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6736 サン電子

東証S
3,445円
前日比
+180
+5.51%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.29 1.16 6.04
時価総額 827億円
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決算発表予定日

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サン電子 Research Memo(8):新たな成長軸の立ち上げにより成長加速を目指す


■成長戦略

サン電子<6736>の中期的な成長戦略は、情報通信関連分野のグローバル展開によって、成長を加速することである。特に、モバイルデータソリューション事業のリーディングカンパニーとして世界市場の開拓を進めるとともに、新たな成長分野であるM2M 事業、AR事業、O2Oソリューション事業等の強化を図るため、M&A を含めて先進的な技術への積極投資を行っていく方針としている。2018年3月期下期にはいよいよAR及びVR関連の新規事業が立ち上がる計画であり、同社は大きな転換期を迎えている。

注力分野に対する成長への取り組みは以下のとおりである。

1. モバイルデータソリューション事業
MLC向けは、代替サービス(クラウド型のデータ移行サービス)の台頭が脅威となっているが、前述のとおり、新たなサービスの開始により巻き返しを図るとともに、故障診断機能(Diagnostics)の導入を主要キャリア向けに推進している。今後は、中古買取りなどを含めた機能を充実させるとともに、国内外の新規顧客開拓(MVNOなど)により、成長を加速させる方針である。

フォレンジック向けは、世界的な需要の拡大に対応することにより、さらに成長を加速する方針である。特に、独自技術を活かしたデータ抽出の対象機種数を拡大するとともに、インターポールとのパートナー契約締結をはじめとしたトレーニングプログラムの充実や、新製品・新サービスの開発(UFEDしかできない機能の強化)、次世代の販売本格化(入れ替えを含む)などにより事業拡大を目指す。また、中長期的にはポテンシャルの大きいデータ分析の領域への拡充を図り、持続的な成長を実現する。

2. その他事業(M2M、ゲームコンテンツ、新規等)
M2M事業については、Bacsoft のIoT プラットフォームとの連携によるワンストップサービスの提供のほか、高い品質や提案力により差別化を図ることで、国内での本格導入を推進している。特に、国内においては裾野拡大に対応することにより持続的な成長を目指す方針である。また、Bacsoft においても世界展開に向けて販売チャネル及びマーケティング強化を図っている。

AR事業については、Infinity AR の開発プラットフォーム及びLumusの高性能のディスプレイユニットとの連携により、3社の強みを生かした企業向け業務支援システム「AceReal」(メガネ型のウェアラブルコンピュータとAR技術を組み込んだ業務支援トータルソリューションシステム)の提供に向けて準備を進めている。ハード性能の高さや独自のAR技術、優れたガイダンス性に特長があり、製造業、メンテナンス業、医療、教育などにおけるフィールド作業の効率化やアミューズメント施設のアトラクションでの利用などを予定している。特に、業務用途ごとの共通プラットフォームの開発※により、同社の強み(高精細な画像技術)が活かせる産業分野(特に、産業用機械や医療など)でのデファクトスタンダードの確立を目指す戦略である。

※安川電機<6506>から現場業務ノウハウの提供協力を受け、産業用機械のアフターサービスをARで支援するプラットフォームを開発。アフターサービスの品質向上、時間短縮によるコスト削減の同時実現を目指す。


また、VR関連においても、2016年10月に発売開始した「PlayStation RVR」向けコンテンツの開発を進めており、2018年3月期でのタイトル発売(オンライン対戦型ゲーム) を予定している。今後は、ゲームコンテンツ事業についても次世代技術を活かす機会が拡大するものと考えられる。

弊社では、今後の成長ドライバーとして、需要拡大が期待できる1)モバイルデータソリューション、2)M2M事業、3)AR事業の3つの事業が軸になるとみている。モバイルデータソリューションは、すでにリーディングカンパニーとして世界開拓を進めているが、世界規模で拡大している需要(安全、安心に対する社会的な要請)にどのように対応していくのか、その道筋に注目している。M2M事業についても、まだ実証実験段階にあるIoTソリューションとの融合を含め、同社ならではのソリューション提供により、これからの裾野拡大をいかに取り込んでいくのかがカギを握るとみている。また、新たな市場であるAR事業については、どのような戦略(ポジショニング)により先行者利益の享受や事業拡大を図っていくのかが参入にあたっての重要なテーマと考えられるが、共通プラットフォームの確立により産業分野でのデファクトスタンダードを目指す戦略は、同社の強みが活かせる分野であるとともに、事業展開のスピードを高め、スケールメリットの享受や参入障壁を構築するうえでも合理的な戦略であると評価できる。2019年3月期以降の成長加速に向けて、M2M事業やAR事業がどのようなペースで業績貢献してくるのか、今後の動向に注目していきたい。

一方、リスク要因は、市場環境に依然不透明感のあるエンターテインメント関連の動向である。構造的な問題(遊技人口の減少、低貸玉化や消費税増税による影響等)に加えて、パチンコホールの体力を奪ってきた従来の自主規制による影響がどこまで尾を引くのか、更なる自主規制の有無などが懸念材料として挙げられる。いずれにしてもパチンコホールの投資意欲の回復の状況次第と言えるだろう。業界環境の悪化に伴うリスクを最小限に抑えながら、一定の収益を稼ぐ事業構造変革の進捗にも注目したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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