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キトー Research Memo(4):18/3期第2四半期は売上高、営業利益ともに期初予想を上回っての着地


■業績動向

● 2018年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
キトー<6409>の2018年3月期第2四半期は売上高で24,661百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益で1,269百万円(同11.7%減)、経常利益で879百万円(同8.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益で532百万円(同46.1%増)となった。営業利益は前年同期比では減益となったが、全社的な新基幹システム(ERP)への移行計画により期初から減益予想であった。結果としては売上高、営業利益ともに期初予想を上回っており、内容としては好決算であったと言える。地域別売上高は日本がほぼ横ばいであったが、海外はすべての地域で増収となり、その結果、売上高比率は日本が24.0%、海外が76.0%となった。

売上総利益率が34.0%(前年同期は37.6%)と低下したが、これはERPへの移行に伴い主力の山梨工場の操業度が大きく低下したためで、当初からの想定の範囲内であった。一方で販管費を7,117百万円(同0.2%増)に抑えたことから営業利益は前年同期比で11.7%減に止まり、期初予想を5.8%上回った。営業外費用として非連結のイタリア子会社収支177百万円を持分法による投資損失として計上した一方で、前年同期に計上した為替差損(282百万円)が消失したことから、経常利益は前年同期比8.3%の減益となった。最終損益では、前年同期に発生した負ののれん発生益489百万円(特別利益)が消失したものの、法人税等が308百万円(前年同期1,070百万円)と大幅に減少したことから、親会社株主に帰属する四半期純利益は増益となった。

(2) 地域別状況
地域別の状況は以下のようであった。平均為替レートは、USドルが111.1円(同105.3円)、カナダドルが85.6円(同81.2円)、ユーロが126.3円(同118.2円)、人民元が16.4円(同17.1円)となり、人民元以外は円安で推移した。

a) 日本
日本は売上高5,925百万円(前年同期比1.0%減)となったが、この結果は市場環境や需要動向によるものではなく、同社の新基幹システム稼動による一時的な生産活動の遅れにより、予定された出荷に対応できなかった為である。

実際の足元の需要動向では、インフラ整備(公共投資関連)、民間設備投資関連ともに受注は堅調に推移している。顧客の中には、同社の生産が上期には落ちることを承知して、発注を下期にずらしているところもあったようだ。市場環境、需要動向は、この決算数値ほどは悪くはなく、下期にどれだけ取り戻せるかが今後のポイントとなりそうだ。

b) 米州
米州は売上高11,781百万円(前年同期比8.2%増)となった。トランプ政権の運営や資源価格の動向など、依然として不安要素はあるものの、製造業の設備投資やインフラ関連需要も底堅く推移した。売上高は円安の影響もあり増加しているが、現地通貨ベースでも前年同期比2.6%増となっている。「内容としては、堅調であった」と同社は述べている。

c) 中国
中国は売上高2,857百万円(前年同期比11.6%増)となった。現地通貨ベースの売上高は前年同期比16%増となっており、ようやく底打ち感から回復の気配が見られる。ボリュームゾーンである量産品の需要は底ばいが続いているものの、一部の顧客企業の設備投資意欲は高まっており、日本から輸出される高級品の需要は今後高まることが予想される。「長期的な視点からは、経済構造の変換が進んでいる感じが出ており、今後は結果としての数字だけでなく、その中身も注視する必要がある」と同社は述べている。

d) アジア
アジアは売上高1,963百万円(前年同期比0.3%増)となった。韓国においては、フラットパネルディスプレイ向けクリーンルーム用クレーンの受注が好調を持続している。この大手電子メーカー向けクリーンルーム用クレーンの受注は2019年まで見えており、今後も堅調な売上げが続く見込みだ。タイにおいては、管理体制の強化策は終了しており、収益力は高まっている。アジアでは、各地域でサービス事業、ホイスト販売の強化に注力しており、地域全体の収益力は着実に高まっている。

e) 欧州・その他
欧州の売上高は968百万円(前年同期比44.0%増)、その他地域の売上高は1,165百万円(同83.7%増)となった。その他地域が大幅増収となったのは、2016年に買収したPWB Anchorの分が2017年3月期第2四半期から連結に加算されたためで、従来のその他地域(アフリカや中東)は横ばいであった。欧州ではブランド力の強化策を推進中であり、その効果は次第に現れ始めている。

(3) 財務状況
2018年3月期第2四半期末の財務状況は以下のようになった。流動資産は38,088百万円(前期末比128百万円増)となった。主要科目では現金及び預金が331百万円増、受取手形及び売掛金が997百万円減、たな卸資産が965百万円増となった。たな卸資産が増加しているのは、国内在庫が若干増加したことに加え、海外子会社の在庫(未実現利益)が増加したことによる。固定資産は21,931百万円(同245百万円減)となったが、内訳は有形固定資産11,656百万円(同291百万円減)、無形固定資産7,547百万円(同111百万円減)、投資その他の資産2,727百万円(同157百万円増)であった。無形固定資産が減少しているのは主にピアレスののれん償却が進んでいるため。この結果、資産合計は60,019百万円(同117百万円減)となった。

流動負債は16,377百万円(同3,646百万円減)となったが、主な変動は支払手形及び買掛金の増加608百万円、短期借入金の減少4,254百万円などである。固定負債は21,980百万円(同3,105百万円増)と増加したが、 主に短期借入金から振替えた長期借入金の増加3,115百万円による。純資産は21,662百万円(同423百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加250百万円、為替換算調整勘定の増加166百万円などによる。

(4) キャッシュ・フローの状況
2018年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは2,953百万円の収入(前年同期972百万円の収入)となった。主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上879百万円、減価償却費1,017百万円、のれん償却額163百万円、売上債権の減少1,046百万円、仕入債務の増加597百万円で、主な支出はたな卸資産の増加805百万円などであった。投資活動によるキャッシュ・フローは869百万円の支出(同791百万円の支出)となったが、主な支出は有形固定資産の取得408百万円、無形固定資産の取得298百万円など。財務活動によるキャッシュ・フローは1,757百万円の支出(同928百万円の支出)となったが、主な支出は長短借入金の減少(ネット)1,237百万円、配当金の支払額283百万円による。この結果、現金及び現金同等物は330百万円増加し、四半期末の残高は9,389百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《TN》

 提供:フィスコ

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