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6081 アライドアーキテクツ

東証G
271円
前日比
-3
-1.09%
PTS
271.4円
13:36 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
77.0 1.28 7.73
時価総額 38.6億円
比較される銘柄
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グラッドC
決算発表予定日

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アライドアーキ Research Memo(2):SNSマーケティング活動を総合的に支援


■会社概要

1. 事業概要
アライドアーキテクツ<6081>は、顧客企業と会員ユーザーの交流を支援するプラットフォーム「モニプラ」の運営等を通じて、SNSマーケティング活動を総合的に支援する事業を展開している。「モニプラ」は、SNSユーザーを企業(及びブランド)の「ファン会員」として集め、マーケティングの目的や課題に合わせて多様な施策を展開することができる自社開発のマーケティングプラットフォームである。市場が拡大しているSNS領域に特化し深堀りすることにより、専門性と独自性を兼ね備えたソリューションをワンストップで提供してきたことが同社の成長を支えてきた。最近では、顧客企業の広告クリエイティブに特化したグローバルプラットフォーム「ReFUEL4R」のほか、中国を中心とした越境EC市場に向けたSNSプロモーション支援にも注力している。

事業セグメントは、ソーシャルメディアマーケティング支援を主な事業とする単一セグメントであるが、サービス別では、主力の「国内SNSマーケティング事業」のほか、「越境プロモーション事業」、海外子会社「ReFUEL4R」による「クリエイティブテック事業(海外)」の3つに分類される。

また、海外売上高は、米国、ベトナム、欧州などを中心として売上高全体の約50%を構成する(2017年12月期上期実績)。海外でのSNS広告市場の拡大を背景に海外子会社が足元で大きく伸びてきた。ただ、海外売上高の多くが広告原価のかかるSNS広告で占められており、利益貢献ではまだ小さい。

連結子会社は、「ReFUEL4R」を運営するReFUEL4R Pte.LTD.※(シンガポール)の1社である。

※2015年6月にAllied Asia Pacific Pte.LTD.からReFUEL4R Pte.LTD.に商号変更した。


各事業の概要は以下のとおりである。

(1) 国内SNSマーケティング事業
自社開発のSNSマーケティングプラットフォーム「モニプラ」の運営などを通じて、顧客企業のマーケティングやプロモーション等の支援を行っている。顧客企業は「モニプラ」を活用することで、各種キャンペーンの開催のほか、ファンサイト作成※1や効果分析※2などを行うことができる。顧客企業にとっては、1)キャンペーン等への効率的な集客のほか、2)商品モニターやアンケートを始め、フォトコンテストや懸賞・人気投票など、さまざまなキャンペーンを手軽かつ低コストで開催できること、3)会員ユーザーとの交流を通じた自然な形でのクチコミの醸成(及び消費者への拡散)による認知度向上などにメリットがある。また、そこで蓄積されたSNSデータをデータマネジメント(CRMや需要調査、商品開発など)や精度の高いSNS広告(アドテクノロジー)に活用することも可能となっている。すなわち、SNSマーケティング事業(特にSNS広告)を展開している同業他社は多数存在するものの、「広告」、「運用」、「インフルエンサー」、「キャンペーン」、「データ」、「CRM」、「コンサル」、「制作」など、主要な全領域を業務範囲とし、その中で優位性を確保しているところに独自性があると言える。

※1 「モニプラ」上に作成される顧客企業専用のページであり、キャンペーンに参加した会員ユーザーデータが蓄積される仕組みとなっている。
※2 「モニプラ」管理画面より、キャンペーンに参加した会員ユーザーの状況やページビュー数、コメント、参加時間等のデータを分析するツールを利用できる。


一方、会員ユーザーにとっても、ワンストップで複数企業のキャンペーンにアクセスすることができ、その中から好みのキャンペーンに無料で参加し、商品等を入手したり、企業に対して商品等の感想や要望を発信するといった交流を図ることができるところにインセンティブがある。

同社は上記サービスを、FacebookやTwitter、Instagram、LINE等のSNS各社との連携によって主要なSNSユーザーに展開しており、その結果として、会員ユーザー数は国内外で550万人を突破するとともに、顧客企業数も累計で4,000社以上に上っている(2017年6月末実績)。

(2) 越境プロモーション事業
中国を中心とした越境EC市場に向けて、SNSを活用したプロモーションの支援を行う事業である。2016年8月に中国最大規模のSNS「Weibo」の公式マーケティング会社IMSと提携し、「Weibo」の公認サービス「WEIQ」※1の日本における独占販売契約を締結した。また、中国向けの動画インフルエンサーマーケティング事業を行う合弁会社Vstar Japan※2を設立している。本格的な業績貢献にはある程度の時間を要するものとみられるが、中国のEC市場は約91兆円(日本のEC市場は約10兆円、米国は約38兆円と推定される)と世界最大級の規模を誇る上、日本からの越境EC市場も1兆円規模と拡大基調にある。中国ではSNS利用者が多く、影響力も大きいことから、SNSを活用したプロモーションのポテンシャルは非常に大きい。

※1 「Weibo」や「WeChat」上のインフルエンサーを活用した中国向けコンテンツ拡散支援サービスである。約80万人のインフルエンサーが登録する中国最大級のインフルエンサーネットワークの活用が可能となっている。
※2 中国に向けた動画インフルエンサーを活用したプロモーション事業の日本国内における販売などを目的としている。


(3) クリエイティブテック事業(海外)
2014年3月に設立した海外子会社が運営する「ReFUEL4R」サービスをグローバルに展開している。「ReFUEL4R」は、独自開発したAIを活用することにより、SNS広告を出稿したい企業と広告クリエイター(100ヶ国1万人超)とをマッチングさせるサービスからスタートしたが、顧客企業のすべてのクリエイティブの管理を通じて全体最適(広告効果の最大化)を実現するプラットフォームへと進化してきた。SNSプラットフォームにとってはメディア収益の最大化、広告主にとっては広告効果の最大化、広告クリエイターにとっては生産性の最大化(及びビジネス機会の獲得)を実現することから、すべてのプレーヤーに対して価値提供が可能となっている。まだ売上規模は小さいものの、高い伸び率で成長していることに加えて、利益率の高い収益モデルであることから2016年12月期において既に通年黒字化を達成している。2016年10月には、Facebook,Inc.が年間で最も革新的なマーケティングサービス/テクノロジーを選出し表彰する「Facebook Innovator of the Year 2016」を受賞した。

2. 企業特長
(1) 成長モデル
同社の売上高は、顧客企業数と顧客単価の掛け算方式で積み上げられる。したがって、顧客企業数の拡大が売上高の伸びをけん引するストック型ビジネスであるとともに、顧客単価の向上も売上拡大に貢献する成長モデルである。なお、顧客からの収益源は、ASPによるサービス利用料のほか、キャンペーン運用支援、広告収入などによって構成されることから、顧客単価の向上のためには、1社当たりのキャンペーン開催頻度を増やすことやSNS広告を含めたサービス間のクロスセルを推進することが重要となる。さらに本質的な視点から言えば、顧客企業数の拡大や顧客単価の向上のためには、「モニプラ」によるマーケティング及びプロモーションの効果を高めることが不可欠であり、そのためには会員ユーザーを増やし、エンゲージメント(キャンペーンに参加する会員ユーザー)を創出することが最も重要と言える。

最近の傾向として顧客企業数が伸び悩んできたのは、大手企業によるSNSマーケティングの活用事例が増えてきたことから、限られた経営資源を顧客単価の向上のほうへ優先させたことが要因とみられる。ただ、生産性の改善(経営資源の有効活用)を図るなかで、足元においては顧客企業数の減少傾向にも底打ちの兆しがみられる。

(2) 収益構造
主力のSNS関連サービスにかかる原価は「モニプラ」の運営費がほとんどであり、基本的には利益率の高い事業モデルである。ただ、広告収入については、広告原価がかかってくるため、広告収入の拡大(売上構成比率の拡大)は売上高を伸ばすことには大きく貢献するものの、売上総利益率の低下を招くことに注意が必要である。したがって、同社の本来の業績の伸びを見るためには、売上高よりも売上総利益額の動きを追うのが妥当と言える。

また、同社は成長フェーズにあるため、広告宣伝費や開発費、M&Aにかかる費用など、将来に向けた先行費用の掛け方(政策的な判断)が営業利益率を左右するところにも注意する必要がある。

(3) 同社の優位性
同社の優位性は、SNSマーケティング領域に特化し、深堀りをすることにより、他社に先駆けて独自のポジショニングを確立したところにあると言える。マーケティングプラットフォームの最大の成功要因は、会員ユーザーをいかに増やし、エンゲージメントを創出するかにある。会員ユーザーは魅力的なキャンペーンが充実しているところに集まる一方、顧客企業も会員ユーザー数の多いところを選ぶことから相互に作用し合う好循環が生まれやすい上、集客のための広告宣伝費や機能強化等への開発費などにスケールメリットが働く事業モデルであることから、国内最大級の会員ユーザーや顧客基盤、SNS各社との強固なネットワークを有する同社には大きなアドバンテージがある。

また、SNSに関連した各サービスをワンストップでの提供することによりサービス間の相乗効果が発揮されているところにも優位性がある。特に、これまで蓄積してきたノウハウやSNSデータを駆使したデータマネジメント(CRMや需要調査、商品開発など)、並びに精度の高いSNS広告は他社との差別化要因となっている。

SNSのプロフェッショナルが集結していることや、ものづくりを重視した組織体制など、組織能力の高さも優位性の源泉になっていると考えられる。情報サイト「SMMLab」の運営や専門書籍の出版に加え、年間100回以上のセミナーや人材育成・研修を手掛けており、プロ集団としての知名度向上やSNSマーケティング市場の発展への貢献はもちろん、更なる人材獲得にもプラスになっている。また、社員の約半数は開発エンジニアやWebクリエイターであり、サイト構築からシステム開発まで、高い技術力で顧客企業の課題解決に当たっている。

さらには、市場の大きな中国向けを中心とした越境ECマーケティング支援なども立ち上がってきており、積極的なグローバル展開も同社の優位性をさらに高める要因として捉えることができる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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