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エイアンドティー Research Memo(3):第2四半期は売上高、営業・経常利益は過去最高


■2015年12月期第2四半期決算

(1)決算概要

エイアンドティー<6722>の2015年12月期第2四半期(2015年1月?6月期)決算(非連結)は、売上高が前年同期比16.9%増の5,075百万円、営業利益が同80.7%増の804百万円、経常利益が同84.0%増の793百万円、当期純利益が同80.4%増の515百万円となった。第2四半期としては、売上高、営業・経常利益は過去最高を更新した。以下の売上高及び利益の検証で細かく説明するが、自社が持つ経営資源を活かして売上を伸ばし、経費を抑えて利益を出すという、まさに経営の“王道”を貫いた成果と言えよう。また、同社の営業外収益はわずか1.96百万円であり、本業だけで収益を確保している。

a)売上高の検証
増収要因は、全体のおおよそ半分を占める「臨床検査機器システム」が前年同期比31.7%増の2,577百万円となったことにある。4分の1を占める「臨床検査試薬」と18%程度を占める「消耗品」もこれに連動する形でそれぞれ同5.5%増の1,242百万円、8.6%増の931百万円となった。一方、6%程度を占める「その他」は前年同期に総合提案による大型案件の受注拡大があった反動で同7.6%減の324百万円となった。自社が提供する、すべての製品系列で増収を実現している。同社のビジネスモデルの安定性を証明する1つの証拠と考えてよい。なお、冒頭でも触れたが、今期より今まで「その他」に計上されてきた検体検査装置のサービス、保守、修理代金とリース料は検体検査装置の売上高に計上することになった。

売上高を製品系列別に詳しく見ると、「臨床検査機器システム」のうち、検体検査装置が前年同期比16.5%増の384百万円、臨床検査情報システムが同50.2%増の1,665百万円、検体検査自動化システムが同1.8%増の527百万円となった。

数字でも明らかなように臨床検査情報システムの売上高がきわめて好調な実績を達成した。同社が主要な顧客としている大学病院などの大病院に対し、検査室の全体に関する総合提案の強化によって既存・新規を問わず国内の受注が拡大、また、年度末に当たるため受注が集中する3月の売上高が同社にとっても想定を大きく超えたと言う。一方、臨床検査試薬・消耗品は2014年12月期から引き続きOEMが好調に推移した。検体検査自動化システムは前年並みの安定した受注が続いた。2015年3月19日の前回レポートでも触れたが、臨床検査情報システムと検体検査自動化システムという2009年頃までは収益の変化が激しかった事業がともに同社のビジネス拡大をけん引する事業にまで成長した点は経営資源を十分に活かしたことによる成果であり、改めて評価に値すると言えよう。

b)利益の検証
利益が売上高の伸びを大きく越える伸びを実現した理由は、販売管理費のコストコントロールがうまくできたためである。売上原価は前年同期比17.0%増の2,540百万円で、売上高に占める売上原価の比率(原価比率)は50.1%と前年同期に比べて横ばいだが、販売管理費は前年同期比ほぼ横ばいの1,730百万円となり、売上高に占める販売管理費の割合(販管費率)は34.1%と前年同期比5.6ポイントも減少した。

販管費率を減少させることができた理由は、具体的には内製化による外注費の圧縮と、同社が進めている独自のコスト削減策が奏功したためである。内製化に関しては、営業や病院でシステムを稼働させるエンジニアの社員の拡充を主に進めた。一方、外注していたエンジニアを減らすなどにより売上原価を削減した。また、同社は研究開発を含めた内製化も進めることによって、販管費の削減に成功した。2012年12月期から若手のエンジニアを中心に人員の拡充を進め、新卒に関しては、2014年春までの過去3年間の採用は合計52人に達した。2014年12月期末での社員数は344人、パートを含めると479人になった。今後も社員の拡充を進めて行く方針で、2015年4月の新卒採用は「売り手市場」による人材確保難から8人の採用にとどまったが、2016年4月以降の採用は平均15人の確保を目指している。

独自のコスト削減策は、無駄な支出を防止する電子化されたワークフローにある。細かな支出に関しても、その可否を決める認証ラインが明確に設定されており、さらに認証の基準が透明化されていることによって社員一人ひとりが無駄な支出をしなくなるという効果も得られている。また、電子化されていることで決裁スピードが非常に速く、決裁待ちで業務が滞るようなことがない。同社は販管費の内訳を公表していないが、販管費の過半を占める人件費は人員の拡充で当然、増えている。無駄な支出の削減を積み重ねることによって人件費の増加に伴う販管費の上昇を抑制していると考えられ、コストコントロールの成果として評価できよう。

また、利益増加の要因として、これらの他に利益率の高い高機能な自社製品の販売増加と、「その他」の項目である、利益率の低い他社製品の販売の減少も挙げられよう。

営業外損益に関しては、10.85百万円の赤字と前年同期に比べ赤字幅が約2.92百万円縮小した。長期借入金の短期への切り替えに伴って支払い利息が減少したことなどにより、営業外費用が25.8%減の12.81百万円となったためである。この結果、同社が重視する売上高経常利益率は前年同期比5.7ポイント増の15.6%と一気に上昇した。こういった財務戦略も無駄な支出の削減策を徹底して行っている証左と言えよう。

なお、その他の増益要因としては、研究開発費が前年同期比5百万円、減価償却費が9百万円それぞれ減少した。ただ、これらは事業戦略上の流れの中で変化する側面があり、いずれもわずかな金額である。同社の将来の業績を予測する上で重要なものではない。一方、減益要因としては、特別損失として中国の合弁会社である東軟安徳医療科技有限公司(本社:遼寧省瀋陽市)による試薬工場の建設の遅れに伴う関係会社出資金評価損31百万円を第1四半期に計上した。

c)財務状況
財務状況は良好である。2015年第2四半期末の自己資本比率は前年同期末4.0ポイント増の55.2%まで上昇した。第2四半期純利益が利益剰余金に計上されたことが要因である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柄澤 邦光)

《HN》

 提供:フィスコ

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