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6165 パンチ工業

東証S
436円
前日比
-4
-0.91%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.57 4.41 96.21
時価総額 107億円
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決算発表予定日

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パンチ Research Memo(4):17/3期通期は減収増益の見込み


■今後の見通し

(1) 2017年3月期見通し

パンチ工業<6165>の2017年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.9%減の35,700百万円、営業利益が同9.4%減の1,800百万円、経常利益が同2.0%増の1,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.1%増の1,250百万円を見込んでいる。下期も国内製造業の景況感が弱含みで推移していることや、為替の円高傾向が続くと見て海外市場の円換算ベースの売上高が落ち込むと見た。

最も影響の大きい中国元通貨については、期初計画で前期比2円/RMB円高の17.2円/RMBを想定していたが、今回、前提レートを16.3円/RMBに見直した。この結果、通期でも中国市場向けの売上高は円換算で減収となる見通しで、円高による影響額は25億円超になると見られる。なお、中国子会社の売上高は2016年12月期第3四半期累計(1月?9月)で前年同期比14%増となった模様で、2016年12月期第3四半期も引き続き好調を維持している。自動車や電子部品、飲料関連など全般的に需要は旺盛なようだ。

一方、国内市場については期初計画で2%程度の増収を見込んでいたが、景況感が弱含んでいることもあり、下期も前年同期並みの水準で推移する見通しだ。ただ、直近では自動車向けで来年度に投入する新車向けの動きが出始めているほか、飲料関連の受注も活発化するなど少し明るい動きも出始めている。同様にアジアその他市場についても自動車や電子部品、家電向けを中心に全般的に金型部品の需要は伸びており、現地通貨ベースでは好調を維持する見通しだ。

以上から、売上高は国内が横這い水準となり、海外市場は現地通貨ベースで好調を持続するものの、為替の円高進行により円換算ベースで減収となる見通しとなる。ただし、11月末時点の元通貨は16.2円/RMBと想定よりやや円安方向となっており、今後も会社想定より円安で推移すれば売上高も増額される可能性がある。特に、中国子会社については12月末の為替レートが注目される。

下期の売上原価率については国内が横ばい水準となるものの、海外子会社の改善が進む。また、販管費も下期はコントロールしていくことから、下期の営業利益率は上期比で0.7ポイントの改善を見込んでいる。なお、営業外収支については2016年3月期に293百万円計上した為替差損が、今期は通貨オプションによるヘッジを実施したことにより縮小することで改善を見込んでいる。

(2)ベトナム工場の稼働とリバースエンジニアリング事業について

a)ベトナム工場について
同社は2016年10月よりベトナムの新工場を稼働させた。ベトナム工場に関してはグローバル生産体制の拡充と最適化、及び将来的には同国内での需要取り込みも目的とした生産拠点となり、生産規模としては数年後に10億円規模を目指している。当面は中国で生産している標準製品の前工程を移管していくことになる。人件費だけで見れば中国の3割強から半分程度と安く、固定費負担が軽減されるほか、生産ラインも最新の自動化ラインを導入するため、前工程だけで見れば製造コストを大幅に引き下げることが可能となる。また、次のステップとして日本から標準製品の前工程を移管して、ベトナム工場で半加工製品として仕上げ、日本の工場に供給する体制を構築していく計画となっている。

ベトナム工場の本稼働に伴い生産拠点を最適化することで、標準製品の原価率改善を進めていくほか、中国においては空いたラインで特注品や高付加価値製品の生産を強化し、更なる事業拡大を推進していく戦略となっている。

b)リバースエンジニアリング事業
同社は、顧客へのサービス向上を目的としてリバースエンジニアリング※事業を2016年4月より開始した。背景には、金型や金型用部品のメーカーの再編によって金型用部品の図面が消失してしまい、その金型を使って量産してきた製品が製造できなくなるといったケースが増えてきていることにある。

※機械を分解したり、製品の動作を観察したり、ソフトウェアの動作を解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査すること。ものづくりにおいては、3DCADや接触式、非接触式3次元形状データ測定器の発達により、リバースエンジニアリングが急速に普及している。

当初は図面を紛失した顧客に対して、現物品から3Dスキャニングにより図面を復刻するサービスや復刻した図面を使って金型部品を製造供給するサービスを想定していたが、実際にはこうした需要以外に想定していなかった引き合いも増えているという。例えば、図面が残っている場合でも、実際の生産現場では金型部品を微調整して使っているケース(=図面とは寸法などが変わってくる)もあり、このような調整後の金型部品の図面を新たに作成して欲しいという依頼や、建築業界や3Dモデリングのフィギュアメーカーなど異業種からの問い合わせも増えている

同社では名古屋の事業所で、自動車業界の既存顧客向けを中心に専門スキルを持った人材を中途採用し7名で営業活動を展開しているが、月に数十件程度の問い合わせがあり繁忙状況が続いている。このため、設備機器(3Dスキャニング装置等)の追加購入や人員体制の増員も検討している。同社ではリバースエンジニアリング事業に関して、今後3年程度かけて高付加価値のビジネスモデルを構築していく方針としている。また、中国でも同様のニーズがあることから、将来的には中国でのサービス展開も検討している。当面は先行投資期間となるため収益への貢献は見込めないが、既存顧客に対するサービス向上につながるほか、新規顧客開拓のフック役となる可能性もあるなど、間接的なプラス効果が期待される。また、潜在的な需要の裾野も広いことから今後の展開が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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