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6444 サンデン

東証S
160円
前日比
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PTS
160.1円
13:40 04/19
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時価総額 179億円
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注目再び「脱フロン」、規制強化が広げる“ビジネスチャンス” <株探トップ特集>


―代替フロン“85%削減”へ競争開始、先行日本勢の期待株は―

 冷蔵庫などの冷媒にフロンを使用しない「脱フロン 」の動きが加速しようとしている。コンビニエンスストア業界でいち早くフロン未使用の冷蔵庫導入に取り組んだローソン <2651> では、導入店舗を17年度末までに2700店舗に拡大させる見通し。マルハニチロ <1333> や味の素 <2802> といった冷凍食品大手やコロワイド <7616> 、ロイヤルホールディングス <8179> など外食企業でも冷凍・冷蔵庫の脱フロンを進めている。世界的にも「脱フロン」に向けた動きが加速するとみられ、関連する企業のビジネスチャンスが拡大しそうだ。

●モントリオール改定議定書で代替フロン生産を制限

 「脱フロン」加速のきっかけは、昨年10月、フロン規制の国際的な枠組みであるモントリオール議定書の締約国会議で、強い温室効果がある代替フロンの生産を規制する改定案が採択された(発効は2019年1月)ことにある。同会議では、代替フロンの代表格であるハイドロ・フルオロ・カーボン(HFC)の生産量を、先進国は36年までに11~13年比で85%削減することで合意。発展途上国も先進国に遅れて削減することが求められることになった。この結果、先進国と途上国を合わせた全ての締約国で、40年代後半にはそれぞれ基準年比で80~85%削減することを目指すことになる。

 「フロン」の規制というと、古い話のようにも聞こえるが、かつての「フロン規制」は人体に有害な紫外線を遮るオゾン層の保護が目的だった。これを受けて、00年代からオゾン層を破壊しない代替フロンへの切り替えが進んだ。

 しかし、地球温暖化に関心が移るなか、代替フロンの温暖化効果が二酸化炭素(CO2)の数百~数万倍とわかり、環境意識の高まりから、「脱フロン」へと関心が高まることになる。前述のモントリオール議定書の合意で、この動きがさらに加速することになろう。

●来年の通常国会に改定オゾン層保護法提出へ

 国内でも「脱フロン」に向けた動きが強まろうとしている。日本のオゾン層保護法(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)では、HFCは規制の対象外だったが、国際社会で使用を制限すべきだとの主張が強まっていることを受けて改正に向かう方針。環境省と経済産業省では改正案を来年の通常国会に提出し、成立を目指すことが伝わっている。

 国では、「脱フロン社会構築に向けた業務用冷凍空調機器省エネ化推進事業」でフロンを使用しない冷媒機器の導入を支援する一方、関連する業界に対して代替フロンの漏洩防止や削減努力を課してきた。改正法が成立・施行されれば、使用制限に向けて一段と踏み込むことになり、「脱フロン」の動きが一気に加速する可能性が高い。既にこれを見据えた企業の動きも出ており、要注目だ。

●パナソニックは5月から欧州でも展開

 三菱重工業 <7011> は今年4月、同社として初めてCO2を冷媒に採用した業務用冷凍冷蔵ユニットの販売を開始した。冷凍冷蔵倉庫やスーパーマーケットなどの冷凍冷蔵食品陳列ケース向けを中心に、省エネや環境負荷低減に対するニーズを開拓する製品と位置づけて拡販に取り組んでおり、初年度100台の販売が目標。今後も対応する製品のラインアップを拡充する方針だという。

 また、パナソニック <6752> は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに、10年からノンフロン冷凍機を展開していたが、モントリオール議定書の合意を受けて今年5月からは欧州での販売も開始した。欧州ではノンフロン冷凍機の普及が日本に比べて遅れていることから、市場シェア獲得を狙う。

 さらに、国内では6月には低コストで設置できるタイプを開発するなど同分野への注力を強めており、現在年1000~2000台納入しているノンフロン冷凍機を、25年までに6倍以上に増やしたい考えのようだ。

●サンデンはノンフロンのカーエアコン用コンプレッサーを開発

 冷凍冷蔵機器以外の分野でも「脱フロン」に向けた動きが出始めている。

 サンデンホールディングス <6444> は今年7月、CO2を冷媒に使った自動車エアコン用コンプレッサーを開発し、5月から独ダイムラー社に量産車向けとしては世界で初めて、本格的な供給を開始したと発表した。同社は冷凍・冷蔵ショーケースや自動販売機などで、CO2冷媒の採用に積極的に取り組んでおり、これを自動車へ応用した。現在はベンツの「Sクラスクーペ」で採用されているが、これをきっかけに採用車種の拡大やさらなる受注獲得を目指すようだ。

 また、セントラル硝子 <4044> は、住宅の断熱材の断熱機能を高めるのに使われる発泡剤でノンフロンを進めている。昨年11月には、化学品の主力生産拠点である宇部工場(山口県宇部市)に、ハイドロ・フルオロ・オレフィン(HFO)の一種であるノンフロンの製造プラントを設置した。同社のHFOは、精密部品の洗浄剤としても用いられており、今後、収益の柱に育つ可能性もある。

 さらに、「脱フロン」を組み込んだESCO(エスコ=省エネルギー支援サービス)を手掛けるウエストホールディングス <1407> [JQ]なども関連銘柄として注目されそうだ。

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