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5269 日本コンクリート工業

東証P
396円
前日比
-17
-4.12%
PTS
394.4円
18:10 03/28
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
17.9 0.59 3.28 1.89
時価総額 229億円
比較される銘柄
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ベルテクス, 
日ヒュム

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テノックス Research Memo(2):基礎工事の専業企業で、国内トップクラスの技術力を誇る


■会社概要

1. 会社概要
テノックス<1905>は、基礎工事に特化した建設事業及び建設資材の販売を行っている。建設事業では、住宅やマンション、商業施設、教育施設、病院、工場、倉庫などの建築構造物や、道路や鉄道の高架橋などの土木構造物を建設する際の、杭工事や地盤改良工事などを請け負っている。基礎工事は、構築物が主に地下にあるため一般の目に届かず地味な印象を受けるが、文字どおり日本の土台を支える重要な工事であるため、施工への信頼が大きな前提となる。そうした業界でパイオニアとして専業を貫く同社は、長年培ってきた経験やノウハウによって、中低層建築物向けに業界で広く浸透しているテノコラム工法や、高速道路や鉄道などの土木工事に用いられるガンテツパイル工法を開発するなど、国内トップクラスの技術力を誇っている。


次の時代へ立ち向かう体制は整った
2. 沿革
同社は1970年に創業者の安田善次郎(やすだぜんじろう)氏によって設立され、旭化成工業(株)(現旭化成<3407>)の代理店としてコンクリートパイルの販売及び施工を開始した。1977年に既製杭の施工法(中掘り工法)で特許を取得、1984年には現在もなお全国各地で広く使われているテノコラム工法の特許を取得した。こうした技術力を背景に1980年代後半から1990年にかけて、同社は営業拠点網を全国に拡大していった。1991年に日本証券業協会に株式を店頭登録した後は業容拡大期に入り、1995年にガンテツパイル工法を開発し技術審査証明を取得したほか、テノコラム工法、ATTコラム工法、TN-X工法、ピュアパイル工法など、開発してきた主力工法で各種認証を次々と取得していった。また、同年に(株)山本組を子会社化して(株)テノックス技研に改称、1997年には(株)複合技術研究所を設立している。さらに、2015年にベトナムのホーチミン市にTENOX ASIA CO.,LTDを設立、2018年にはテノコラム工法でベトナムの技術認証を取得するなど、海外での事業展開も本格化している。

ちなみに同社の社名は、安田善次郎氏を慕って集まった設立当初の10名の青年が雄牛のように力強くまい進することを願い、10名の「TEN」と雄牛の「OX」を結び付けて「TENOX」と名付けられた。また、同社ロゴマークも雄牛の「OX」からデザインされたものである。それから50年、2020年7月に同社は創立50周年を迎え、国内営業拠点として北海道から九州まで6営業所、3出張所を擁し、ほかに1機材センター・試験研究室、国内外に関連子会社4社を有する体制となった。ところが、その2020年は、コロナ禍の影響が世界的に広がり、リーマンショック以上に厳しいと言われる経済環境となった。端境期でもあった同社はコロナの影響から免れ得ず、業績は苦戦することとなった。一方で、中長期的に期待できる案件が視野に入ってきたこと、事業領域の拡大を目指してM&Aによる(株)広島組の子会社化や日本ヒューム<5262>や日本コンクリート工業<5269>との業務資本提携を実現化したことなど、次の時代に猛牛のごとく立ち向かう体制が整ってきたところでもある。


基礎工事には直接基礎(地盤改良併用を含む)と杭基礎がある
3. 基礎工事とは
基礎とは、建築構造物や土木構造物の荷重を地盤に伝え、安全に支える構造のことである。建築構造物などは安定した地盤に直接建設するのが良いとされるが、軟らかい地盤の場合はその下方にある硬い地盤(支持層)で支えねばならず、地盤と建物の条件に適した土台づくり=基礎工事が必要とされる。日本は地震が多い上、人口の大半が河川下流の土砂が堆積した平野に集中しているため、特に基礎工事は重要視される。基礎工事は主に、支持層が浅い場合の直接基礎(地盤改良を併用した直接基礎を含む)と支持層が深い場合の杭基礎に分けられ、そのほか軟弱地盤上での浮き基礎や液状化対策を兼用した基礎など、地盤の条件によって様々な適用事例がある。

元来、直接基礎は、支持層が1メートル以内と非常に浅い場合(または建築物が非常に軽い場合)、基礎を直接地面に建てる工法である。なお、直接基礎には地盤改良を併用する場合も含まれ、支持層が1~2メートルとやや浅い場合の浅層改良と、2~10メートル程度のやや深い場合の深層改良があり、いずれも土壌に改良材などを混ぜ合わせながら硬い地盤に変えていく工法である。地盤改良は、基礎工事のみならず山留めや土壌汚染対策などにも採用される工法である。

杭基礎は、支持層がおおむね10メートルより深い場合に用いられる工法である。杭工事は杭の支え方で支持杭と摩擦杭に分けられる。支持杭は杭の先端を硬い支持層に到達させて支えるものであり、摩擦杭は杭周面の地盤の摩擦力で支える。杭は製造方法によって既製杭と場所打ち杭に分けられる。既製杭は工場で製造された杭を建設現場へ運んで設置するが、工場で製造されるため均一性など品質が高く、施工自体も容易である(長い杭が必要な場合は数本つなぎ合わせて使用する)。場所打ち杭は、工事現場で杭を製造するため施工管理に時間と労力がかかるが、杭径の大きさをある程度自由に変えられるなどのメリットもあり、建物重量が非常に大きい場合や既製杭の施工が難しい特殊な地盤の場合などに用いられる。

杭は材料によって鋼管杭とコンクリート杭に分けられる。鋼管杭は鋼鉄を材料とした杭なので、鋼板を円柱状に折り曲げるロール成形という工法で製造される。鋼管杭はあらかじめ腐食することを見込んで設計・製造され、支持層に到達することで大きな支持力が得られる。また、靱性(大地震にねばれるしなやかさ)が高く加工しやすいことから、鋼管の先端に羽根を取り付けて支持力を高めるなど工夫もしやすい。コンクリート杭はプレストレスをかけた超高強度コンクリートを使用するため、高い支持力が得られる。場所打ち杭もコンクリート杭の一種で、杭の径を大きくすることにより支持力を大きくすることができる。杭基礎は施工方法による分類などもあり、様々な構造物、種々雑多な地盤、施主などの要求もそれぞれである分、実際の工法は非常に細かく分けられる。

このように基礎工事自体が大小多岐にわたるため、基礎工事を行う企業も大手から中小企業まで数多い。また、基礎工事は文字どおり建築・土木構造物の土台であることから、地中が目視できない反面、品質が良くて当たり前という施工への信頼は非常に重要な前提条件となる。2015年に発覚した横浜市のマンション杭打ち工事のデータ不正問題は、かえってそうした重要性を再認識するきっかけにもなった。さらに近年、大地震や大型台風、集中豪雨といった激甚災害に対する防災意識の高まりから、一般の人からの注目も増している。同社は安全・安心を提供する業界のパイオニアとして、その経験やノウハウ、技術力は社会的財産と言うこともできる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《ST》

 提供:フィスコ

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