ウィルグループ Research Memo(4):財務レバレッジを効かした積極的な事業拡大戦略が奏功
■業績動向
(2)財務状況と主要経営指標
ウィルグループ<6089>の2016年3月末の財務状況を見ると、総資産は前期末比4,320百万円増加の12,343百万円と大幅に増加した。主な増加要因を見ると、流動資産では事業規模の拡大により売上債権が2,960百万円、現預金が305百万円の増加となった。また、固定資産では営業拠点の増加に伴い有形固定資産が130百万円増加したほか、M&Aの実施に伴いのれん等の無形固定資産が600百万円増加した。
一方、負債合計は前期末比3,209百万円増加の8,093百万円となった。主な増加要因を見ると、流動負債で未払金が1,143百万円、買掛金が378百万円、未払法人税等が326百万円それぞれ増加し、固定負債ではM&A資金の調達を目的に長期借入金が954百万円増加した。なお、有利子負債合計は前期末比1,193百万円の増加となっている。
純資産合計は前期末比1,111百万円増加の4,250百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が578百万円増加したほか、M&A実施に伴う子会社増により非支配株主持分が525百万円増加した。
経営指標を見ると、財務の健全性を示す自己資本比率は前期末の38.0%から29.2%に、有利子負債比率は同様に0.7%から33.7%にそれぞれ悪化した。M&Aの実施を目的とした有利子負債の増加が要因となっている。ただ、有利子負債の水準は低く、ネットキャッシュ(現預金?有利子負債)も黒字であることなどから、財務の健全性は保たれていると判断される。また、収益性を見ると、ROAが13.5%から14.4%に、ROEが19.7%から20.8%に、売上高営業利益率が2.9%から3.2%にそれぞれ上昇しており、財務レバレッジを効かした積極的な事業拡大戦略が奏効していると言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《HN》
提供:フィスコ