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2017年01月25日19時00分

中村潤一の相場スクランブル 「トランプ相場第2ステージで開花する株」


株経ONLINE 副編集長 中村潤一

●薔薇の咲く日を超然と待つ心

 見えているようで、実は見えていないものが世の中には数多(あまた)あります。例えば株式市場であれば、株価の値動きに対して後講釈としてついてくる様々な見解は、誰の目からも明らかな理由が存在するケースは別にして、玉虫色の場合は誰もその真偽を確かめるすべはなく「見えたような気になっている」ケースも少なくないと思われます。まして、人はその能力の限りにおいて一歩先にある未来すら知りえない。相場とは基本的に「見えないもの」と理解する必要があります。

 人工知能(AI)がいかに進化を遂げようと、明日、明後日に眼前に広がる風景を完璧に予測することは不可能。「今これ以上骨を折っても無駄だ。薔薇ならば花が咲くだろう」とはゲーテが残した至言ですが、「諦観」いわゆる良い意味での開き直りは株式投資には必須の要素といえるでしょう。諦観という言葉は“本質を見極める”という意味でも使われますが、株式投資の神髄に最も近い2文字を探せと言われれば、これが一番しっくりくるのではないかと個人的には思っています。

●「変化」は相場の大好物

 トランプ政権が正式に発足しました。第45代米大統領はどこから見ても「破天荒」の3文字がよく似合います。ツイッター砲で企業を威嚇し、政治とビジネスを確信犯的に混同させているようなスタンス。“アメリカ・ファースト”はトランプ氏に大統領選での勝利をもたらした魔法の呪文であったかもしれませんが、必ずしも米国に繁栄を授けるとは限りません。2017年はEU各国も重要な選挙の年となりますが、トランプに続け、とばかりにポピュリズムの塊と化した場合、世界はどうなっていくのでしょうか。

 孟子いわく「恒産なくして恒心なし」、つまり安定した生活基盤がないと人心は乱れ、結果として政権も瓦解してしまうということ。とすれば国民の生活を最優先する「自国第一主義」は、なるほどその国においては目指すべき正しい方向といえますが、これだけ国際化の時間軸が進んでしまった世界においては、全体として間違った方向へと導く「合成の誤謬」となる危険性を孕みます。

 とはいえ、歴史はグローバリズムと反グローバリズムの繰り返し。反グローバリズムがもはや時代の潮流であるとするならば、その流れに抗わずに対応していくのが相場と対峙する者の鉄則です。失望の先には何も生まれません。「変化」はそれがたとえ何処(どこ)に向かうものであっても、相場にとっては失望どころか大好物に相違ないということは、過去が証明しています。

●ソフトバンクはトランプ相場の最高のサンプル

 いずれにせよ、これからの4年間は株式市場の土壌もこれまでとは少なからず変質します。どんなにいい種(銘柄)であっても、株価が花を咲かせるかどうかは「土」であるその時の相場の地合いによって左右されます。ソフトバンクグループ <9984> は綺麗な花を咲かせるかもしれないが、もしかしたらトヨタ自動車 <7203> は思うように花を咲かせることができないかもしれない。しかし裏を返せば、どんな土壌であってもそれに見合った種はあるということです。その種を見つけることが、投資家の器量であり強さといえるのでしょう。

 トランプ大統領は、就任前から5兆7000億ドルの減税と1兆ドルのインフラ投資に言及、これがたとえ額面通りに遂行されなくても財政刺激策としては破格のインパクトを与えます。もちろん、経済効果として米国内にとどまる話ではありません。新政権は今後10年間で新たに2500万人の雇用を創出し年4%成長を謳っています。実現性はともかく、掲げている「米国第一」の大看板にいち早く反応したソフトバンクの孫社長しかり、そして直近では台湾・鴻海精密工業の郭台銘会長しかり、トランプ氏のビジネスモードにピタリ波長を合わせられるのは名うての経営者ならではのアクションであり、昨年の大統領選後のソフトバンクの株価推移はトランプ相場に順応している銘柄として分かりやすいサンプルといえると思います。

●そこはかとなく漂うインフレの匂い

 良くも悪くも当面はトランプ大統領を中心軸に世界の舞台は回っていきます。その本質を見極めるには正直まだ時間を要しそうで、前述した諦観の境地にはなかなか踏み込めそうもありません。しかし“兆し”をつかむことはできます。そこはかとなく漂うインフレの匂いをマーケットは感じ始めているような気がします。トランプ大統領は、政治経験はなくとも不動産王として、経済の勘所は歴代の大統領でも一頭地を抜いている可能性があります。前回の当コーナーでも触れましたが、米国株市場が持つ資産効果の威力を熟知しているはずで、ここにかなりの重心を置いている感が強い。世界的に過剰流動性が維持されるなか、この道の先には脱デフレではなく、インフレの気配があります。

 トランプ大統領は3月に連邦政府債務の上限引き上げ問題に直面しますが、これについては議会とのねじれが解消された現状では政争の具に使われることもなく比較的容易に“財政の崖”はクリアできるとの見方が強いようです。しかし、経済成長による財政安定化が画餅に帰すことがないように、財源としてヘリコプターマネーの思惑もくすぶり続けています。タイミングとしてマネーの潮流に変化が出るのは今年ではないでしょうか。

●米中のインフラ投資拡大でメタル系に出番

 米国の巨大インフラ投資と中国の公共投資拡大政策が共鳴して産業資材としての鉄、あるいは銅やアルミなど非鉄市況の上昇思惑を醸成しています。LMEの銅価格は前日(24日)時点で1トン当たり5943ドルまで上昇し今年に入っての高値を更新、仮に6000ドル回復となれば2015年5月以来1年8ヵ月ぶりとなります。一方、アルミ価格も年初から一直線の上昇トレンドにあり、前日時点で1トン当たり1867ドルとこちらも1年8ヵ月ぶりの高値圏。今後も水準を漸次切り上げていく公算は大きそうです。

 東京市場でも新日鐵住金 <5401> やジェイ エフ イー ホールディングス <5411> の上値指向が鮮明となっており、電炉では東京製鉄 <5423> が株価を先駆させています。出遅れている中山製鋼所 <5408> や東京鐵鋼 <5445> なども注目される可能性があります。また、非鉄株では大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> や東邦チタニウム <5727> にチャート妙味あり。いずれの銘柄も今期業績は低迷していますが株価は相応に織り込んでいると思われます。なお、中山鋼は第3四半期決算が2月6日、東京鉄は1月31日、大阪チタと東邦チタは1月27日を予定しています。また、アルミ関連ではUACJ <5741> は業績も良好で上値期待が大きそうです。

●テーマ株ではサイバー攻撃対応とAI関連再注目

 このほかテーマ株としては米国でも喫緊の課題とされているサイバー攻撃への対応。日本でもIoT時代到来で家電製品へのウイルス感染が深刻化しており、サイバーセキュリティー関連株は見直し余地が大きいと思われます。FFRI <3692> [東証M]、テリロジー <3356> [JQ]、ラック <3857> [JQ]などに注目。

 また、米国ではAI関連の中核銘柄に位置づけられているエヌビディア(NVIDIA)の株価が再び戻り歩調にあり、東京市場でもAI関連銘柄に再人気化する可能性がありそうです。ブレインパッド <3655> 、日本サード・パーティ <2488> [JQ]のほか、穴株としてソフトブレーン <4779> に妙味が感じられます。

(1月25日記、隔週水曜日掲載)

株探ニュース
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