信用
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5610 大和重工

東証S
911円
前日比
-22
-2.36%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
119 0.43
時価総額 12.4億円
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決算発表予定日

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中村潤一の相場スクランブル 「2部&ジャスダック選抜“爆騰”機械株に照準」


minkabu PRESS編集部 株式情報担当編集長 中村潤一

 大きすぎて正体は把握しにくいけれど、相場は生き物と称されるように、その存在は無機質ではありません。今は人工知能(AI)が売買の本流を形成していて、かつてのような人間同士の心理戦とは色彩が違いますが、それでも投資の本質は普遍的なものであり、今も昔も変わらないはずです。AIにマーケットを支配され人間の活躍余地が失われてしまうというのは幻想です。株式投資はカルタ競技のようなスピード勝負の世界ではなく、むしろスピードに委ねられた部分はごく一部の断片的な世界に過ぎません。投資家サイドとしては、AIが人間のトレーダーを凌駕する高速取引(超短期売買)の土俵に敢えて立つ必要はなく、次元を変えたステージで戦うことが常に可能です。

●半導体関連や機械株の戻り相場が映すもの

 半導体関連株は、成長シナリオに対する懐疑的な見方が6~7月にかけ調整を強いる展開となりましたが、梅雨明けに前後して再び戻り足を強めています。機械株も同様でここにきて上値慕いの動きが本格化しています。AIの短期売買などの影響で下値に誘導されると、あたかもそれが長期的ビジョンとして妥当性が生じているように理屈が後からついてきますが、時が経てば、長期上昇トレンド途上の一服場面で踊り場を探す動きであったことが判明するケースも少なくないようです。半導体や機械株セクターなどはそのいい例かもしれません。

 すべてが見える囲碁・将棋・チェスなどの完全情報ゲームとは異なり、見えない未来を予想するのは、その予想する対象(銘柄)の選別も含めて人間の強みである“融通性”を存分に発揮できる領域です。株価は水のように自在に変化する。自分固有の時間軸に立って次に訪れる波形を予想することで、利益を確保する機会を得ることができます。

 あえて時間軸の概念から離れ、投資対象(企業)のファンダメンタルズや成長モデルを信じ、株主として進化過程を見守るという選択肢もあります。例えば経験豊富なアナリストが企業取材を通じて、その企業のトップの「人となり」に触れ、将来性を確信するというようなプロセスは到底AIにはできない芸当といえるのです。もちろん、その融通性が必ずしもプラスの結果をもたらすわけではありませんが、相場はまだ人間の持つ有機質な思惑、口幅ったい言い方をすればロマンを肯定するだけの広さを持っていると考えています。

●米IT企業の好決算に追随する地合い

 今週(7月24~28日)後半から企業の4-6月期決算発表が本格化します。週末28日に発表社数として最初のヤマ場を迎えますが、ファナック <6954> などの設備投資関連やTDK <6762> 、京セラ <6971> といった電子部品株などがマークの対象となりそうです。今回は、全般的にみてガイダンスリスクは限定的。第1四半期ということもあって通期見通しを増額する動きは希少ながら、事前の感触としては企業の出す数字にマーケットの方で勝手に下駄を履かせるような楽観的なムードも漂います。米国株市場でもIT企業の好決算が相場を支え、物色対象もハイテク株優位の構図が描かれている。となれば、東京市場も当然とはいえこの風向きを感じながらの地合いとなります。米国ナスダックから吹いてくるフォローウインドの強さが意識されるところです。

 もちろん、目先の為替の動向には留意しておく必要があります。米国の金融引き締めペースが鈍化するとの観測が、行き過ぎた日米金利差の拡大期待に水を差す形となり、7月中旬以降の円高歩調を招きました。ただ、概ね企業側の今期想定為替レートは1ドル=105~110円であり、円高方向への仕掛けがあっても110円ラインをキープできていれば、それほど懸念する必要はないと思われます。再び急速な円高が進行するような場面に遭遇した際には、株式市場の風景が一変するケースも考えられますが、短期的なオーバーシュートとして捉え、そこは輸出株などの拾い場提供となるでしょう。

●中国発のポジティブスパイラルが機械株を刺激

 今の相場で物色テーマとして攻めたい魅力的なセクターは、やはり設備投資関連機械株 )ということになるでしょうか。ここにきて中国の存在感がポジティブな形で大きくなってきています。

 この中国のダイナミズムを享受した安川電機 <6506> が導火線の役割を担い、機械セクターの物色人気が広がりをみせつつあります。安川電の今期業績予想の大幅上方修正については、市場関係者誰もがサプライズであったと口を揃えます。連結営業利益段階で従来予想の370億円から455億円に85億円の大増額。しかも決算期は前期が3月決算で、今期から2月決算に変わるため実質的には通常決算より1ヵ月分差し引かれた状態での修正であり、その分だけ輝きは強い。加えて、まだ4-6月期で第1コーナーを回ったばかりの早い段階の修正であることも驚きを誘います。この強気の背景にある中国の設備投資需要は「半端なものではない」と市場関係者に印象づけるに十分な舞台装置が整っていたことが、その後の株高パフォーマンスにつながったわけです。

 こうなると、「この恩恵に授かるのは安川電だけではないだろう」と考えるのが自然な発想となります。

 中国向け実績を持つツガミ <6101> などの工作機械メーカーや、不二越 <6474> などのベアリング・産業ロボットメーカーは要注目。さらに、FA用センサーを手掛けるキーエンス <6861> 、搬送機器を展開するダイフク <6383> 、制御機器のオムロン <6645> 、空気圧機器を手掛けるSMC <6273> といった銘柄の上値に対する思惑が膨らみます。

●機械株も高パフォーマンス期待なら中小型

 もっとも、現在は中小型株物色が全盛の相場。過去最高値更新が続く東証2部やジャスダック市場から銘柄を絞り込むのが、今の個人投資家ニーズに沿った実践的な選択肢といえるかもしれません。

 東証2部やジャスダックの優位性は相対的に流動性が乏しいがゆえの強みを持っていること、つまり日銀のETF買いやHFTなどの高速売買による歪みから解放されている点を指摘する声があります。加えて、投機資金が選好することで弱点であった流動性が増し、それが個別銘柄の持つ純粋な割安さや収益体質を評価する土壌を築いた、ということも大きいと思われます。ここまで延々と中小型物色の流れが続いているのは、東証1部全般の手詰まり感の反映ではなく、もっと構造的な要因が働いているのです。

 今回は人気沸騰の東証2部とジャスダック市場のなかから、高パフォーマンスが期待される機械株をクローズアップしてみたいと思います。

●タケダ機械はジャスダックの一番星銘柄

 鋼材加工機などを主力とするタケダ機械 <6150> [JQ]は、ジャスダックに上場する機械株としては一番星のように目立つ存在です。本格化する東京五輪特需の関連有力株として注目場面でしょう。業績は13年5月期以降、連続増収・営業増益トレンドを継続する強さをみせ、時価PERは6倍前後と割安。ROEが16.8%台と高いこともポイントです。株式需給面でも滞留出来高の多いゾーンを抜け、300円台は値運びが軽くなる可能性があります。瞬発力の強い足を持つ銘柄であることも好まれやすく、昨年12月の高値348円突破が最初の関門となりそうです。

 このほかジャスダックでは出来高流動性に難がありますが、桜井製作所 <7255> [JQ]は18年3月期の業績低迷を織り込んだうえでの戻り足で意外性があります。株主還元に前向きで配当は年15円を計画、一方で自己資本比率80%強、PBR0.4倍台は水準訂正余地を暗示しています。

●東証2部では岡本工機の上値追いに勢い

 東証2部の岡本工作機械製作所 <6125> [東証2]は上値追いに勢いがあります。時価はリーマン・ショック前の2008年6月以来の高値圏ですが、実態を考慮すれば200円台は依然として値ごろ感が強い。総合研削盤メーカーで、中国では自動車業界向けなどに好調な受注を確保、半導体関連装置でも構造的な需要増が収益に貢献しています。18年3月期営業利益は前期比4割増益の16億円と拡大が顕著。相場はここから佳境入りという感があります。

 東証2部では他に、自動車向けなどに小型NC旋盤などを製造販売する高松機械工業 <6155> [東証2]が中国のダイナミズムを収益に取り込むことが予想され、18年3月期営業利益は13億8600万円予想と前期比5割近い増益を見込むなど急回復見通し。工作機械向けに鋳物部品を手掛ける大和重工 <5610> [東証2]も200円未満は値ごろ感十分で、旺盛な工作機械需要が続くなか、その恩恵の波及が考えられます。また、プラズマ・ガス切断装置を手掛ける小池酸素工業 <6137> [東証2]は、中国向け需要を取り込み18年3月期業績は回復基調。株価指標面からも割安感が際立っています。

●栄電子は協栄産が作った流れに乗る可能性も

 このほか、本題テーマからは若干離れますが、番外編としてジャスダックに上場する栄電子 <7567> [JQ]も直近5日・25日移動平均線がゴールデンクロスしており、PER8倍近辺、PBR0.7倍近辺の時価は要注目といえるでしょう。東証1部で三菱電機系の電子部品商社である協栄産業 <6973> が連日のストップ高と気を吐いています。これは三菱電機 <6503> の無線給電システムに絡む思惑が直接的な材料とはいえ、電子部品商社が買われるのも設備投資関連の流れの一環。このなか、栄電子は独立系で半導体装置向け中心に電源やコネクターに強みを持っており、頭角を現してくる可能性があります。

(7月26日記、隔週水曜日掲載)

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