4978 リプロセル JQG 15:00
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化学
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2016年08月12日16時35分

リプロセル Research Memo(3):ヒトiPS細胞用の培養液では国内シェア50%以上を占める


■会社概要

(2)事業の内容

リプロセル<4978>の事業は、ヒトiPS細胞の作製技術を基盤としたiPS細胞事業と臨床検査事業の2つのセグメントで開示されているが、売上高の9割以上はiPS細胞事業で占められている。各事業セグメントの内容は以下のとおり。

a) iPS細胞事業
iPS細胞事業では研究試薬、創薬支援、再生医療(計画)と3つの事業ポートフォリオに分かれており、2016年3月期の売上構成比では研究試薬事業で5割強、創薬支援事業で5割弱となっている。研究試薬事業では、ヒトES/iPS細胞向けを中心とした培養液や凍結保存液、コーティング剤など様々な試薬を大学や公的研究機関、製薬企業の研究所等に製造販売している。とりわけ、ヒトiPS細胞用の培養液では国内シェアで50%以上あるとみられる。競合としてはカナダのステムセル・テクノロジーズが挙げられる。また、子会社のStemgentでもヒトiPS細胞用研究試薬を製造販売しているほか、ReproCELL Europeでは3次元細胞培養のための培養用プレート「Alvetex」の製造販売を行っている。

創薬支援事業では、製薬企業や化学企業などに創薬支援のための実験材料となるヒトiPS細胞やiPS細胞由来の心筋、肝臓、神経細胞等の製造販売を行っているほか、疾患モデル細胞製品の作製受託や、ヒトiPS細胞培養の受託サービスなども行っている。また、子会社のBioServeではヒトDNAや組織、血清サンプルなどの生体試料を研究機関や製薬企業等に販売しているほか、ReproCELL Europeでは製薬企業を主な顧客として前臨床試験受託サービスを行っている。

再生医療事業についてはまだ計画段階であるが、ヒトiPS細胞由来の体性幹細胞※を活用した細胞医薬品や、ヒトiPS細胞を活用した細胞医薬品の開発販売を行っていく計画となっている。

※体性幹細胞…生体の様々な組織にある幹細胞。造血幹細胞・神経幹細胞・皮膚幹細胞などがあり、限定された種類の細胞にしか分化しないものや、広範囲の細胞に分化するものなど様々ある。

b)臨床検査事業
臨床検査事業では、臓器移植や造血幹細胞移植で必要とされる臨床検査に特化した検査受託サービスを行っている。具体的には、医療機関から血液や血清などの検体を同社の衛生検査所に搬送し、「HLAタイピング検査※1」や「抗HLA抗体検査※2」「フロークロスマッチ検査※3」などを行っている。また、今後は遺伝子検査サービスなどにも事業領域を広げ、より精度の高い検査サービスを提供していく計画となっている。

※1 HLAタイピング検査…白血球の型を調べる検査。臓器移植の際に、HLA型が異なると、免疫拒絶が起こりやすくなる。
※2抗HLA抗体検査(抗HLA抗体スクリーニング及び抗HLA抗体同定検査)…臓器移植や造血幹細胞移植後で免疫拒絶が起きているかどうか確認するため、体内の抗HLA抗体の産生量を移植前と後で計測し、モニタリングする検査。2012年4月より造血幹細胞移植にいて保険適用が開始されている。
※3フロークロスマッチ検査…免疫拒絶を抗HLA抗体に限定せずより広く検出するための方法。ただし、陽性反応が出た場合でも、その原因を特定できないため、抗HLA抗体検査と組み合わせることで、より検査確度を上げるために用いる検査方法となる。

(3)グループ会社の概要とシナジーについて

同社は、グループの営業及び開発体制の強化、間接部門のコスト削減を目的として、2016年に海外4社の再編を実施することを発表している。既に、2016年7月に英国の子会社であるReinnervateとBioptaを合併し、ReproCELL Europeとしたほか、米子会社であるBioServeとStemgentについても近々合併する計画となっている。子会社を統合することで、従来、重複していた顧客への営業活動を一本化し、情報の共有化を図ることで営業効率の向上が期待される。また、研究開発面でも各社が持つ開発ノウハウを融合し、大学や研究機関とのネットワークを共有化することにより、競争優位性の高い製品やサービスの開発が促進されることが期待される。これら3社の概要については以下のとおり。

a) ReproCELL Europe (英国)
2016年7月にBioptaを存続会社としてReinnervateを吸収合併し、会社名をReproCELL Europeに変更した。旧Bioptaは2002年の創業以来、大手製薬企業向け中心にヒト組織を用いた創薬支援サービスを提供してきた。鮮度の高いヒト組織・臓器の調達から、前臨床試験の受託サービスまでワンストップで展開しており、GLP※に準拠した設備体制を整備し、高い技術力と運用ノウハウを持っていることが強みとなる。また、顧客も世界のメガファーマ売上高上位10社中8社と取引実績を持つなど、大手製薬企業を中心に50社以上と取引があるため、今後グループの製品・サービスの販売を展開していくうえでの、シナジー効果が期待される。一方、旧Reinnervateは英国の細胞生物学の研究拠点であるダーラム大学からスピンアウトして2002年に設立された大学発のベンチャー企業で、同大学細胞工学教授ステファン・シボルスキー氏による3次元細胞培養の研究成果が技術基盤となっている。同社が開発した技術は、特殊な培養用プレート「Alvetex」を用いることによって、従来の容器をそのまま使うことができるほか、安全かつ高品質な細胞を培養できることが特徴となっており、世界的にも高く評価されている技術となる。同社では今後、同技術を用いて各種細胞の受託作製サービスに注力していくほか、将来的にはヒトiPS細胞由来の肝細胞など臓器細胞の開発を目指していく方針となっている。

※GLP(Good Laboratory Practice)…検査・治験の信頼性を担保するうえで遵守すべきガイドラインで、臨床試験を行う際には規制当局より認定を得る必要がある。

b) BioServe(米国)
BioServeは、欧米を中心に12万人超の患者から採取した60万個以上のヒトDNA、組織、血清サンプルをバンキングしており、世界の大手製薬企業や診断サービス企業、主要大学・医療機関などにこれら生体試料を提供している。また、遺伝子マーカーの特定や創薬研究関連の受託サービスなども行っている。

BioServeを子会社化した目的は、米国における販路拡大と製品・サービスのラインナップ拡充、並びに技術シナジーを図ることにある。従来は調達が困難であったアルツハイマー病やパーキンソン病等の疾患患者の細胞をBioServeから調達し、疾患モデルのiPS細胞を作製するといったことが可能となり、iPS細胞の製品ラインナップ拡充により、多様なニーズに対応できるようになった。

c) Stemgent(米国)
StemgentはヒトiPS細胞向け研究試薬の製造販売を行っており、米ハーバード大学や米マサチューセッツ工科大学などの主要大学と研究ネットワークを持つほか、その他の大学や研究機関、大手企業を中心に約200の顧客を持つなど、ヒトiPS細胞の研究試薬では高い実績とブランド力を有している。Stemgentの子会社化により、ヒトiPS細胞の確保から初期化、培養、分化誘導に至るすべての技術プロセスで使用される研究試薬のラインナップが大幅に拡充されたことになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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