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5929 三和ホールディングス

東証P
2,452.5円
前日比
-20.5
-0.83%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.4 1.94 2.36 0.44
時価総額 5,616億円
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決算発表予定日

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三和HD Research Memo(7):第三次中期経営計画は、2022年3月期まで延長(2)


■三和ホールディングス<5929>の中長期の成長戦略と進捗状況

3. 基本戦略(2):サービス分野の強化とビジネスモデルの拡大
サービス分野とは、現場での取付工事や検査、保守・メンテナンスなどを扱う事業であり、三和シヤッター工業が同事業分野の半分以上を占めている。同事業では、グループ全体のサービス売上を2019年3月期の476億円から、2021年3月期には565億円に拡大し、さらに2022年3月期には605億円を目標に掲げている。ただ、2021年3月期の増収はメンテナンス・サービスに強い鈴木シャッターの買収効果によるものであり、それを除けばコロナ禍の影響を大きく受けて計画どおりに伸ばすことはできなかったようだ。2022年3月期は、日本を中心に増収を目指す方針であるが、グループとしては海外の比率を上げていくことが課題と言えよう。

目標達成のために、国内では法定検査のシェア拡大や一般修理・サービス事業の拡大を、ODCではCDS(カナダのドア販売・工事店)など直販部門の事業拡大やWon-Door社の活用を、NFではフィールドサービスシステム導入などを戦略項目として推進している。

4. 基本戦略(3):アジア事業の基盤拡充
アジア事業では、グループ各社の一体運営強化及び連結対象事業の拡大を目指している。これまでアジアの収益は、重要性の原則に基づき持分法による取り込みとしてきたが、規模拡大に伴い2020年3月期からは一部の現地法人について連結子会社として連結決算に反映させることに切り替えた。アジアでは、上海宝産三和門業、安和金属工業(台湾)、三和シヤッター香港、ビナサンワ(ベトナム)の4社に加え、2021年3月期からは鈴木シャッター香港を連結化している。

アジア事業では、中期経営計画初年度の2020年3月期は事業基盤の確立に至らず3.5億円の営業損失に終わった。2021年3月期も5.4億円の営業損失に拡大したが、これは上海宝産三和門業やベトナムのビナサンワで、市場変化への対応が遅れたことが主因であった。2022年3月期は、三和シヤッター香港と鈴木シャッター香港とのシナジーなどにより、2.2億円の営業黒字化を見込んでいる。米国・欧州に比べて出遅れ感が強いアジア事業であるが、今後はグループ各社の販路・技術力を活用し、市場環境やニーズに迅速に対応できる体制強化を図ることで、成長スピードを加速することが大きな課題といえよう。

5. 基本戦略(4):働き方改革と生産性向上
同社では、営業・設計・製造・施工・メンテナンス・管理のすべてのプロセスで、AI、IoTなど最新の情報システムの活用による業務効率化、働き方改革などにより生産性の改善を目指している。具体的には、国内において施工工程管理システムを導入し、アプリを通じて各部門及び施行技術者との情報共有や、施工技術者の効率的な人員配置を実現しており、既に効果として表れているようだ。また、製造・施工における省力化にも取り組んでいる。加えて、コロナ禍対策として3密回避、衛生管理を徹底し、ニューノーマルに対応した柔軟な働き方の実現にも取り組んでいる。

6. 基本戦略(5):ESGを推進し、社会からより信頼される企業体質へ
ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字である。同社グループでは、ESGを推進し、2030年に向けて社会からより信頼される企業を目指している。既に、“サステナブルで住み続けられるまちの実現”に向けて、様々な施策に取り組んできたが、環境対策に対する世の中の速い動きに合わせて、新たに2030年のCO2排出量を2020年度比30%削減するという定量目標を掲げた。同時に、同社に影響を及ぼす社会課題やステークホルダーからの要請を踏まえ、ESGマテリアリティ(ESGに関する重要課題)を見直している。また、1つ1つの重要課題に対してKPI(重要業績評価指標)を設けて実効性を高める計画で、2022年5月の次期長期ビジョン・中期経営計画に合わせて公表する予定という。

こうした重要課題への取り組みを適時開示することで、同社ではESG主要インデックスへの採用を目指す考えだ。近年、年金基金など主要投資家の間では企業の社会的責任に対する関心が高まっており、世界的にESGに対する企業の取り組みを重視して銘柄を選別する「ESG投資」が拡大傾向にある。同社がESG主要インデックスに採用されれば、同社株の投資家層をさらに広げることになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《AS》

 提供:フィスコ

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