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6736 サン電子

東証S
3,465円
前日比
+20
+0.58%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.30 1.15 6.04
時価総額 832億円
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決算発表予定日

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サン電子 Research Memo(8):新たな成長軸の立ち上げにより成長加速を目指す


■成長戦略

サン電子<6736>の中期的な成長戦略は、情報通信関連分野のグローバル展開によって、成長を加速することである。特に、モバイルデータソリューションのリーディングカンパニーとして世界市場の開拓を進めるとともに、新たな成長分野であるM2M 、AR関連、O2Oソリューション等の強化を図るため、M&Aを含めて先進的な技術への積極投資を行っていく方針としている。今期の下期にリリースを予定していた新規事業(VR及びAR関連)については、前述のとおり、両方ともに2019年3月期に延期となったものの、同社が大きな転換期を迎えていることに違いはない。

注力分野に対する成長への取り組みは以下のとおりである。

1. モバイルデータソリューション事業
MLC向けは、代替サービス(クラウド型のデータ移行サービス)の台頭が脅威となっているが、メイン機能の強化による差別化※や、故障診断機能(Diagnostics)の導入を主要キャリア向けに推進している。今後は、中古買取りなどを含めた機能を充実させるとともに、国内外の新規顧客開拓(MVNOなど)により、成長を加速させる方針である。

※転送速度(現行サービスの5倍以上)やデータのカバー範囲の広さ、インターネット環境に左右されないなどの特徴を持つ「Full Transfer」サービスを開始。


DIは、世界的な需要の拡大に対応することにより、さらに成長を加速する方針である。特に、独自技術を生かしたデータ抽出の対象機種数を拡大するとともに、インターポールとのパートナー契約締結を始めとしたトレーニングプログラムの充実や、新製品・新サービスの開発(UFEDしかできない機能の強化)、次世代の販売本格化(入れ替えを含む)などにより事業拡大を目指す。また、中長期的にはポテンシャルの大きいデータ分析の領域への拡充を図り、持続的な成長を実現する。

2. その他事業(M2M、ゲームコンテンツ、新規等)
M2M事業については、Bacsoft のIoT プラットフォームとの連携によるワンストップサービスの提供のほか、高い品質や汎用性、提案力により差別化を図ることで、国内での本格導入を推進している。特に、国内においては裾野拡大に対応することにより持続的な成長を目指す方針である。また、Bacsoftにおいても世界展開に向けて販売チャネル及びマーケティング強化を図っている。

AR事業については、Infinity ARの開発プラットフォーム及びLumusの高性能のディスプレイユニットとの連携により、3社の強みを生かした企業向け業務支援システム「AceReal」(メガネ型のウェアラブルコンピュータとAR技術を組み込んだ業務支援トータルソリューションシステム)の提供に向けて準備を進めている。ハード性能の高さや独自のAR技術、優れたガイダンス性に特長があり、製造業、メンテナンス業、医療、教育などにおけるフィールド作業の効率化やアミューズメント施設のアトラクションでの利用などを予定している。特に、業務用途ごとの共通プラットフォームの開発により、同社の強み(高精細な表示技術)が生かせる産業分野(特に、産業用機械や医療など)でのデファクトスタンダードの確立を目指す戦略である。2017年7月には、医療分野において公開実証テスト※を実施するなど着実に実績を積み上げている。

※スマートグラスと業務ソフトウェアをワンストップで提供する「AceReal」を用いて、実際の教育現場で貢献できる実証テストを藤田保健衛生大学と産学連携で実施しており、当該結果のフィードバックを反映しながら、医学教育現場に貢献できるソリューションの開発を進めている。


また、VR関連においても、2016年10月に発売開始した「PlayStation RVR」向けコンテンツの開発を進めており、2019年3月期でのタイトル発売(オンライン対戦型ゲーム)を予定している。今後は、ゲームコンテンツ事業についても次世代技術を生かす機会が拡大するものと考えられる。

弊社では、今後の成長ドライバーとして、需要拡大が期待できる1)モバイルデータソリューション事業、2) M2M関連、3)AR関連の3つの事業が軸になるとみている。足元の業績は、エンターテインメント関連の落ち込みに加えて、MLCの下振れ、新規事業の進捗の遅れ等により後退したものの、3つの事業のポテンシャルの高さや同社の成長性の評価に変化を及ぼすものではない。モバイルデータソリューションは、既にリーディングカンパニーとして世界開拓を進めているが、世界規模で拡大している需要(安全、安心に対する社会的な要請)にどのように対応していくのか、その道筋に注目している。M2M事業についても、IoTソリューションとの融合を含め、同社ならではのソリューション提供により、これからの裾野拡大をいかに取り込んでいくのかがカギを握るとみている。また、新たな市場であるAR事業については、どのような戦略(ポジショニング)により先行者利益の享受や事業拡大を図っていくのかが参入に当たっての重要なテーマと考えられるが、共通プラットフォームの確立により産業分野でのデファクトスタンダードを目指す戦略は、同社の強みが生かせる分野であるとともに、事業展開のスピードを高め、スケールメリットの享受や参入障壁を構築するうえでも合理的な戦略であると評価できる。来期(2019年3月期)以降の成長加速に向けて、M2M関連やAR関連がどのようなペースで業績貢献してくるのか、今後の動向に注目していきたい。

一方、リスク要因は、市場環境に不透明感のあるエンターテインメント関連の動向である。構造的な問題(遊技人口の減少、低貸玉化による影響等)に加えて、2018年2月に施行される新たな規制(出玉制限など)の影響が懸念材料として挙げられる。いずれにしてもパチンコホールの業績や投資意欲の状況次第の展開と言えるだろう。業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら、一定の収益を稼ぐ事業構造変革の進捗にも注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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