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6730 アクセル

東証S
1,649円
前日比
-17
-1.02%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.4 1.44 4.37 11.10
時価総額 185億円
比較される銘柄
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メガチップス
決算発表予定日

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アクセル Research Memo(2):遊技機器向けグラフィックスLSIでトップシェア


■事業概要

アクセル<6730>は遊技機器(パチンコ、パチスロ)に搭載される液晶ディスプレイの画像を創り出すグラフィックスLSIで市場シェア45%以上を握るトップメーカー。製造は外部に委託するファブレス企業で、研究開発・販売戦略に特化している。全体の売上高に占める遊技機器向けグラフィックスLSIの比率は、期によって変動するものの7~8割で推移。また、利益に関しては、大半を同LSIで稼ぎ出す格好となっている。

その他の製品では、遊技機器向けのメモリモジュール、LEDドライバ、建設機械や医療機器などの組み込み機器向けグラフィックスLSIの開発・販売を行っているほか、顧客である遊技機器メーカーの囲い込みを目的とした開発支援用ソフトウェアや評価用基板を供給している。また、遊技機器市場以外の収益源を育成していくため、今まで蓄積してきた要素技術(画像・音声圧縮、画像拡大、超解像、暗号化技術等)を生かして、ゲームソフト開発やWEB動画広告など他分野に、ソフトウェアIP、ミドルウェア製品の開発、販売を開始している。

1. 遊技機器向けグラフィックスLSIの市場シェアと特徴
収益の柱である遊技機器向けグラフィックスLSIをパチンコ向けとパチスロ向けで分けると、約7割がパチンコ、約3割がパチスロという構成(2017年3月期実績)になっている。市場シェアで見ると、パチンコ向けで5割超、パチスロ向けで3割超の水準となり、いずれもトップシェアを占めている。製品は3~5年で機能の向上を図りながら世代交代を続けており、現在は2014年に量産を開始した「AG5」が主力製品となっている。

同社の遊技機器向けグラフィックスLSIの特徴は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする数多くのエフェクト機能も搭載している。遊技機器向けグラフィックスLSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあり、参入障壁は高い。大手パチンコメーカーの(株)三洋物産(SANYO)はグラフィックスLSIを主に自社開発(生産は外部委託)しているため、それを除けば同社の市場シェアは非常に高い状況となっている。競合企業としては米NVIDIAやヤマハ<7951>などがあり、いずれも10%台のシェアと推定される。

2. リユース品市場が変動要因
遊技機器向けグラフィックスLSI市場では、リユース(再使用)品の市場が2010年以降確立されてきたことには注意する必要がある。これは遊技機器に搭載される部材の品質が複数回の繰り返し利用でも問題ないレベルであることに加えて、遊技機器メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。遊技機器メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用する流れとなる。現状ではグラフィックスLSIの年間需要のうち、3割前後がリユース品になっていると推定され、遊技機器メーカーのコスト削減意識が高まれば、リユース率の上昇に伴い、同社のグラフィックスLSIの販売個数に影響を与える可能性がある。

3. 仕入先及び販売先
同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。現在はルネサス エレクトロニクス<6723>を始めとした国内半導体メーカーをメインに製造委託し、半導体商社を通じて仕入れる格好となっている。ただ、2019年3月期より本格量産を予定している次世代品「AG6」については、先端微細回路技術が必要なことやコスト面などを総合的に判断して、海外のファウンドリーメーカーに委託するようだ。このため、「AG6」の開発費及び仕入れについては為替の影響を受けることになる。

一方、販売先はエレクトロニクス専門商社である緑屋電気(株)が全体の80%(2017年3月期実績)を占めており、遊技機器向け製品に関する販売をほぼ一手に引き受ける格好となっている。同社が遊技機器向け製品の販売先を緑屋電気に集中しているのは、技術系商社として高いサポート力を有していることや、遊技機器市場に向けたサービスの均一化を図るためとしている。

4. 売上高研究開発費率は10%以上を継続
研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率は高く、ここ数年は10%以上で推移している。特に、2016年3月期以降は「AG6」の開発を本格的に開始したことや、演出周辺LSIなどその他LSIの開発費も増加したことで研究開発費の水準が上がっており、売上高比率でも30%を超える高水準となっている。特に、「AG6」については最先端の微細化プロセスを使用することもあり、開発費が従来と比較して大きくなっているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SF》

 提供:フィスコ

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