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5410 合同製鐵

東証P
5,720円
前日比
+10
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
5.8 0.69 4.90 10.12
時価総額 981億円
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鉄壁の株高シナリオ発動、「鉄鋼株」上昇メガトレンド <株探トップ特集>


―来期業績回復にらみ始まった資金流入、上値指向の行き先は―

 東京株式市場は、目先やや気迷いが感じられる地合いとなってきた。年明け以降は為替の円安トレンドが一服し主力輸出株が手掛けづらくなっているところに、トランプリスクが再び投資家心理を不安にさせている。前週20日に米大統領に就任したトランプ氏は、TPPの離脱とともに開口一番、名指しで日本の自動車業界を槍玉にあげるなど保護主義モード全開。既にトヨタ自動車 <7203> をはじめ自動車株のチャートは一様に高値圏でお辞儀をする形となっており、当然ながら日経平均の上値も重くなっている。

 しかし、そうしたムードに流されず、にわかに上値慕いの動きを強めてきている力強い業種がある。それは、ずばり鉄鋼株である。新日鉄住金 <5401> 、ジェイ エフ イー ホールディングス <5411> などの高炉メーカーや、東京製鉄 <5423> などの電炉メーカーは、昨年11月以降のトランプ相場の流れを引き継いで2017年相場でもじりじりと株価水準を切り上げている銘柄が目立つ。そしてこの流れは今後加速しそうな気配を漂わせてきた。早晩、鉄鋼セクターの株価は強力な資金を引き寄せて上値を指向することになろう。

●粗鋼生産は増勢基調、中国生産調整で市況改善期待も

 日本鉄鋼連盟が23日に発表した、2016年の粗鋼生産は前年比0.3%減の1億477万トンと2年連続で前年実績を下回った。しかし、それ自体は旧聞に属する話で、鉄鋼セクターの株価にはとっくに織り込まれている。なぜなら16年の粗鋼生産は1-3月期の落ち込みが最後まで足を引っ張った構図だったからだ。四半期ベースでみれば足もとの回復基調は鮮明、10-12月期は前年同期比0.2%増と3四半期連続でプラスを確保しており、むしろこれは今の株高の方向性と符合する。

 鉄鋼セクターは中国の鉄鋼の過剰生産による供給過剰に苦しめられてきたが、直近は中国が国内の鉄鋼生産能力を削減する方針にあり市況改善期待が高まっている。実需も旺盛だ。日本国内では東京五輪に伴う特需や好調な自動車向けなどで鋼材需要が回復、昨年11月の普通鋼内需は前年比11%増と約3年ぶりの高い伸びを示した。海外では、中国の減税措置が適用された小型車が牽引して新車販売が好調、中国政府は道路などのインフラ整備政策も推進する方針にあり、これも追い風となる。

●米1兆ドルのインフラ追い風、販価上昇でダブルメリット

 市場関係者も「海外ではアジア地域での鋼材不足に加えて、米国ではトランプ大統領が掲げる1兆ドルの巨額インフラ投資が待っていることから、今後注目場面を迎えることになりそうだ。」(国内準大手証券ストラテジスト)と目を光らせる。そうした折、中国国家発展改革委員会は今月10日に、17年の鉄鋼および石炭セクターに対する生産能力削減圧力はさらに高まるとの見解を開示している。建材需要としての「鉄」は今後世界的に引っ張りダコとなる可能性が高い。グローバルに鋼材需給がタイト化すれば、必然的に値上げの動きにもつながっていくことで、鉄鋼メーカーは利益採算性も高まる。株価的には期待先行で底入れの動きをみせた鉄鋼株だったが、前出のストラテジストは「ここからが現実買いの段階。キャピタルゲインを狙っていくうえで佳境入りとなる可能性が高い」と指摘する。

 鉄鋼メーカーの販売価格の引き上げの動きは既に顕在化しており、株価も敏感に反応している。東製鉄は16日に2月契約分の鋼材販売価格を全品種で引き上げることを発表した。さらに返す刀で20日には17年3月期の単独業績予想の上方修正を発表、最終利益を90億円から95億円へ修正しているが、市場では一段の上乗せが有力とみる向きが多い。これを手掛かり材料に株価は大きく上昇した。一方、新日鉄住金も17日にH形鋼について1月の契約価格を1トン当たり3000円引き上げることを発表、3ヵ月連続の値上げを実施し風向きの変化が感じられる状況にある。

●来期業績回復シナリオと株式需給が上値余地演出

 新日鉄住金の業績は17年3月期最終利益段階で59%減の600億円見通しにあるが、これが800億~900億円まで大幅増額の余地がある。さらに18年3月期は1400億~1500億円程度に拡大しそうだ。JFEも17年3月期の最終利益は55%減の150億円見通しだが、18年3月期は350億~400億円前後まで急回復する公算が大きいとの見方が出ている。

 そして、今後の先高シナリオを主張する根拠として外せないのが株式需給面での優位性だ。一部の銘柄は、以前チャイナ・リスクでヘッジファンドなどを中心に売り込まれた名残もあって信用売り残が溜まりやすく、「新日鉄やJFE、東製鉄などは純粋な空売りが積まれていることで、踏み上げ相場的な動きをみせる可能性がある」(国内中堅証券営業)という見方も市場関係者にはある。

 新日鉄住金は東証信用残の信用倍率が0.64倍(13日現在)と売り長で、日証金では23日現在で逆日歩がついている。また、JFEは東証信用倍率が1.63倍(同)ながら日証金では同様に逆日歩がついている状況。さらに東製鉄は東証信用倍率が0.23倍(同)、日証金ではやはり株不足状態にあり逆日歩がつく。仮にこれらの数字に反映されていないヘッジファンドの場外株券調達によるショートがかさんでいるとすれば、踏み上げ相場の素地もあながち否定できない。東製鉄が18日以降にマドを開けて急上昇し昨年来高値を更新してきた動きは、そのハシリとも捉えられ、今後の上値の可能性を醸し出している。

●高炉株の水準訂正余地大、東製鉄は意外高モード突入

 株価的には新日鉄住金は13年12月と15年6月に3500円近辺でダブルトップを形成しているが、時価2700円台はまだそこまでかなりの上値余地がある。JFEも15年6月に3000円トビ台で高値を形成しているが、2000円未満の時価は十分な水準訂正の伸びシロが意識される水準だ。また、電炉の代表株である東製鉄は既に15年5月の高値988円をクリアして11年3月以来5年10ヵ月ぶりの4ケタ大台復帰を果たしている。こうしたケースでは因縁場を払拭したことにより、意外高に走るパターンとなりやすい。

 このほか鉄鋼セクターでは高炉メーカーとして神戸製鋼所 <5406> 、日新製鋼 <5413> 、電炉メーカーとして合同製鐵 <5410> 、共英製鋼 <5440> 、大和工業 <5444> 、東京鐵鋼 <5445> などがあり、合わせて注目しておきたい。

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