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2016年07月21日16時51分

品川リフラ Research Memo(5):中国メーカーによる輸出ドライブにより鉄鋼市況悪化


■会社概要

(4)品川リフラクトリーズ<5351>の事業環境

世界の粗鋼生産は、中国がけん引し拡大した。世界粗鋼生産量における日本のシェアは、2000年の12.5%から下落の一途をたどり、2015年には6.5%へ低下した。一方、中国のシェアは、2000年の15.1%から2015年には49.6%と約半分を占めた。世界の粗鋼生産量は、2007年の13億4,326万トンから2015年に16億2,110万トンと20.3%増加した。この間、中国の年間生産量が4億8,971万トンから8億382万トンへと64.1%増えたが、中国以外の地域の生産量は8億5,841万トンから8億1,728万トンへ4.8%減少した。

中国政府は、リーマン・ショック時の金融危機克服のため2010年末までの2年間に大型景気刺激策を実施した。内需を拡大し、雇用の安定化を図るため、総額4兆元(約57兆円)の財政支出を決めた。これにより、中国の経済成長率は、2007年の14.2%から2008年に9.6%、2009年には9.2%へ下落したものの、2010年には10.4%の高成長を遂げた。ちなみに、日本の経済成長率は、2007年2.2%、2008年マイナス1.0%、2009年マイナス5.5%であった。しかし、中国の経済成長率は、2012年以降は7%台に低下してきており、IMF(国際通貨基金)のWorld Economic Outlookによると2015年は6.9%と7%を割れた。2016年と2017年の予想成長率は、それぞれ6.5%、6.2%になる。

日本の年間粗鋼生産は、2007年に1億2,020万トンでピークを打った。2008年9月のリーマン・ショックに端を発した世界的金融危機とその後の円高の進行などで、2009年の生産量は前年比26.3%減の8,753万トンへ減少した。2010年には1億トンの大台を回復し、2014年は1億1,066万トンとピーク比7.9%減の水準まで戻したが、2015年は世界全体の2.9%に比べ5.0%と大きな下落となった。

2014年の世界鉄鋼メーカーの粗鋼生産量による上位50社のランキングでは、新日鐵住金が2位(生産量49.3百万トン)、JFEスチールが9位(同31.4百万トン)と日本からは2社が入った。2013年に47位だった神戸製鋼所(7.5百万トン)は、2014年にトップ50から外れた。1位のアルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)は、98.1百万トンと2位の新日鐵住金を大きくリードしている。3位、4位は、中国企業が占めた。中国企業は、トップ50のうち、27社と多い。

a)中国の鋼材輸出?世界の鉄鋼大手の業績悪化に拍車をかける
中国の内需減退と過剰生産により、鋼材市況が想定以上に悪化したことから、2015年度の世界の鉄鋼メーカーの業績は大幅に悪化した。中国では、国有大手の宝山鋼鉄が大幅減益で済んだものの、大半の企業は赤字に転落した。韓国最大手のポスコは、初の最終赤字を記録した。

中国メーカーは、内需が低迷していることで輸出ドライブをかけている。2015年の中国の粗鋼生産量は、日本の7.6倍と大きく、2015年の輸出量は日本の生産量を超える1億1,240万トン、前年比2割増となった。鉄鋼市況の悪化は、中国メーカーの輸出先にも広がっている。

米国は、中国からの輸入品に最大200%超の追加課税をする反ダンピング措置の導入を進めている。欧州でも検討されている。これを受けて、米国における鋼材価格が上がり、中国製品が向かったアジア市場では値下がるという二極化現象がみられる。

b)中国政府?過剰能力解消に動く
今年3月に、中国政府は全国人民代表大会の政府活動報告で、2016年より5年かけて粗鋼生産能力を1億~1.5億トン削減する方針を発表した。新規生産能力の抑制、老朽設備の淘汰だけでなく、最大50万人の従業員の再配置・再就職支援などの具体策を盛り込んでおり、従来にない踏み込んだ内容になっている。

2016年4月に、国際鋼材価格が大きく上昇した。中国企業の在庫削減が進んだところに、同国の大規模なインフラ投資が期待され、また過剰生産にも歯止めがかかると考えた投資マネーが流入した。宝山鋼鉄は最新鋭設備による自動車用高級鋼材の増産を開始し、操業を止めていた中小メーカーも再開した。実需に裏付けされた市況回復ではないため、供給圧力が増すと国際市況は下落に転じた。

c)日本の鉄鋼会社の業績
同社グループの主要顧客であるJFEスチールの業績は、2016年3月期の売上高が前期比14.9%減の24,451億円、経常利益が同85.3%減の278億円となった。単体の粗鋼生産は2,736万トンと同3.8%減にとどまったが、平均単価が、1トン当たり66,800円と同13.4%下がった。

d)高炉メーカーの中期経営計画
JFEホールディングスと新日鐵住金は、2015年度から2017年度までの中期経営計画を発表した。内需に関しては、企業収益の好転、国土強靭化計画、オリンピック・パラリンピック需要により、堅調に推移するとみている。ただし、人口減少、製造業の海外移転、財政問題に起因する公共投資の減少という枠組が変わらないため、2020年以降は減少すると予想している。一方、海外市場は、中国・韓国メーカーの供給圧力が強く、当面は供給過剰状態が継続すると予想している。中長期的には、インドやASEANなどの新興国の社会インフラ整備や省エネルギー、環境対応のニーズが拡大するとみている。

1)国内設備投資計画
鉄鋼メーカーは、生産設備の更新に積極的だ。古い設備のままでは、中国等の海外メーカーに対し競争優位性を維持できなくなる。JFEスチールは、現中期経営計画(2015?2017年度)における国内設備投資額を前中期経営計画と比べて35%増の650,000百万円とした。2016年3月期は当初計画より前倒しで、約4割の投資を決定した。国内製造基盤の整備を継続的に実施することにより、世界トップクラスの製造実力を維持・向上する。

2)海外事業の展開
JFEスチールは、アジアを主戦場として成長投資をする計画で、自動車、エネルギー、インフラ・建材を重点3分野としている。自動車は、グローバル調達への対応を徹底するため、中国、タイ、インドネシア、インド、米国が重点地域となる。アジアでは、タイや中国に加えて、インドやインドネシアでも数量拡大や新規設備の円滑な立ち上げを目指す。エネルギー関連は、中国やシンガポールで活動しているが、現中期経営計画では米国とUAE(アラブ首長国連邦)に注力する。インフラ・建材は、アジアにターゲットを絞って事業展開をしており、重点地域はベトナムになる。新日鐵住金は、2017年度までの3ヶ年で海外拠点出荷量を2014年度比2割増とする計画だ。

e)焼却炉業界
都市化の問題として、交通渋滞、水不足、水質汚染、大気汚染などとならんでごみ問題がある。同社と親密関係にあるJFEグループのJFEエンジニアリングは、ごみ焼却炉分野で40年の実績があり、廃棄物焼却発電分野で国内シェアNo.1を誇る。2014年にドイツの大手ごみ処理・発電プラント会社を買収しており、世界展開を加速している。買収で得たノウハウを生かして、経済発展とともに都市化が進む東南アジアでの事業展開を本格化している。

焼却炉には、廃棄物の種類と処理方式によって、多様な炉材が求められる。同社は、最新鋭の生産設備と合理的な工程、徹底した品質管理などにより、あらゆる耐火物を生産して、産業界のニーズに対応している。特にごみ焼却炉、溶融炉などの環境関連設備には国内随一の実績を有している。ごみ焼却炉のストーカー(火格子)部には炭化珪素系煉瓦が使用され、その他の部位には高アルミナ質煉瓦・キャスタブルが用いられる。各種窯炉の熱ロス対策として熱伝導率の低い軽量キャスタブル(断熱キャスタブル)が広く用いられている。 一般的に軽量キャスタブルの強度は低いが、同社製品は高い断熱性と強度を両立させた。

f)セメント業界
セメントの国内需要は、建設投資との相関性が強い。国土交通省の統計によると、建設投資は1996年度の82兆8,077億円から2010年度に41兆9,282億円へ49.4%減少し、ボトムをつけた。同期間のセメント内需は、8,241万トンから4,161万トンへ49.5%減とほぼ同率の落ち込みとなった。その後若干の回復がみられたものの、2015年の国内需要は4,266万トンと前年度比6.3%減少した。セメント協会は、2016年度の内需を前年度比ほぼ横ばい(0.8%増)の4,300万トンと予想している。セメントの国内需要では東京オリンピック・パラリンピックの開催や大型インフラプロジェクトへの投資により、2020年頃まで安定的に推移するとみられる。また、海外では新興国を中心に都市化の進展に伴う社会基盤整備に関連するセメントの需要拡大が見込まれる。

セメント業界トップの太平洋セメント<5233>の設備投資は、2000年度の297億円(個別ベース)から2009年度に127億円へ57.2%減少した。2015年度は224億円まで持ち直し、同期の減価償却費176億円を大きく上回るようになった。業界3位の住友大阪セメント<5232>は、2012年度以降の設備投資額が減価償却費を上回って推移している。太平洋セメントの3ヵ年中期経営計画では、セメントの国内売上高が2014年度の4,121億円から2017年度に4,215億円へと微増だが、海外売上高は1,585億円から2,260億円へと4割強の増加を見込んでいる。

同社は、都市化が進む東南アジアで子会社を拠点とする成長戦略を展開する。2014年10月に、インドネシアにPT Shinagawa Refractories Indonesia(SRI)を設立した。同社グループのオーストラリア子会社が技術移転などで、SRIの早期立ち上げを支援する。現在、インドネシアには高炉が1基しかなく、同子会社がターゲットとしている分野はセメント用キルンを含む一般工業炉用の耐火物になる。同国における需要増加に応じて拠点を設け、事業拡大を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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