のノウハウを活用し、画像解析やDeepLearingなどの新サービス創造にも注力する。

■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の目標
同社グループでは、「Drive Innovation」(変革を成し遂げる)を旗印に、「IoT分野の事業拡大」、「コア事業の高付加価値化」を目指して、2016年4月から2019年3月の中期経営計画を推進中である。そして、計画最終年度の2019年3月期には、売上高350億円以上、営業利益25億円以上を目標にしている。計画達成時には、営業利益率7.0%以上(2016年3月期実績6.7%)、ROE8.0%以上(同8.9%)を目指している。営業利益は既に1年前倒しで達成しており、最終的にはすべての目標をクリアすると見られる。来期からは新中期経営計画に移行する予定であるが、引き続きコア事業の高付加価値化と、IoT事業などのサービス提供型事業への取り組みが、日本システムウエア<9739>の更なる成長のカギになりそうだ。

2. 新規事業の戦略
IoTとはInternet of Thingsの略で、家電製品やセンサーなど様々なモノをネットワークに接続し、情報収集だけでなく遠隔監視や制御を行い、商品開発やマーケティングに生かすことである。同社では、コア事業であるITソリューションとプロダクトソリューションのノウハウを融合することで、人月工数に依存しないストック型ビジネスとしてIoTを始めとしたサービス事業を新たな収益の柱に育成する計画である。「この国の未来を、IoTで変えていく」をスローガンに掲げ、IoTインテグレータNo.1を目指している。

同社では、2013年5月に販売開始したIoTクラウドプラットフォーム「Toami」を中心に、製造業を始めとする各社のIoTビジネスの立ち上げ・展開を支援している。同社のIoTサービスでは、独立系SIerとしての強みを生かしたコーディネート力と実現のためのツール群の拡充に注力しており、Toamiを軸に、分析・AI、アプリケーション、IoTプラットフォーム、エッジデバイスソリューション、センサーテクノロジーなどをワンストップでサポートしている。Toamiの活用は次第に増えており、導入事例としては、堀場製作所<6856>の医療用機器向け総合保守サービス支援システムに採用されており、装置の稼働状況やメンテナンス時期をモニタリングし、装置の不具合を事前に予知・対応し、装置の計画的な管理により医療サービスの質向上に貢献する取り組みなどがある。

またFactory IoTの事例では、PTCジャパン(株)、日本ヒューレット・パッカード(株)との連携により、自動車部品メーカーにおいて、生産ラインの効率化により生産効率や品質の向上を実現したいとのニーズに対応し、サーバーを工場内に設置し、従来は手作業で行っていた検査データをリアルタイムに収集、分析することにより、機器や設備の異常に迅速に対応する仕組みを構築した。このため、1)設備の異常への迅速な対応を可能にし、不良率の低減を実現し、2)蓄積されたデータを解析し、設備の故障や異常予測に活用を目指す、などの効果を生んでいると言う。

このように、コンサルティングから開発・運用まで、最大価値を生み出す対応力と、組込みアプリケーションからLSIまで対応できる豊富な設計力、開発力が同社の強みである。これにより、デバイスからクラウドまでのトータルサポートが可能になり、数々のパートナーとの協創や顧客事例とノウハウの蓄積などの効果をもたらしている。こうしたことから、同社の顧客には、既述の堀場製作所やルネサスエレクトロニクスのほか、NTTドコモ<9437>、パナソニック<6752>など、数多くの大企業を含み、現在では導入社数は90社以上に達している。また、導入目的別の分類では、製品のIoT化が6割、Factory IoTが2割、その他が2割を占めている。

こうして、同社グループのIoT事業は実証・検証の段階から徐々に具体的なサービス導入も増え始め、産業機器や医療機器の遠隔監視などの多くの用途で顧客に利用され始めている。継続した提案・販促活動によって商談件数は増加し、新規顧客だけでなく既存顧客の深耕によっても受注は拡大している。IoT関連の売上高は2018年3月期には前期比約2倍の10億円規模に達しており、うち7割程度がToami関連である。IoT事業は、新たな収益の柱として着実に育ちつつあるようだ。

3. コア事業の戦略
中期経営計画の業績目標達成には、既存のコア事業の領域拡大と深耕が不可欠である。新規事業が中核事業の1つに成長するまでの間、コア事業が同社の業績をけん引することになる。

ITソリューション事業については、デジタルトランスフォーメーションを実現するソリューション・サービスの展開、 業種別IoTサービスの拡大(工場、建設、介護など)、 既存案件の着実な遂行による事業基盤強化と収益性向上を図る。また、既述のとおり、2018年4月に組織改正を行い、これまでの事業をITソリューション事業とサービスソリューション事業に区分し、新たに2軸で事業拡大を図る体制に変更した。

ソリューション事業では、小売業、物流業、製造業向けを中心に個別システムからトータルソリューションへの事業領域を拡大することや、労働力不足や業務効率化を支援するために業種・業務軸に特化したAI・RPAソリューションを創出することを計画する。サービス事業では、システム運用における労働集約から知識集約型へビジネスモデルを変革すること、運用設計、データ連携、インフラサービスの拡充を図ること、データセンター付加サービスの拡充(業務アウトソーシング、基幹システム保守など)を目指す。

一方、プロダクトソリューション事業分野においては、既存重点分野における成長領域への拡大・展開を図り、 コア技術を生かし新サービスの創造を目指す。組込みソフトウェア開発事業では、オートモーティブ分野を維持・拡大し、走行安全系の基盤を拡充すること、 モバイル技術を融合したモビリティ事業を拡大・加速すること、 医療・ヘルスケア、エネルギー、産業機器向けを深耕・拡大すること、 5G動向を見据えた関連業務を獲得し、通信機器提供サービスを強化することなどを掲げている。また、デバイス開発事業では、国内顧客の深耕と海外での新規市場・顧客開拓を図る事、画像系AIやモデルベース設計の活用による新サービスを創造することなどを計画している。

足下の実績では、特にデバイス開発事業の成長が著しく、2014年3月期以降、同事業の売上高は年平均成長率18.3%で拡大を続けている。同社では、半導体の製造工程において、製品が量産される前の仕様検討、設計、試作・評価を担っているが、長年にわたる半導体設計のノウハウと豊富な実績を持ち、画像処理や通信制御などの各分野で、低消費電力設計や先端プロセスに対応していることから、自動車、カメラ、スマートフォン、プロジェクターなど多くの製品に活用されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《TN》

 提供:フィスコ

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