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6788 日本トリム

東証P
3,465円
前日比
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PTS
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.2 1.21 2.45 38.32
時価総額 300億円
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日本トリム Research Memo(5):遺伝子関連事業、再生医療事業、電解水透析の3事業からなる


■日本トリム<6788>の事業方針と成長戦略

(2)医療関連事業-再生医療と電解水透析

医療関連事業は、主に米国で展開する遺伝子関連事業、民間さい帯血バンクの再生医療事業、電解水透析の3事業により構成される。2016年3月期の売上高は、遺伝子関連事業が46百万円、再生医療関連事業が754百万円、電解水透析及びMGO測定が20百万円であった。

○医療関連事業の組織変更-将来、日本において持ち株子会社の上場を目指す
2013年10月に大阪市に持ち株会社(株)トリムジンホールディングスの事務所を開設した。2015年3月に、同子会社の社名を(株)トリムメディカルホールディングスに変更し、米国子会社のTrimGen Corporationと再生医療関連事業を行うステムセル研究所を傘下に置く組織変更をした。先進医療関連事業は、非常に先進的でスピードが速いため、独自経営、資金調達による事業拡大を図るため、将来、日本での株式上場を目指す。内部統制整備等を行っており、研究開発、営業、管理体制の強化に取り組んでいる。

遺伝子関連事業遺伝子関連会社のTrimGen Corporationは、投薬量(抗がん剤、抗凝血薬等)のコントロール、薬による副作用のリスク、医療事故リスクの低減を目的に、独自技術による変異遺伝子検出キットの研究開発、製造販売を行っている。2014年3月期に、抗凝血薬ワーファリンに関する治験を実施している臨床検査会社へのキット納入が拡大したことから、売上高が前期比4.5倍に急増した。しかし、特需がなくなった2015年3月期は前期比77.7%減少した。現在は、複数の遺伝子や多くのサンプルを同時解析できる次世代型遺伝子検査機器向け診断キットの開発に注力している。

○再生医療関連事業-さい帯血バンクの保管数の市場シェアは約90%
テーラーメード医療や再生医療へ本格的に進出するため、2013年9月にステムセル研究所を買収して子会社化した。同子会社は、ステムセル(造血系幹細胞)の保管業務を行う。保管されたさい帯血は、本人だけでなく、白血病の場合は兄弟姉妹間にも使用できる。同子会社は、保管数が民間のさい帯血バンクで市場の約90%のシェアを持つ最大手になる。保管数は、2016年3月末現在で37,215名となり、2年間で6,083名増加した。現在の保管施設の収容能力は、9万人分ある。利用料金は、採取時の分離費用等が16万円、10年間の保管費用が5万円、合計21万円である。10年後に更新する場合は、手数料と10年間の保管費用で7万円となる。

さい帯血に含まれる幹細胞は脳性麻痺の治療等、再生医療分野で注目されている。2014年11月に「再生医療等の安全性の確保に関する法律」が施行され、再生医療分野におけるさい帯血の臨床試験の道が開けた。同子会社の細胞処理センターは、厚生労働省より特定細胞加工物製造許可を取得した。再生医療を実施する医療機関からさい帯血の調製を受託することが可能になり、ビジネスの幅が広がる。

日本における年間出生数に対するさい帯血の保管率は0.3%と、米国の7.0%、韓国の12.0%と比べて極めて低い。同子会社は、さい帯血保管に関する啓蒙活動を行っている。

○電解水透析事業-全国15施設、251床で実施
血液透析は、尿毒症性毒素に汚染された血液を体外のダイアライザー(人工腎臓)に送り込み、血液をきれいにして体内に戻す治療法だが、1回当たり120Lと大量の水を使う。透析液は、原液または粉末をRO水(逆浸透膜で不純物を除去した純水)で希釈して作られる。電解水透析は、希釈用水に電解水素水を用いていることで、炎症や酸化ストレスを抑制して、患者の副作用やQOL(Quality of Life)を改善することを目的としている。同社は、1995年から研究開発に取り組み、水素を含有する透析液希釈水を作成する逆浸透精製水製造システムの開発に成功し、国内外で特許を取得している。

電解水透析の導入施設は増え、全国15施設、251床で実施されている。実施床数は、2014年3月期の188床から3割以上増加した。同社は、2016年夏に、小型で清浄化機能を強化し、溶存水素生成能力を向上させた新型装置の発売を予定している。既に40件以上の引き合いが来ており、今後の普及促進へ貢献すると期待される。

○中国病院運営事業-国策「日本の医療の国際展開」を官民共同で展開
中国の慢性期疾患、特に糖尿病患者は1.4億人以上、予備軍を含めると2.4億人以上と推定される。糖尿病患者の増加を背景に血液透析患者も増加傾向にあり、世界最高レベルにある日本の糖尿病治療と血液透析技術への関心が高い。中国において日本式医療サービスを提供する病院運営事業には、内閣官房 健康・医療戦略室が支援する意向である。

同プロジェクトを遂行するため、中国のコンサルタント会社と香港に特別目的会社「Han Kun International Holdings Limited(漢コン國際控股有限公司)」を設立した。当初の出資金は約3億円で、40%の出資比率であった。今後、日中投資家のコンソーシアム向けに増資が実施される。当初投資規模総額は、約16億円が見込まれている。

福島県立医科大学や虎の門病院から専門医が参加する。また、日本の医療の国際展開を目的に、経済産業省の支援を得て設立された一般社団法人Medical Excellence JAPAN (MEJ)のサポートを受けて、医療関係者派遣、現地医療スタッフの指導・教育を実施する。2017年頭の事業開始を計画している。

2017年初旬を目指して、北京市にフラッグシップとなる200床規模の病院の開業準備を進める。血液透析用のベッドは50~100床程度となる予定だ。第1号の展開を見てから、5~7年以内に上海や大連などで展開し、中国国内に10病院のチェーンを運営し、約500億円の売上高規模を目指す。中国にとどまらず、アジア各国へのグローバル展開を視野に入れている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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