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C&R Research Memo(9):AI、VR技術を使った新規サービスの展開に注目


■業績動向

2. 事業セグメント別見通し
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリーク・アンド・リバー社<4763>のクリエイティブ分野(日本)の売上高は前期比15%増の22,000百万円、セグメント利益は同16%増の1,350百万円と2ケタ増収増益となる見通し。本社グループ移転統合に関連する5億円の費用増を増収効果や新規エージェンシー事業の収益改善により吸収する格好となる。

分野別で見ると、映像分野は前期に引き続き増収となるものの人件費の負担増により、営業利益は前期並みの水準にとどまる見通し。一方、ゲーム分野については受託開発案件の増加や旺盛な派遣需要により2ケタ増収増益が続く。自社タイトルについては3~4タイトルを開発する計画となっているほか、「Facebook インスタントゲーム」も複数タイトル投入する予定となっている。Web分野についても今期は2ケタ増収増益となる見通しだ。官公庁向けWeb制作の大型案件が寄与するほか、前期に立ち上げた専門求人サイト「Webist」を通じた派遣サービスの拡大が見込まれる。

出版分野では、中国を中心とした海外市場向けに小説等の映像化権エージェントサービスが伸びる見通し。特に最近はインターネットによる動画配信市場が拡大しており、日本の作品に対する引き合いも活発化している。また、会計分野や法曹分野についても登録スタッフの増加に伴い、安定成長が見込まれている。

これら各プロフェッショナル分野における人材不足は慢性化しており、人材の採用・育成さえ順調に進めば売上高で最大30億円程度の上積みは可能と弊社では見ている。

(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比91%減の90百万円、セグメント利益は同619%増の20百万円を見込んでいる。韓国のゲームコンテンツ2タイトルの日本へのライセンシング等、ライツマネジメント事業が貢献する。

(3) 医療分野
医療分野の売上高は前期比4%増の3,700百万円、セグメント利益は同4%増の600百万円となる見通し。医療分野においても全国的な医師不足・地域的偏在が続いており、医師の紹介事業を中心に安定成長が見込まれる。医療分野については毎期、保守的な計画を組む傾向にあり、足下の市場環境を勘案すれば売上、利益ともに若干の上乗せ余地があると弊社では見ている。なお、今期も新たに事業所を1拠点開設する計画となっており、全体で16拠点体制となる。

(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比23%増の4,014百万円、セグメント利益は同17%減の54百万円となる見通し。IT、会計、法曹分野で増収増益となるほか、新規事業であるファッション、シェフ、プロフェッサー分野、並びに新規サービスのプロフェッショナルメディア事業で増収効果による黒字化を見込んでいるが、新たに連結対象となったIdrasysやエコノミックインデックスの営業損失分が減益要因となる。

なお、VR Japanでは2018年夏に「IDEALENS」の新機種「IDEALENS K3-4K」「IDEALENS K3-PRO」の発売を予定している。両製品とも4Kの高解像度、内蔵スピーカとマイクが付いた世界初の一体型VRゴーグルとなる。「K3-PRO」には、手の動きをVR画面上で表示できるハンドジェスチャー認識機能も搭載している。国内のVR市場については、2018年1月に「VRコンテンツのご利用年齢に関するガイドライン」が施行され、一定の条件下におけるVR施設で7歳以上からの利用が可能となった(従来は13歳以上)こともあり、今後、産業用途だけでなく、アミューズメント施設やBtoC市場においての普及拡大も見込まれており、今後の成長が期待される。2019年2月期の売上規模としては数億円程度を見込むが、プロモーション費用等の先行費用がかさむため、黒字化は2020年2月期以降となる見通しだ。

Idrasysで展開するAIプラットフォーム「SmartRobotR」については、金融業界やサービス業界向けを中心に拡販を進めていく計画となっている。前述したように「Watson」並みの高性能AIエンジンを低価格で提供できるほか、台湾で既に5億件のQ&Aデータが蓄積されており、独自のアルゴリズムやディープラーニングによる正答率の高さが強みとなっている。日本向けにチューニングする必要はあるものの、チャットボットは国内でも普及初期段階であり、今後の成長が期待される。なお、2019年2月期は売上高で数千万円、営業損失で数千万円規模を見込んでいる。

その他、AI技術(画像解析)の応用展開ではドローンやVR技術と組み合わせて、酪農業界向けに放牧牛の疫病早期発見ソリューションサービスの提案を進めていくほか、東芝デジタルソリューションズ(株)と協業して進めている「RECAIUS(リカイアス)」※1と呼ばれる音声合成技術を活用した新たなサービスの提供も開始している。具体的には、法曹分野のSNSプラットフォーム「JURISTERRA」の新機能の1つとして、「音声書き起こしエディタ」※2のサービスを2018年4月より開始した。「RECAIUS」の音声合成技術と「SmartRobotR」のAIエンジンを組み合わせることで精度の向上を図ったほか、不明テキスト部分からの音声の自動再生が行えるなど使い勝手を良くしたことが特徴で、人手が少ない中小規模の法律事務所や少人数の企業法務部での需要が見込まれている。サービス開始後3日間で約50件の登録があるなど順調な滑り出しとなっている。

※1 RECAIUS…音声や映像から人の意図を理解しビジネスと生活の安心・快適な活動をサポートするコミュニケーションAI技術。東芝<6502>が研究開発してきた音声認識、音声合成、翻訳、対話、意図理解、画像認識(顔・人物画像認識)などのメディア知識処理技術を融合し体系化した技術となる。
※2 音声書き起こしエディタ…月額2.4万円で10時間分の音声データをテキストに書き起こす法曹分野に特化したサービス。


ビッグデータ分析サービス事業を展開するエコノミックインデックスでは、独自開発したデータ解析サービス「Strategy Finder(ストラテジー ファインダー)」の収益化に取り組むとともに、データ解析結果に基づくWebマーケティングやデジタルマーケティングに関するソリューションサービスに注力していく計画となっている。2019年2月期に関してはまだ投資負担が先行するため、営業損失で数千万円程度を見込んでいる。

(執筆:フィスコアナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

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