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5707 東邦亜鉛

東証P
1,144円
前日比
+44
+4.00%
PTS
1,142.9円
10:54 03/29
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.78 14.56
時価総額 155億円
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世界はいま全面株高、“地球規模”好景気で「非鉄株」ロックオン <株探トップ特集>


―一体化する業績相場と金融相場、魅惑の株価変貌候補は10倍高の夢を見るか―

 東京株式市場は怒涛のごとく押し寄せるリスクオンの潮流に乗り、驚異的な強調展開を続けている。7日の日経平均株価は1996年6月につけたバブル崩壊後の高値2万2666円を上抜き、一時400円を超える上昇で一気に2万3000円大台を試すかと思わせるほどの勢いをみせた。ここからの上値のフシとしては91年3月の戻り高値2万7146円。気の早い話だが、その先はまさにバブル時代の遠い記憶を手繰り寄せるような3万円大台というステージが見えてくる。

●株式市場は既にインフレモードにスイッチ!

 しかし、この株高環境は日本だけの話ではない。というより、日本は世界でみれば出遅れ組に属している。現在、米国だけではなく欧州の株価指数も史上最高値圏で推移、アジアでは台湾やインドネシアのほか、日本以上に地政学リスクに晒される韓国株市場でさえ最高値圏を走る状況にあり、日経平均への浮揚力はこうした“世界株高”によってもたらされている。

 では、世界株高の背景を支えるのは何か。さまざまな要因が複合的に寄与しているが、その最たる理由としては世界の景気が予想以上に好調に拡大していることが挙げられる。10月にIMF(世界通貨基金)は主要国・地域の見通し改善を根拠に世界経済の成長率予想を上方修正したが、こうした実勢経済の強さにお墨付きがつく状態にありながら、世界的な金融緩和環境が依然として続いている。市場関係者は「業績相場と金融相場の一体化が一段の先高期待を膨らませる要因となっている。実体経済に先んじて株式市場は既にインフレモードに変わっている状況」(国内ネット証券アナリスト)と指摘する。

●株高の可能性内包する非鉄セクター

 このインフレモードは、株式市場の物色動向にも如実に反映され始めた。資源エネルギー関連や商社株の上昇だ。原油価格は2018年中にサウジアラビアの国営石油企業サウジアラムコの上場が濃厚とみられるなか、その思惑を背景に上値追い傾向を強めており、WTI原油先物価格は直近で1バレル=57ドル台と15年6月以来の高値水準まで上昇、これと軌を一にしてコモデティ市況が底上げの様相を見せ始めている。CRB指数は直近190を超え2年ぶりの200回復が目前。三菱商事 <8058> など総合商社株の上昇に今のマーケットを巡るマネーフローが反映されているが、ここからの株価上昇余地を考えた場合、狙い目となるのは非鉄セクターだろう。

 LME銅価格は10月中旬に1トン当たり7134.5ドルまで上昇、その後は調整しているものの、11月6日現在6970ドルと7000ドル近くを維持している。14年7月以来の高値水準だ。また、ニッケルは1万2900ドル台で15年4月以来の高値水準、また、アルミは2170~80ドルで推移しており、これは12年2月以来5年9ヵ月ぶり、さらに亜鉛は3230ドル近辺で07年8月以来10年3ヵ月ぶりの高値圏にある。

 非鉄金属価格の上昇は、中国のインフラ投資の拡大や強靭な米国経済が需要を支えていることが大きな要因で、供給面では中国の環境規制強化に伴う製錬工場の稼働停止やインドネシアやフィリピンなどの鉱石輸出規制の強化などがタイト感をもたらしている。いうまでもなく、この非鉄価格の上昇は、非鉄精錬を手掛ける企業にとって力強いフォローの風となっている。

●住友鉱、東邦亜鉛など市況高の恩恵享受

 業界大手で銅、ニッケル、金とバランス良く製錬事業を展開、鉱山開発にも積極的な住友金属鉱山 <5713> は株価も同業他社に先行して上昇している。同社はリチウムイオン電池の正極材でも今後電気自動車(EV)市場拡大の恩恵を受けそうだ。また、非鉄最大手の三菱マテリアル <5711> はアルミや超硬工具といった非製錬事業に強みを持つが、やはり非鉄価格上昇による金属事業の収益押し上げが業績に寄与している。DOWAホールディングス <5714> も亜鉛価格の上昇などで製錬事業の採算が改善、4-9月期営業利益は従来計画の150億円から上振れる可能性が高いとみられている。

 また、亜鉛・鉛の製錬を主軸とする東邦亜鉛 <5707> も亜鉛価格の上昇を味方につけている。オーストラリアの子会社がエンデバー、ラスプの2つの鉱山を運営、エンデバー鉱山では推定鉱量百万トン以上が存在する可能性が指摘されている。このほか、三井金属鉱業 <5706> は製錬事業よりも電子材料が利益の主力となっている異色の非鉄精錬メーカーだが、スマートフォンの高機能化進展で半導体パッケージ向け極薄電解銅箔が急拡大している。同社株については半導体関連の一角としての位置づけも可能だ。

●株価変貌余地の大きさでは東邦チタ、大阪チタ

 とりわけ株価変貌の魅力を漂わせているのは東邦チタニウム <5727> や大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> などチタン事業を展開する企業だ。両銘柄とも天井が高いのが特長で東邦チタニウムは06年に9730円(分割後修正値)の高値、大阪チタは07年に1万5060円(同)の高値をつけた実績がある。いずれも時価の10倍前後の水準である。

 東邦チタニウムは航空機向けや一般工業向けにスポンジチタンを生産。航空機業界向けが好調で、これは中期的にも航空機増産による需要拡大の青写真がある。「スポンジチタンは在庫調整が進展し漸次需給が改善していく局面にある」(業界関係者)といわれており、1000円未満の株価は今が仕込み場といえよう。18年3月期は営業利益段階からの2ケタ減益見通しだが、これについて株価は織り込みが進み、むしろ来期以降の急回復が意識される局面だ。また、同社は半導体材料向け高純度チタンも生産しており、半導体関連としても注目される。さらに、一般市販品の5倍以上の高いイオン伝導率を持つリチウムイオン透過固体電解質の開発に成功している点もポイントだ。JXTG系列であり、合弁のサウジプロジェクトなどにも思惑があり意外高の可能性を秘める。

 一方、大阪チタは新日鉄住金系のチタンのトップメーカーで、収益の主柱を担う航空機向けスポンジチタンが順調な伸びをみせている。スポンジチタンの生産ラインは現在7割程度だが、18年3月期の経常利益は前期比倍増の25億円を見込む。19年3月期も収益環境の改善が続き2ケタ増益が視野に入りそうだ。多結晶シリコンにも積極展開しており、半導体用高品質グレード品として世界トップレベルのクオリティーを誇る。株価は東邦チタニウムより高いものの時価総額ベースでは下回っており、見直し余地が大きい。

●メタルアートや高純度化学は好業績で見直しへ

 このほかメタルアート <5644> [東証2]も25日移動平均線をサポートラインとする強力な下値切り上げ波動を形成している。同社は自動車業界向け鍛造品を生産しダイハツが主要顧客で収益に安定感がある。4-9月期の売上高は149億円と前年同期比で2割増、営業利益も5億5500万円と5割近い伸びを達成した。PBRが0.6倍台で株価指標面からも水準訂正余地が意識される。

 また、非鉄セクターではないが、番外編として日本高純度化学 <4973> に注目したい。ここ調整色が強いが買い場を提供している公算が大きい。同社は貴金属めっき用薬品の開発販売を手掛けており、4-9月期の売上高は50億3100万円と前年同期比3割増収、営業利益は5億5100万円とほぼ5割増益を達成した。同社の好業績の背景には貴金属パラジウムの市況高騰がある。同社はパラジウムめっき薬品を販売しており、高機能化の進むスマートフォンや電装化が加速する車載用部品の需要増加が追い風となっている。

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