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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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6034 MRT

東証G
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本格普及期控える「遠隔医療」、制度整備進み高まる注目 <株探トップ特集>


―ベンチャー中心にビジネス展開活発化、その取り組みを追う―

 遠隔医療に対する社会的な関心が高まりつつある。11月10日に首相官邸で開催された「第2回未来投資会議」で、安倍晋三首相は「『予防・健康管理』や『遠隔診療』を進め、質の高い医療を実現する」と述べた。また、今月6日から7日に東京で開催された、医療・ヘルスケア分野の最新の技術や先進事例を話し合う国際会議「2016 ヘルス2.0 アジア ジャパン」でも、遠隔医療に関するテーマが多く見受けられた。遠隔診療普及のための制度づくりも着々と進められており、今後、市場で話題に上ることも増えそうだ。

●18年度にも対面診断と同様の診療報酬体系を導入へ

 医師が離れた場所にいる患者の診療や、他の医師への診療支援などの医療行為を行う遠隔医療は、人口が減少する地方や山間部、離島などで強くその普及が求められている。通信技術の発展などでITに関するインフラ整備が充実するのに伴って普及し始めたが、一方で、対面診療と比べて診療報酬の加算が少ないことや制度上の不備などが本格的な普及を妨げているといった指摘もあった。

 こうした指摘を受けて、厚生労働省では15年8月の通知によって、これまで要件が厳しかった遠隔診療を事実上解禁。また、診療報酬に関しても、政府は対面診療と同様の体系を導入する方針で、早ければ18年度の報酬改定での変更を目指すとされている。遠隔医療普及に対する制度整備が着々と進められていることがうかがえる。

●20年の市場規模は2.5倍の192億円へ

 これを受けて、遠隔医療に関連した商品・サービスの市場拡大も期待されている。市場調査・コンサルティング会社のシード・プランニング(東京都文京区)が今年6月にまとめた「遠隔診療サービスの現状と将来展望」によると、2020年の遠隔診療関連サービスの市場規模は、16年比約2.5倍の192億円になると予測している。

 また、遠隔医療関連サービスに占める遠隔医療、健康相談サービスの割合は、16年で遠隔医療が約30%、健康相談サービスが約70%と推定されているが、今後は遠隔医療が増え、20年には遠隔医療が40%、健康相談サービスが60%になるとしている。遠隔での健康相談サービスや保険診療が市場を牽引するとみている。

●遠隔医療関連の代表格といわれるMRTとオプティム

 遠隔医療先進国であるアメリカでは既に、「First Opinion」や「Doctor On Demand」「MDLIVE」「Talkspace」といった多くの遠隔診療サービスが存在しているが、日本ではベンチャーを中心にビジネス展開が活発になりつつある。

 その代表例がMRT <6034> [東証M]とオプティム <3694> が共同開発し4月から提供を開始した「ポケットドクター」だ。

 スマートフォンやタブレットを利用した遠隔診療や健康相談サービスである同サービスでは、4月に再診の際にビデオ通話で遠隔診療を受けられる「かかりつけ医診療」を開始したほか、7月には医師と時間を選んで予約相談できる「予約相談」機能を追加。さらに、「24時間365日、いつでもどこからでも、すぐに医師に健康相談できる遠隔医療相談サービスの『今すぐ相談』を来年3月までに開始する」(MRT広報担当)という。

 また、メドピア <6095> [東証M]では、7月にオンライン医療相談プラットフォーム「first call」を運営するMediplat(東京都渋谷区)を完全子会社化し、遠隔医療事業に進出した。「first call」は、パソコンを利用したテレビ電話機能を使ってオンラインで医療相談を行うことができるサービス。15分当たり1980円という価格設定もあって、利用者数を伸ばしている。

●医師相談サービスを手掛けるエムスリー

 エムスリー <2413> は、05年12月に同社初のコンシューマー向けサービスとして医師相談サービス「AskDoctors」を開始した。同社ではこのほか、ブイキューブ <3681> との合弁会社エムキューブが、Web会議システムを使ってオンライン対面し処方薬の対面販売を実現するビジュアルコミュニケーションサービスの開発を開始しており、国家戦略特区の拡充策の一つとして規制緩和が予定されている「処方薬の対面販売」の面からも注目されている。

 そのブイキューブでは、前述の取り組みのほか、Web会議コミュニケーションサービスを遠隔医療の分野へ応用した「ドクターコム」を手掛けている。これは香川県医師会に提供した「電子カルテ機能統合型TV会議システム」で、現在、香川県内を中心に約110(県外約10施設)の医療機関などで利用されている。離れた場所にいる患者や家族に対して医師がリアルタイムに遠隔問診をしたり、医師と薬剤師間で投薬の相談をしたりできるほか、電子カルテや高血圧・糖尿病地域連携パスといった医療情報をモニター画面上で共有できるのが特徴としている。

●医療用画像モニター向けソリューションを手掛けるRVH

 さらに、グループ会社のNKリレーションズが、遠隔医療支援事業を行うドクターネット(栃木県宇都宮市)を買収したノーリツ鋼機 <7744> や、ソフトバンクと提携し、病理専門医による遠隔診断・コンサルテーションを支援する「遠隔病理プラットフォームサービス」を展開するテクマトリックス <3762> 、グループ会社のセコム医療システムが遠隔画像診断支援サービス「ホスピネット」を手掛けるセコム <9735> 、現地法人を通じて米国でテレヘルス(遠隔医療)事業を展開するNSD <9759> なども関連銘柄として挙げられる。

 このほか、タブレット端末など用に、汎用モニターの画質を専用モニターに匹敵するレベルまで補正し、専用モニターの代替品として利用可能とする医療用画像モニター向けソリューション「FVT-air」を展開するRVH <6786> [東証2]にも注目したい。

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