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6277 ホソカワミクロン

東証P
4,295円
前日比
-60
-1.38%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.0 1.10 2.33 6.45
時価総額 676億円
比較される銘柄
日立造, 
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住友重
決算発表予定日

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再臨「全固体電池」関連、EV超進化ステージで“躍る5銘柄”+1 <株探トップ特集>


―投資マインド改善とテーマ買い復活、EV周辺人気素地に照準―

 9月初旬の沈鬱な地合いはどこに消えたのか、第2週を境に全体相場は買いが一気に優勢となり、怒涛の上昇波形成に至っている。日経平均株価の上値を押さえる強力なフシ目となっていた2万3000円ライン突破で号砲が鳴り響き、19日は一時400円を超える上昇で2万3800円台半ばまで上値を伸ばすなど驚異的な強さをみせている。

 もちろん今は踏み上げ相場の色彩が強く、買い戻し一巡後にこの反動は出てくると思われるが、主力株の総花的な上昇が一服した場合でも、投資マインドの改善がもたらしたテーマ買い復活の流れはむしろそこから加速する。現在、投資家の関心が高いのは電気自動車(EV)とその周辺銘柄で、ここは爆発的な人気素地を内包する全固体電池関連株に照準を合わせてみたい。

●開発競争が一段と先鋭化する全固体電池

  自動車の環境規制の高まりを背景に、世界的なEVシフトの動きが加速していることは周知の通りだ。そして、その動力源である リチウムイオン電池の需給逼迫が取り沙汰されている。株式市場でも関連銘柄への投資意欲は旺盛で、既に株価水準を大きく変貌させた銘柄も少なくない。一方、現在はリチウムイオン電池の“次”の世代を担う車載用2次電池として「全固体電池」の存在も注目されており、同分野における開発競争が一段と先鋭化している状況にある。

 現行のリチウムイオン電池の電解液の部分を固体材料に変え、すべての部材が固体で構成されている電池、ゆえに“全固体”電池ということになるが、これには数多くの利点がある。第一に可燃性の電解液で問題となっていた発火リスクを解消できるということ、そして構造がシンプルで積層化が容易なためコンパクト化する際に融通が利くということ、さらに多くの電気を貯蔵することが可能でEV航続距離の大幅な延長を実現し、長寿命化やフル充電時間の短縮といった課題もクリアする。

 現状は硫化物系の固体電解質を用いた全固体電池が本流で、現行のリチウムイオン電池を凌ぐエネルギー密度や、出力密度を達成できるレベルまで研究開発が進んでいる。一方、取り扱いが容易でより安全性の高い酸化物固体電解質からなる全固体電池に対する潜在的ニーズはさらに高い。ただし、現時点では酸化物型で車載用に実用可能な電池性能は確保できていない状況にある。

●パナソニックとトヨタの連携で飛躍期待

 車載用リチウムイオン電池分野では、日本メーカーとしてパナソニック <6752> が一頭地を抜く存在だが、その同社も現在は中国メーカーに猛追され逆転を許している。しかし、未開拓の地である全固体電池分野の技術開発では、同社を筆頭に日本は世界でも際立つ特許出願件数を誇っており、中国と比べてもかなり先行している段階にある。したがって、日本の立場としては、この全固体電池で是が非でも先頭集団を走り続け、技術立国日本の意地をみせたいところだ。株式市場で全固体電池が常に高いテーマ性を持って投資家の視線を浴びる理由としては、こうした思惑が底流しているともいえる。

 当然ながら、東京株式市場で断トツの時価総額を誇り、自動車業界の盟主であるトヨタ自動車 <7203> の存在は大きい。同社は東京工業大学と共同で学術研究を進捗させ、既にかなり以前に電解液よりもリチウムイオンが通りやすい電解質を発見している。試作品の段階ながら、現行のものと比較して3倍以上の出力を有する電池を完成している段階で、今後が期待されている。前出のパナソニックとも連携して全固体電池開発に力を注ぐ構えにあり、2020年代前半の実用化を目指す方針だ。

 同分野は民間企業だけではなく、産官学が一体となって次のステージに向け尽力している。日本が有する世界における先行者利益を生かすべく、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月に「全固体電池の研究開発プロジェクト第2期」が始動したことを発表、全固体リチウムイオン電池の製品化に際し、課題解決に向けた技術や量産技術確立に取り組む姿勢を一段と強めている。

●大相場の匂い漂わせる三桜工

 車載向け全固体電池の実用化にはまだいくつか越えなければならない課題は残されているものの、30年以降にはリチウムイオン電池に代わってEVの動力源として主役の座を担う可能性が高い。ひとつ理解しておくべきは全固体電池についてもリチウムは使われるため、リチウム需要そのものは今後も高水準かつタイトな状況が続くことに変化はない。

 これまでにテーマ物色の中軸を担った銘柄としては、光学ガラスのトップメーカーで全固体電池の研究開発でも先駆するオハラ <5218> 、富士通グループの電子部品メーカーで電池に強いFDK <6955> [東証2]、さらに、主力ハイテク株の看板を掲げながら同分野にも野心的な構えをみせるTDK <6762> などが記憶に新しい。TDKはセラミックス製で小容量タイプの全固体電池の量産化計画を着々と進めている段階にあり、マーケットの視線は熱い。また、これ以外では日本特殊陶業 <5334> 、日本ガイシ <5333> 、日立造船 <7004> 、三洋化成工業 <4471> 、新東工業 <6339> なども特許絡みで関連銘柄と目されている。

 しかし、ここにきて全固体電池が投資テーマとして再びマーケットで意識され始めた背景には三桜工業 <6584> の株価急動意がある。同社は9月11日に一時ストップ高に買われる人気となったが、これは独自技術で全固体電池の開発を手掛ける米ソリッド・パワーへの出資が材料視されたものだ。

 三桜工では「(今回の出資に伴い)全世界的に需要拡大が見込まれる全固体電池分野で、ソリッド・パワー社及びその提携先企業とのコラボレーションを推し進め、事業領域の拡大と株主価値の増大を目指す」という力強いコメントを発信しており、これは今後の株価形成にも強力なインパクトを与える会社側の強い意思を感じさせる。11日に752円まで瞬間風速で買われた後は売り買いを交錯させているが、今は足場固めの時間帯。75日移動平均線が横に走る700円近辺での値固めを経て、再上昇に向かう可能性は濃厚といえ、中期的には昨年11月以来となる4ケタ大台乗せも十分視野に入りそうだ。

●全固体電池でここから要注目の5銘柄はコレだ

 このほか、今の東京市場において全固体電池関連としてここから株価変貌余地のある銘柄を5つ選出してみたい。

【石井表記】

 まず石井表記 <6336> [東証2]が挙げられる。同社はプリント基板製造装置メーカーで、インクジェット装置などで高度な技術力を持つが、インクジェット製法による全固体電池の開発を継続しており、株価の変貌余地が意識される。19年1月期は営業減益見通しながらPERは10倍割れで、しかも9期ぶりの復配を計画。2000年には修正後株価で4200円台まで買われた経緯があり天井も高い銘柄だ。

【ニッポン高度紙工業】

 また、ニッポン高度紙工業 <3891> [JQ]からも目が離せない。トヨタと共同で電池負極材活性物質の特許を出願しているほか、サムスン日本研究所と全固体電池向け固体電解質シートの特許も出願している。株価は足もと動意含みとはいえ、中段ボックス圏下限に位置しており、上値の伸びしろは非常に大きい。19年3月期経常利益は18億1000万円と前期比2ケタ増益見通し。最終利益はパルプ製造子会社の売却による特別利益計上で前期比4.6倍を見込む。

【ホソカワミクロン】

 ホソカワミクロン <6277> も絶好の買い場となっている公算大。前週12日に年初来安値を更新するなど底値圏にあるが、それだけにディスカウントの利いた時価6000円台前半は食指が動く。同社は電子材料や化学業界向けで旺盛な需要のある粉体製造装置のトップメーカーで、そのナノレベルの高い技術力は他社の追随を許さず、ナノテク関連として脚光を浴びてきた。リチウムイオン電池では製造に使うネオジム、鉄、ボロンなどの磁性材料をジェットミルなどにより粉砕し製品化する技術が注目されたが、次世代電池全般の開発にも経営資源を投入、早晩、全固体電池分野でも頭角を現す可能性がある。

【カーリットホールディングス】

 カーリットホールディングス <4275> も改めてマークする場面だ。同社株についてはこれまでにも全固体電池関連の象徴的な銘柄として物色人気を集めた経緯があり、馴染みの投資家も少なくないはずだ。株価の瞬発力は群を抜いており、ちょうど1年前の9月半ばにストップ高を演じ、11月中旬から上昇加速局面入り。同月下旬には1369円の高値まで駆け上がり、約2ヵ月間で株価は倍化した。化学品事業部門で手掛けるリチウムイオン電池など2次電池の評価試験ではセルからモジュールまで幅広い種類をカバーしており、受託件数は増勢の一途。この実力をベースに全固体電池向け固体電解質分野の研究開発にも重きを置いていることで、手掛かり材料は豊富といえる。

【東邦チタニウム】

 東邦チタニウム <5727> も全固体電池関連のテーマ物色の波に乗る公算がある。同社は航空機向け中心にスポンジチタンや、半導体材料向け高純度チタン製造で実績が高い。チタンなどを配合することによる高出力の固体電解質の生産技術を持つ点が着目される。従来品の5倍以上の高イオン伝導率を有するリチウムイオン透過固体電解質の開発に成功していることから、近い将来、同社の収益機会が大きく広がりをみせる余地は大きいといえる。

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