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6768 タムラ製作所

東証P
593円
前日比
+10
+1.72%
PTS
595.4円
22:18 03/28
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
37.3 0.87 1.69 21.29
時価総額 491億円
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省エネ切り札「パワー半導体」、成長市場を取り込む企業は <株探トップ特集>


―産業機器や再生エネルギー、自動車向けなど用途拡大進む―

 2017年も折り返し地点を過ぎたが、前半相場を牽引したひとつが半導体関連株だ。足もとでは米フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が上昇一服となっている影響を受けているものの、IT技術の進展や自動車の電装化を背景に半導体の需要はさらに拡大するとの見方が多い。一方で、電気の流れを制御する「パワー半導体 」への注目度も高まっている。扱う電圧や電流が大きいことが特徴で、その特性から“省エネの切り札”として用途先が広がっている。

●SiCの市場規模、25年に6.9倍に

 半導体といえばコンピューターで情報を記録したり計算したりする小さな部品を思い浮かべるが、パワー半導体は電力を制御するためのもの。同じデバイスでもCPUやメモリといった集積回路は小さな電力で動作する“頭脳”であるのに対し、パワー半導体は小さな電力から大きな電力まで幅広く扱う“筋肉”に例えられる。パワー半導体は電気の直流・交流間の切り替えや周波数の変換、昇圧・降圧などの電力変換機能を持ち、その性能が機器の省エネ化に直結するとされる重要部品だ。用途としては、大電力を使用する産業機器、太陽光発電や風力発電などの再生エネルギー分野、データセンターなどの無停電電源装置などでの利用が進んでいるほか、車載向けではハイブリッド車(HV)電気自動車(EV)のインバーターに加え、センサーや電子スイッチなど電装化が進むにつれて搭載されるパワー半導体の数も増加している。

 現在、パワー半導体はSi(シリコン)素材が主流となっているが、新しい材料として電力損失をさらに減らすことができるSiC(炭化ケイ素、シリコンカーバイド)や、GaN(窒化ガリウム、ガリウムナイトライド)が次世代型として有力視されている。市場調査を手掛ける富士経済が3月にリリースしたリポートでは、Siパワー半導体の世界市場は16年の2兆4020億円から25年には2兆9239億円(21.7%増)に、SiCは205億円から1410億円(6.9倍)に、GaNは14億円から450億円(32.1倍)に伸びると予測されている。

●富士電機は生産能力を増強

 幅広い用途で需要が拡大するパワー半導体を巡って、さまざま企業が注力姿勢を強めており、そのうちの1社が富士電機 <6504> だ。同社は18年3月期に、シリコンウエハーを加工するパワー半導体の前工程で、主力拠点の松本工場(長野県)で生産能力を1.7倍、山梨製作所で1.3倍に引き上げる計画。6月下旬には、Si製に比べて電力損失を約8割低減できるSiCパワー半導体を開発したことも発表している。

 このほかでは、ローム <6963> が5月下旬に低消費電力化が要求される白物家電や産業機器などのモーター駆動に最適なパワー半導体をラインアップに加えたほか、村田製作所 <6981> は3月中旬に小電力パワー半導体を設計・販売する米アークティックサンドテクノロジーズの買収を発表。三菱電機 <6503> は3月初旬にハイブリッド電気自動車(HEV)用超小型SiCインバーターを開発したことを明らかにした。

 また、SiCおよびGaNのデバイスを手掛けるサンケン電気 <6707> 、今年2月にパワー半導体などに強みを持つ米インターシルの子会社化を完了したルネサスエレクトロニクス <6723> の今後の動向もマークしておきたい。

●アルバック、昭電工、テセックなどにも注目

 パワー半導体市場のさらなる拡大を見込み、材料や製造装置関連などを手掛ける企業の動きも活発化してきた。アルバック <6728> は7月6日に、パワー半導体向けイオン注入装置2機種を開発、販売を開始したと発表。岩崎通信機 <6704> は6月からSiCおよびGaNパワー半導体向けの容量測定装置を発売し、京セラ <6971> は同月に東芝マテリアル(横浜市)と窒化物セラミック部品の開発・製造で協業を開始することで合意した。

 これ以外では材料で、パワー半導体用SiCエピタキシャルウエハーの高品質グレードを供給する昭和電工 <4004> や、15年に情報通信研究機構などと次世代パワーデバイス材料として有望な酸化ガリウムエピウエハーを開発しているタムラ製作所 <6768> 、次世代高耐熱パワー半導体向け金属セラミック基板を開発済みのノリタケカンパニーリミテド <5331> に注目。

 製造装置関連では、パワー半導体製造装置のカスタマイズや設計・製作を請け負うテクノアルファ <3089> [JQ]、SiCに代表される硬脆性材料の精密切断加工機を手掛けるタカトリ <6338> [東証2]、パワーデバイス測定システムのテセック <6337> [JQ]、SiCやGaNといった化合物半導体の加工用装置を展開するサムコ <6387> のビジネス拡大が期待される。

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