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6727 ワコム

東証P
596円
前日比
-3
-0.50%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.4 2.18 3.36 11.33
時価総額 906億円
比較される銘柄
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リコー
決算発表予定日

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ワコム Research Memo(6):上半期は円高要因が大きな減益要因。下半期は新製品投入も期待を下回る


■業績の動向

1. 2017年3月期決算の概要
ワコム<6727>の2017年3月期は、売上高71,313百万円(前期比8.1%減)、営業損失1,171百万円(前期は3,664百万円の利益)、経常損失870百万円(前期は3,776百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期損失5,534百万円(前期は2,309百万円の利益)で着地した。

同社の業績には季節性があり、上半期よりも下半期の方が、収益が拡大する傾向にある。年末商戦、年度末商戦などが含まれるためと考えられる。2017年3月期もそうした季節性を考慮して、上半期は営業利益予想が100百万円と非常に低い予想でスタートした。しかし英国のEU離脱問題(ブレグジット)などの要因から第1四半期末に急激な円高が進み、それが第2四半期単独期間(2016年7月-9月期も継続したため、上半期(第2四半期累計期間)は期初予想に対して営業利益が約1,000百万円下回って着地した。上半期の要因分析としては為替の円高影響とブランド製品事業での製品ミクスの悪化がマイナス要因で、テクノロジーソリューション事業は順調な進捗を見せた。

上半期の決算発表に際して同社は通期業績見通しを引き下げた。要因は、1)円高によって上半期の決算が低調に終わったこと、かつ、それを踏まえて下半期の為替レート前提を円高方向に変更したこと、2)下半期に予想していたブランド製品事業の新製品の開発の遅れを織り込んだこと、及び3)テクノロジーソリューション事業においてスマートフォン向けペン・センサー・コンポ?ネントの売上高の減少を織り込んだことだ。

これに対して、第3四半期単独期間は、為替レートが予想の前提の約103円/ドル、114円/ユーロに対して、それぞれ111円/ドル、119円/ユーロと円安で推移したことや、ブランド製品の新製品の好調な販売により、売上高は計画を上回って着地した。第3四半期決算を受けて同社は、為替レートの前提の変更(110円/ドル、120円/ユーロと円安方向に変更)や投入した新製品の販売動向などを反映して通期見通しを修正した。内容は、売上高見通しを70,300百万円から71,500百万円へと引き上げ、営業損失予想500百万円の予想は据え置いた(ただし事業セグメント別の内訳は変更された)。

第4四半期は、為替レートは112円/ドル、120円/ユーロと想定どおりでの推移となった。しかしブランド製品事業において欧米のプロ、クリエイター向け新製品の投入遅れなどから高額商品の販売が伸び悩む一方、新興国市場での販売台数増加で製品ミクスが悪化した。また、テクノロジーソリューション事業は追加受注で売上高は想定を上回り全社の売上高を下支えしたものの、利益面では製品ミクス悪化要因となった。この結果、下半期の営業利益は予想の398百万円の黒字に対して、実績は273百万円の営業損失となり、671百万円ほど予算を下回った。これがそのまま通期決算における直前予想と実績の差へとつながった。

親会社株主に帰属する当期損失が前期比較で拡大したのは、無形固定資産に計上されていたグローバルIT基盤システムの一部減損(4,224百万円)を始めとして、特別損失を総額4,838百万円計上したことによる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《NB》

 提供:フィスコ

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