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6096 レアジョブ

東証S
684円
前日比
-13
-1.87%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
2.49 1.90 36.48
時価総額 67.3億円
決算発表予定日

銘柄ニュース

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レアジョブ Research Memo(2):16/3期上期業績は戦略的投資の効果が顕在化する結果に


■業績動向

●中期目標と2016年3月期会社計画

(1)中期目標

レアジョブ<6096>は英会話オンライン市場のシェアアップに加えて通学制英会話教室をはじめとするオフライン市場からのシェア獲得を進めることで、2018年3月期に営業利益500百万円を達成することを中期目標として掲げている。このために、国内ではこれまでの「量」の確保に加えて「質」(レッスンの質、高ARPU施策)を高めることに重点を置いた積極的な投資を行う計画。さらには英語の実践力を最大化するためのラーニングサイクルの設計を行うことで、インプット&練習&実践を融合したサービス開発を進め、「成果が見えるサービス」の提供を目指す。加えて、日本発グローバルスタンダートの英語総合学習プラットフォームとなるプロダクトを世界へ展開することをもくろんでおり、その第1弾としてブラジルでオンライン英会話サービス※を2015年10月から開始した。
※サービスの概要は、サービス時間:ブラジル時間19:00~25:00(日本時間7:00~13:00)、プランは毎日25分、毎日50分、月8回。既存サービスの機能を利用し、ブラジル向けに最適化を実施している。

具体的な新規ユーザー獲得施策として、認知度向上に向けたマス広告の実施、初心者、学生等への顧客層の拡大に向けた教材、講師の質の向上及びサービス開発、学校・学生事業への本格参入のために、スクール営業部を新設、法人向けアウトバウンド営業の強化などを行っている。

一方、質を高める施策として、カウンセリングサービスのほか続けやすさを高めるサービスの開発やユーザーと講師のマッチングの精度向上等により継続率を高めている。また、従来の定額プランのほか、コース化、オプション課金を加えることで、ARPUの改善を図っている。

ブラジルでの事業に関しては、人口数、GDPの観点から有望市場であると判断した。参入を決定したのは、ブラジルでは2016年夏開催予定のリオデジャネイロ・オリンピックや外国企業の進出を背景に英語教育ニーズが高まると予想されている。しかし、英会話スクールに関しては通学型スクールや米国企業によるオンライン英会話サービスがあるものの、その料金は高く、ニーズの増大に対して供給が追い付かない状態になると見られるため、同社の低価格のビジネスモデルが通用すると判断した。

(2) 2016年3月期会社計画

売上高2,500百万円(前期比18.3%増)、営業利益50百万円(同75.1%減)と2ケタ増収ながら戦略的投資を実施するため大幅営業減益を見込んでいる。

増収となるのは、個人ユーザー向けのカリキュラム化やコース化、カウンセリングなどの新サービスの効果を見込むことや、法人向けの営業強化などによる効果が顕在化することにより、会員数の増加、単価の上昇を見込むためだ。一方、減益になるのは、ブラジルでの事業立ち上げ、新しいプロダクトの開発のほか、サービス認知度向上のためのTVCMなどのマスマーケティング費用、営業及び新規プロダクト開発に向けた人員強化、本社移転などがマイナス要因(200~250百万円)として働くとみていることによる。

●2016年3月期第2四半期(2015年4月?9月)累計の連結業績と取り組み
2016年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が1,169百万円(前年同期比16.1%増)、営業損失は69百万円(前年同期は98百万円の利益)となった。

増収を確保したのは、有料会員数、有料会員当たり月額単価(ARPU)がそろって上昇したことによる。これにより売上総利益は772百万円と前年同期比で21.9%増加、売上高以上の伸びを記録した。結果として、売上総利益率は前年同期の62.9%から66.1%へ上昇した。

一方、販管費は、期初計画に基づいた戦略的投資を実施したことにより前年同期に比べ306百万円増加したことから、営業利益は前年同期を下回る69百万円の営業損失に転落した。

第2四半期における戦略的投資の具体的な内容は、営業及び新規プロダクト開発に向けた人員強化、TVCMによるテストマーケティングの実施※1、ブラジル事業の立上げ費用、本社移転に伴う家賃の上昇と移転一時費用の計上。
※1 7月4日(土)より一部地域でTVCMを放送開始した。知名度向上に関して一定の成果が上がったとしている。

同社は7月に大手商社である三井物産と資本・業務提携※2を行った。提携に至る背景は、同社がブラジル進出に当たり、ブラジルで事業経験のある商社等で情報交換を始めたなかで、同社が持つ英語教育とITテクノロジー、三井物産が持つ国内外の140を超える拠点を軸としたグルーバル総合力を合算することで、両者の事業収益の拡大を実現することが可能と判断したため。
※2三井物産は第三者割当増資(8月6日付)で同社の株式319千株(発行済株式数の13.82%)を引受けた。さらに、8月12日付で同社の株主から株式取得を行った結果、トータルの所有株式数は524千万株(同22.69%)となり第3位の大株主となった。

その具体的な内容は、1)顧客開拓の際の営業情報の交換、両者相互の営業活動支援、2)日本国内、ブラジル及びその他海外の英語教育に関する情報交換、3)オンライン英会話サービス開発への相互協力などとなっている。

なお、三井物産との提携効果は、早速、法人営業の導入社数に表われている。同社の7月時点における法人導入社数は590社であったが、11月には674社へ、わずか3ヶ月余りで80社強の増加となっている。弊社では、国内外において多くの事業拠点を持つ三井物産と業務提携したことは、同社の国内外の事業展開を質、量ともに加速させる要因として働くと考えられ、今後の動向に注目している。

●財務状態
2016年3月期第2四半期末における総資産は前期末比487百万円増加し1,655百万円となった。これは、現金及び預金329百万円、売掛金62百万円、ソフトウェアが59百万円増加したことが主要因。

一方、負債について見ると、未払い法人税の減少、未払い費用、デリバティブ債務の増加などがあったが、合計はほぼ前期末並みの水準である601百万円となった。一方、純資産は前期末に比べ476百万円増加し、1,054百万円へ増加。7月に実施した三井物産との資本・業務提携に伴う第三者割当増資により、資本金及び資本準備金がそれぞれ283百万円増加したことによる。

三井物産への第三者割当増資により安全性を表す流動比率、自己資本比率はそれぞれ大幅に改善した。

●2016年3月期見通し
2016年3月期予想については、2016年3月期第2四半期業績がおおむね想定どおりであることを手掛かりに、同社は期初計画(売上高2,500百万円、営業利益50百万円)を据え置いた。

下期の戦略投資の内容は、基本的に上期と同様で、投資額は100~150百万円程度になると見られる。弊社では、上期に行ったサービス拡充により有料会員当たりの単価が上昇し、結果として売上総利益率が改善したというトレンドが下期も継続すると予想する。加えて、三井物産との提携による量のかさ上げ効果も期待できることから、計画の下振れリスクはないとみる。

2016年3月上期業績が同社の戦略投資の効果が顕在化する結果となったこと、今後、三井物産との提携により法人向けサービスの拡大に拍車がかかると予想されることに加えて、学校向けサービスについても同社のオンライン会話サービスにおける先駆者としての優位性、ノウハウを考慮すると、拡大を期待できる状況にある。このため、同社の中期目標である2018年3月期営業利益500百万円の達成に関しては、上記法人向けおよび学校向けサービスに加えブラジル事業の立ち上がり状況の見極めが重要であると弊社ではみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)

《HN》

 提供:フィスコ

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