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5261 リソルホールディングス

東証P
5,040円
前日比
-30
-0.59%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.7 1.86 1.59 9.90
時価総額 280億円

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リソル Research Memo(9):長期方針に沿って2021年3月期売上高250億円以上を目指す


■長期経営目標

1. 長期方針と経営目標
リソルホールディングス<5261>のコーポレートスローガンであり価値基準でもある「あなたのオフを、もっとスマイルに。」という言葉は、顧客のスマイルのためには、従来の商売にこだわらず、積極的に何でも取り入れ挑戦していこうという同社の行動原理を表している。また、同社は長期方針を掲げ、「人にやさしい」「社会にやさしい」「地球にやさしい」の3つの「やさしい」をすべての事業を通じて実現することで、顧客に喜んでもらい信頼される企業になれるよう、公正な企業活動を実践していく考えである。

(1) 人にやさしい
事業を通じて、“いきがい・絆・健康・くつろぎ”を実現していきます。

(2) 社会にやさしい
事業を通じて、お客様、株主様、お取引先、従業員などすべてのステークホルダーとの友好関係を維持していきます。

(3) 地球にやさしい
事業を通じて、省エネ、再生可能エネルギー、緑地保全、森林整備などを行い地球を大事にしていきます。

同社は、こうした考え方を取り込んだ長期事業方針(2017年3月期-2021年3月期の5期間)を公表している。内容は、ホテル事業では客室数の大幅増加と滞在型ホテルや簡易型ホテルへの進出、ゴルフ事業では新しいゴルフスタイルと多角化の実現、再生可能エネルギー事業では発電容量40,000キロワット以上の実現、リソル生命の森事業では“いきがい・絆・健康・くつろぎ”に向けた自主開発したプログラムの推進、そしてそのプログラムを活用して、CCRC事業では産官学連携による日本初の本格的CCRCの開発と販売、福利厚生事業では差別化商品の開発推進??である。これらにより、同社は、2021年3月期、ROA(総資産経常利益率)5%以上(2017年3月期実績5.1%)、自己資本比率35%以上(同37.0%)、ROE10%以上(同11.6%)というKPIを目標に、売上高250億円以上(同222億円)、経常利益24億円以上(同16億円)の達成を目指している。


2. 中期的な事業展開
長期事業方針の一方、当面は、主力事業のホテル運営とゴルフ場運営を軸とした成長戦略を展開する計画である。ホテル運営事業では2018年に京都で3ヶ所、2019年以降には秋葉原、横浜桜木町や上野において新たに運営開始する予定である。「ホテルリソル名古屋」と同様に、「リビングロビーR」、「シューズオフスタイル」、「ウェルカムアロマ」、「オリジナル快眠ベッド」でくつろぎの“ホテルリソル”ブランドをより前面に出していく考えである。東京オリンピックに向けて、積極拡大策を講じたと言えるだろう。ゴルフ運営事業では、最上級の高級接待コースである「中京ゴルフ倶楽部」の運営を2018年2月に控える。一方で、圧倒的コストパフォーマンスの実現を目指す「南栃木ゴルフ倶楽部」を2017年7月にリ・スタイルオープンした。こうしたポジションのまったく異なるゴルフ場運営で得られるノウハウを相互活用して、より幅広い利用者を取り込むために柔軟な変化対応力を備え業界内での差別化を図る方針である。同社セグメントであるホテル運営事業とゴルフ運営事業に加え、再生可能エネルギー事業、さらには福利厚生事業、これら事業が中期成長ドライバーであり、将来的に長期経営目標を達成する基盤となっていくことが予想される。


3. 長期的な取り組み
長期的には、再生可能エネルギー事業とCCRC事業が成長の軸となるだろう。再生可能エネルギー事業は、足元で計画以上に順調に進捗している。現行計画に織り込まれている案件では売電価格が1kWh当たり32~36円で確定しているため、中期的に太陽光発電事業の投資利回りは高水準が見込まれる。

「リソル生命の森」のコアとも言えるCCRC事業は、2017年4月に千葉大学予防医学センター近藤克則教授による基調講演を催し「ウェルネスエイジクラブ」を本格始動するなどソフト面の開発が進んでいる。今後もプログラムなどソフト面を充実させながら、施設などハード面の拡充も進んでいきそうである。また、同社のCCRCは拡張性が高く、リソル生命の森自体が多世代交流型の施設でもあるため、シニアに偏ったCCRCでなく、多世代が交流できる独自のCCRCへと進化していく可能性がある。加えて、同社のコンセプトとシンクロする企業や組織との連携が拡大することも想定される。なお、CCRC事業は長期にわたる大型の投資案件であるため、資産をなるべく肥大化させないよう、同社は投資利回りを注視しながら事業を進めていく方針である。ちなみに、東京オリンピック前に建築費が高騰する懸念のあること、「リソル生命の森」がオリンピック・パラリンピック強化合宿地の候補に挙がっていることから、CCRC事業の利益貢献が2021年3月期以降になる可能性もあると考える。

4. リスクと課題
同社のレジャー関連事業は、天候不順や大規模災害の影響を直接受ける可能性があり、景気動向や企業業績、個人所得、金利など経済環境にも影響を受けやすい。しかしながら、同社の事業発展に伴い増やしてきた多様な会員組織、中でもライフサポート倶楽部会員は同社グループシナジーを発揮する強固な基盤となり、リソルサイクルにより市況に対応していくだろう。また、同社グループは全ての事業を通じて『新しいスタイルの構築』に取り組み他社との差別化を図り続けており、同社の施設や商品・サービスを選ぶ理由も益々厚みを増していくことになるものと予想される。さらに、三井不動産グループやコナミグループとの提携による強みをフルに生かすことで、対応可能と考える。

同社の大学連携型CCRCは非常にポテンシャルの高い事業ではあるが、新しい取り組みであり、同社が未踏の地を先頭で走っているような状況である。このためCCRCのリスクはやや高いと言え、今後、事業計画の進捗に加え、住居販売契約状況、サービスや医療支援などのサポートメニューの充実度、CCRCで実務に当たる人員の育成状況などを確認していく必要があると考える。多世代交流型リゾートコミュニティの成功を目指す同社は、新しい取り組みを推進するなかで「リソル生命の森」のソフト面・ハード面共に充実させていく計画を実行し、より革新的な将来像を描いていくことだろう。

リスクというより課題だが、大型で良質の投資案件が控える同社は、今後、投資家と接触する機会が増えていく可能性が高いと思われる。しかしながら、只今急速にIRを強化・拡充している最中とはいえ、同社の定性情報、定量情報はともに一般的な上場企業に比べて希薄と言える。したがって、今後はIRの一層の充実が望まれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

《NB》

 提供:フィスコ

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