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経済効果“2兆円”、みちびき成功で花開く活用ビジネス「未来図」 <株探トップ特集>


―誤差6センチ、新ステージ入り「高精度位置情報」利用で飛躍する銘柄は―

 6月1日、日本版GPS の核となる準天頂衛星「みちびき2号機」を載せたH-2Aロケット34号機が、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。その後、予定の軌道に投入され、しばらくして日本の上空を回る軌道に到達する。

 「みちびき」の打ち上げ成功は、日本の宇宙開発産業の発展に寄与するだけでなく、高精度の測位情報を活用したビジネスの活発化にもつながり、関連する企業には今後も注目が集まりそうだ。

●誤差は最小で6センチへ

 「みちびき」は、米国のGPS衛星と同じように、JAXA(宇宙航空研究開発機構)による衛星測位システム用の衛星で、一つの機体が1日当たり8時間程度、日本付近の上空にとどまり、地上から見ると8の字を描く特殊な軌道を飛行する。

 現在、主に位置情報で活用されている米国のGPS衛星はもともと軍事衛星であったことから、民生利用ではあえて10メートル程度の誤差を含んでいるほか、日本の都市部や山間地では高い建物、山などが障害となって測位信号が届かないことがあり、これも誤差を生じさせていた。

 そこで、「みちびき」では、日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ衛星を複数機組み合わせることで、GPSを補完し、位置情報の精度を向上させる。今回、打ち上げに成功したのは「2号機」だが、18年3月までにあと2機打ち上げられる予定で、これにより測位衛星で位置を特定するために必要とされる4機体制が整い、本格運用が始まることになる。誤差も最小で6センチメートル程度に抑えられる見通しだ。

●経済効果は20年時点で年2兆円へ

 「みちびき」により位置情報の精度が格段に上昇することで、ビジネスへの活用の裾野はさらに拡大するとみられている。内閣府では、2020年時点の「みちびき」による経済効果を年間約2兆円と試算しており、国内だけでなく、アジア太平洋地域へのサービス展開も考えられている。

 例えば、 自動運転などはビジネス活用の代表例だ。現在のGPSを利用したカーナビゲーションシステムでは、どの車線を走っているかまではわからないが、みちびきの本格運用が始まれば、どの時点で車線変更をすれば良いかといったことまでわかるようになる。もちろん、自動運転には必須の技術だ。

●活発化する活用ビジネス

 デンソー <6902> では、14年から「みちびき」(初号機)を活用した、車両の高精度の測位技術実証を実施している。既に、GPSだけの信号に比べて1ケタ小さい10センチメートルレベルの誤差に抑えることに成功した。また、三菱電機 <6503> では、自動運転に必要な3次元地図の作製のため、車両に簡単に取り付け可能な高精度GPS移動計測装置を今年度中にも製品化する方針で、これらを活用することで、自動運転の実用化に向けてまた一歩前進することになる。

 このほか、日立造船 <7004> は「みちびき」の電波受信機を開発し、離島などに荷物を運ぶドローン(小型無人飛行機)や農業機械への応用に取り組んでいる。また、いすゞ自動車 <7202> と日野自動車 <7205> は、隊列での自動運転の実用化に必要な基礎技術「高度道路交通システム(ITS)」の共同開発に乗り出している。トプコン <7732> も農機を自動運転するシステムの開発に注力している。

●有力銘柄視されるアイサンテクノ、コア

 こうした関連銘柄のなかでも、有力な銘柄の一つとみられているのが、アイサンテクノロジー <4667> [JQ]だ。測量ソフトの開発が主力だが、「みちびき」から提供されるデータを利活用するシステムを手掛けており、自動運転の分野でも注目されている。また、そのアイサンテクに「みちびき」のセンチメートル級測位補強信号対応の受信機を提供したコア <2359> も同じく有力銘柄として名前が挙がる。

 さらに、日本無線 <6751> も「みちびき」からの補完信号に対応した測位チップの開発を手掛けているが、将来の自動運転システムへの組み込みに備えて、車載品質基準を満たしたものを来秋にも供給する見通しで注目度が高い。このほかにも「みちびき」の高精度の位置情報を生かしたビジネスが今後誕生するとみられるが、今後の打ち上げの際、改めて関連銘柄に関心が高まる可能性があり、動向には要注目だ。

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