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6769 ザインエレクトロニクス

東証S
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前日比
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PTS
1,114円
17:53 03/29
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.9 1.29 1.35 2,912
時価総額 137億円
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ザインエレクトロニクス Research Memo(2):半導体ファブレスメーカーで売上総利益率の水準は世界トップクラス


■会社概要

1. 会社沿革
ザインエレクトロニクス<6769>は1991年に現代表取締役会長の飯塚哲哉(いいづかてつや)氏が、東芝<6502>から独立して起業したファブレス半導体メーカーである。1992年に韓国のサムスン電子と半導体メモリ及び液晶の開発設計を目的とした合弁会社、ザインエレクトロニクス株式会社を設立し、1998年に合弁を解消するまでサムスン電子の半導体メモリ及び液晶開発の一翼を担っていた。一方で、1997年には初の自社ブランド半導体製品となる液晶ディスプレイ向けのデジタル信号処理用LSIを開発、販売を開始し、その後は高速画像伝送技術で業界のけん引役となり、ファブレス半導体メーカーとしての事業基盤を固めていく。1990年代後半以降、パソコンのモニタやテレビなどのディスプレイがCRTから液晶ディスプレイに置き換わり、また高解像度化が進展するなかで、同社の開発した高速インターフェース用半導体の売上高も拡大し業績は成長局面を迎えた。2010年から2011年にかけて、テレビ市場の利益率低下の影響により業績も停滞期を迎えたが、その後は市場ポートフォリオの拡大を経て、現在は再成長に向けた事業基盤作りの時期と位置付けられる。

同社では事業基盤の多角化を進めるため、M&Aにも注力している。2003年に高周波無線通信用半導体のファブレスメーカーであったギガテクノロジーズ(株)を吸収合併しつつ、世界大手半導体メーカーから半導体開発チーム一体での採用を図ったほか、2009年には台湾半導体メーカーより携帯電話などのカメラに用いられる画像処理用半導体の事業を譲り受けた。また、2016年2月には新たに高速データ伝送技術を用いた半導体やIP製品の開発販売を行うシリコンライブラリ(株)に出資し、持分法適用関連会社としている。海外展開としては2000年に台湾、2010年に韓国、2013年に中国にそれぞれ販売拠点を設立しており、今後は欧米市場も含めた海外の顧客開拓も強化していく方針となっている。現在の連結対象子会社数は海外販社の4社となっており、そのほか持分法適用関連会社は1社となっている。連結従業員数は2016年12月末で138名、うち海外で19名となっている。週に1回、海外販社を含めた全社員参加によるオンラインミーティングを行い、日々の開発・営業活動の情報共有を行っている。

2. 事業の内容
同社は半導体の企画・開発・販売を行い、製造については国内外のファウンドリーに委託するファブレスメーカーである。販売については直販だけでなく、販売代理店経由でも行っている。売上総利益率は60%以上と高く、世界の中でも上位5番目にランクされており、付加価値の高い半導体を開発・販売していることが同社の特徴であり、強みになっていると言える。

(1)主要製品
現在の製品ラインナップは映像情報などの大容量データを高速伝送する際に用いられるインターフェース用半導体が主力で、全売上高の約7割を占めている。画像処理用LSI (ISP)が2割強、残りが電源ICやモーター駆動用IC等となっている。その他、同社が開発したデータ伝送用半導体のコア部分をIPとしてグラフィックスメーカー等にライセンス供与し、設計技術料及びロイヤリティー収入なども得ているが、売上構成比としては3%以下と極めて軽微となっている。

主力のインターフェース用半導体は、LVDS製品や「V-by-OneR」シリーズが大半を占めるが、ここ数年は「V-by-OneR」シリーズの売上が拡大している。特に、2009年に映像伝送用の新標準規格として世界に提案した「V-by-OneRHS」は、データ伝送速度が4ギガビット/秒と高速伝送を実現し、高解像度のフルHD画像を1対のケーブルで伝送可能としただけでなく、独自開発の伝送技術によって伝送可能距離を延伸し、使い勝手も向上した製品となっている。従来のLVDS製品に比べて、ケーブル本数が6分の1に削減できるほか、付随するノイズ対策費用含めてシステムのトータルコスト削減に大きく寄与する製品として採用が広がっている。

なお、同社は大容量データの高速伝送が必要なテレビ市場において、10億7千万色の色表現力に対応した10ビットLVDS製品の量産を2003年に世界で初めて開始しており、その後も2005年にフルHD対応品、2007年にフルHD倍速対応品をいずれも世界で初めて市場投入してきた。2009年にはV-by-OneRHS技術を発表し、2011年に4Kテレビなど高解像度映像機器内の高速インターフェースとしてV-by-OneRHS技術がデファクト・スタンダード(事実上の世界標準)となるなど、2000年以降のテレビやモニタ等の高精細化に大きく貢献してきたと言える。

また、主力製品の1つであるISPは、主にモバイル機器用やセキュリティカメラ用の画像処理プロセッサとして販売されている。同社製品の特長は、画像処理プロセッサに手振れ補正機能を実装し、高速処理を実現したことや、ワイドダイナミックレンジ、赤外光にも対応していること、また、DRAMが不要でカメラモジュールの小型化・低コスト化・低消費電力化に寄与することが挙げられる。特に、DRAMを不要としたことで、従来品と比較して面積で25%、体積で10%に小型化を実現している。

(2) 市場別、地域別売上粗利益の構成比
市場別の粗利益構成比について直近5期間で見ると、テレビを中心とした民生機器向けが2012年12月期に34%だったものが2016年12月期には8%まで低下し、逆に産業機器向けが39%から67%に、車載機器向けが5%から11%に上昇するなど、市場別のポートフォリオが大きく変化していることがわかる。テレビ用については日系セットメーカーのシェア低下や競合品の台頭などが影響している。同社ではテレビ向けの落ち込みをカバーするため、ここ数年で産業機器や車載機器向けの市場開拓を進めてきたと言える。なお、2016年12月期の産業機器向けの内訳としては、事務機器向けが48%、アミューズメント機器向けが23%、セキュリティカメラ他が30%となっている。

地域別粗利益率の構成比は期によって変動するが、2016年12月期の実績は日本が70%、韓国が12%、台湾と中国が各8%、その他が3%となっている。為替はすべて米ドル建てで取引きされているため、円高は売上高の目減り要因となるが、半導体の製造を一部、海外のファンドリーに委託しており仕入コストも低減するため、売上総利益率への影響はほとんどない。ただし、ドル建て資産を保有していることにより、為替換算レート差による評価差損益が営業外で発生することになる。2016年12月末時点では19百万米ドルを保有している。

(3) 主要顧客
同社の主要顧客は、国内では事務機器メーカーや大手家電メーカー、アミューズメント機器メーカーなど、海外では韓国のサムスン電子やLG電子グループ、台湾の主要液晶メーカーやPC関連メーカー、中国の主要テレビメーカーやセキュリティカメラメーカー、欧州ではFicosa等の車載機器メーカーとなっており、グローバル企業が多くを占めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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