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6633 C&Gシステムズ

東証S
309円
前日比
+4
+1.31%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.2 0.96 3.24 14.88
時価総額 30.3億円
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決算発表予定日

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C&GSYS Research Memo(7):次の収益源としてAM-CAM事業、IoT関連製品に要注目


■中長期の成長戦略

C&Gシステムズ<6633>の業績はリーマン・ショックにより急速に悪化し、2009年12月期には大幅な損失を計上した。その後、合併により2010年に現在のC&Gシステムズが誕生し、業績は回復に向かい2014年12月期にようやくリーマン・ショック前の水準まで戻った。この状況において同社は、「2010年から2014年までの5年間は『回復過程』であったが、今後は『成長の過程』に入っていく。その成長を達成するために以下のような中長期事業方針を遂行していく」と述べている。

1) 既存の基幹収益源(国内CAD/CAMシステム事業)の維持・拡張
2) 成長する海外CAD/CAM市場の取り込み
3) 次世代収益源としての新規事業の育成:3Dプリンタ関連を含む新規事業

また、この中長期事業方針の数値目標として、「2015年12月期から2020年12月期の売上高年平均成長率5%」、「2020年12月期の経常利益率20%以上」、「2020年12月期のROE15%以上」を掲げている。
以下は、それぞれの分野での具体的な施策である。

(1) 既存の基幹収益源(国内CAD/CAMシステム事業)の維持・拡張
魅力ある製品、満足度の高い技術サポートの提供により新規販売及び既存ユーザーの買い替え需要を喚起する。数値目標としては、保守更新率80%以上をキープする(2017年12月期実績94%)。さらに新規システム販売率20%以上(2017年12月期実績21.2%)を目指す。

(2) 成長する海外CAD/CAM市場の取り込み
成長する海外市場では、主に3つ地域でそれぞれに合った戦略を推進していく方針だ。

1つ目の地域であるASEAN地域では、バンコクにある子会社CGSアジアが中心となって、以前から日系企業が多く進出しているタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピンでの拡販を図る。ローカル企業からも受け入れられるように現地社員の教育に力を入れている。

2つ目の地域である東アジア市場、特に中国市場での需要を取り込むために、中国での販売を代理店方式へ変更した。それまで現地のテクニカルセンター(TC)から中国市場のマーケティング及び各顧客への技術サポートを行っていたが、これらの活動を、販売を含めて2017年1月からすべて代理店に移管しTCを廃止した。

これにより、日系企業に加えてローカル企業に対する地域完結型の販売、サポート、カスタマイズを推進する。代理店化により売上高は減少するが、一方で拠点管理コストも減少することから利益率は向上する見込みだ。韓国は、すべてローカル企業が対象で日系の顧客はいないため、現地の大手メーカー向けに販売を強化する。既存の現地代理店へのカスタマイズ開発ツール公開により、地域完結型での販売促進を促すほか、自動化ニーズに応えた製品の提供も展開する。また台湾では、親日ということもあり比較的日本製品が受け入れられやすいため、以前からの方針を継続して拡販を図る。

3つ目の地域である北米では、カナダにある子会社CGSカナダを中心として、主に現地の自動車関連メーカーなどに対して、日本の工作機械メーカーとの協力体制のもと販売拡大を目指していく。

これらの海外市場では、主に2つの大きな施策を進めていく計画だ。1つ目は「APIサテライト構想」というもので、ローカル顧客のカスタマイズ要求に応えるため、現地でカスタマイズが行える、すなわち顧客の要望に対して現地で機敏に対応できる体制を整えるものだ。2つ目は「テクニカルフランチャイズ(技術代理店)構想」と呼ぶもので、代理店を単なる販売拠点という扱いではなく、CAD/CAMシステムの技術を持つ拠点として育成し、ローカル企業に対して同社製品の技術サポートを地域完結型で行っていくというものだ。

(3) 次世代収益源としての新規事業の育成:3Dプリンタ関連を含む新規事業
第3の基本戦略として同社が進めているのが、CAD/CAMシステム等事業、金型製造事業に続く「次の収益源」となる新規事業の育成だが、現在最も期待されているのがAM-CAM事業だ。さらに今後は、IoTと連携した金型用工程管理システム「AIQ(アイク)」を拡充していく。

同社では現在、CAD/CAMシステム等事業で培ってきた開発技術を生かした3Dプリンタ向けの「ソリューション開発・研究」にも注力している。金型用CAD/CAMメーカーとして長年培ってきた各種プログラムや事業ノウハウを3Dプリンタや関連ソリューションに生かすものである。

今回、同社と某工作機械メーカーとの共同研究により、同時5軸制御による積層造形と切削加工を同一のマシン上で行う試作機を、2016年11月に開催された「JIMTOF2016」で公開した。これにより、自由曲面や、今までは加工が難しかった中空形状など複雑な形状の造形が可能になり、製作時間の短縮化、サポート材※が不要になることによる材料費の大幅削減及び、同時に機械加工まで行うことによる後工程での工数削減、精度向上が可能となり、小ロット部品の容易な製造等が実現する。まだテスト段階であり、本格的な実用化までには時間を要すると思われるが、同社にとっての「次世代収益源」の柱の1つとして、今後のAM-CAMの展開は大いに注目に値する。

※積層加工においては中空になる部分に目的物とは別の材料を積層し、目的物を支えながら材料を積層していく。サポート材は積層終了後、製作者が手ではがしたり水に溶かしたりすることで除去する必要がある。


さらに同社は、TRAFAM(Technology Research Association for Future Additive Manufacturing:技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構)に参画している。このTRAFAMは、日本のものづくり産業がグローバル市場において持続的かつ発展的な競争力を維持するため、少量多品種で高付加価値の製品・部品の製造に適した世界最高水準の次世代型産業用3Dプリンタ及び超精密3次元造形システムを構築し、日本の新たなものづくり産業の創出を目指すために設立された団体で、関連した多くのユーザー、メーカー、ソフトウェア会社が参画している。これらの製品や機構への参画は、今すぐに同社の業績に影響を与えるものではないが、将来の技術蓄積のためにはプラスとなるはずだ。

今後注力するもう1つの製品が、IoTと連携した金型用工程管理システム「AIQ(アイク)」だ。金型の製造工程管理を、以前は日報(紙)ベースで行っていたが、デジタル化への要望は強かった。同社の「AIQ(アイク)」は、その要望に応えるべく現場でのIoTを活用して各種データや工程状況をデジタルデータ化してシステム上で活用するものだ。同社では、数年前からこれらの開発を行っていたが、2017年6月に製品をリニューアルし、それを契機に本格的にこの市場を開拓することにした。以前から需要は旺盛であったが、満足するシステムが提供されておらず、ある意味で「真っ白な市場」と言える。同社ではさらなる顧客満足のために、今後はカスタマイズ開発を考慮した開発体制の確立及び技術サポート体制の確立を進めていく計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MH》

 提供:フィスコ

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