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4960 ケミプロ化成

東証S
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100株
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時価総額 63.5億円
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“有機EL関連”新章―見えた「主役テーマ復帰」と有望株 <株探トップ特集>


―再び活気づくマーケット、物色テーマは「リチウムイオン電池」「有機EL」の二本柱へ―

 東京株式市場はにわかに上値指向を強めてきた。北朝鮮を巡る地政学リスクを背景に9月第1週は下値を試す展開を強いられたが、9月9日の北朝鮮の建国記念日にミサイルは発射されず、国連安保理決議も想定していたほど厳しい内容とならなかったことで、有事への思惑が後退、気がつけば日経平均2万円大台ラインが視界に入ってきた。前週と今週ではまさに景色は様変わりとなっている。

●再び熱を帯び始めたマーケットの視線

 こうなると個人投資家の物色意欲も復活、テーマ買いの流れが再び意識される局面にある。直近ではリチウムイオン電池関連およびその周辺株に怒涛の資金流入がみられるが、もう一つ強力な物色の柱が形成される可能性が出てきた。

 それはずばり「有機EL関連株」だ。これまでに何度も市場を沸かせてきたお馴染みのテーマだが、改めてマーケットの視線が熱を帯び始めている。

 有機ELは「有機エレクトロルミネッセンス」の略で、特定の有機物に電圧をかけると発光する特性を持つ。したがってバックライトは不要、部材が少なく薄型化でも優位性があり、折り曲げて加工することも可能だ。画質面でも圧倒的に優れ、低消費電力かつ動画の応答速度がケタ違いに速い。既に次代を担うディスプレーとしてポスト液晶の座を不動のものとしている。潜在的な市場規模も膨大だ。2030年には5兆円近い市場が試算される成長マーケットである。

●iPhone最上位機種で有機EL遂に登場

 米アップルが現地時間12日に開催した新製品発表会に世界の耳目が集まった。特に脚光を浴びたのはiPhoneの新モデル発表であり、「iPhone8」および「iPhone8プラス」はもちろん、最大の注目の的となったのが、従来機種と明らかに一線を画す変化を遂げた最上位モデルの「iPhoneX」だ。

 「iPhoneX」はディスプレーに初めて有機ELを採用、これを待ち望んだユーザーも多かったはずだ。このほか、認証機能としてフェースID(顔認証)を搭載、ワイヤレス充電にも対応する。10月27日に事前予約を開始し、11月3日から発売される。

 有機EL供給では韓国サムスンが独占調達する形となるが、「量産が難しく初期出荷は500万台で、人気化必至となるなかで年内は品薄感がかなり強くなる見込み」(国内証券アナリスト)という。「iPhone8」と「iPhone8プラス」は9月22日の発売と「X」より約1ヵ月半早く市場投入されるものの、「X」人気で買い控えが警戒され、13日の株式市場では全体指数上昇の中で、村田製作所 <6981> やTDK <6762> などの大手サプライヤーが株安の憂き目にあう皮肉な展開となっている。

●そして、動兆する有機EL関連株

 もっとも有機EL関連株については、このアップル発表会が素直に株高を後押しするケースが目立つ。有機EL蒸着で使われるファイン・ハイブリッド・マスク(FHM)を手掛けるブイ・テクノロジー <7717> が4日続伸、特定有機ELディスプレー製造装置メーカー向け真空チャンバーの受託製造を行う平田機工 <6258> は大幅高で3連騰、さらに正孔輸送材と発光材料を製造する保土谷化学工業 <4112> も大きく上値を伸ばし、7000円台前半のもみ合いから満を持して上に放れる兆しをみせている。

 今のタイミングであれば、有機ELといえば市場の目が「iPhoneX」に向くのは当然だが、大型テレビ用でもここ有機ELを採用する動きが加速しつつある。ソニー <6758> 、パナソニック <6752> など国内の大手電機メーカーは相次いで、大型有機ELテレビの発売に動き出しており、同分野で大半のシェアを掌握している韓国LGを追撃する構えだ。有機ELテレビのテレビ全体に占める比率はまだ数パーセントに過ぎず、日本メーカーが今後同市場を開拓してシェアを伸ばしていく余地は大きいといえる。

 有機ELディスプレー が液晶ディスプレーの市場規模を上回るまでにあと数年という見立てもある。「関連株には市場拡大余地を先行して株価に織り込んでしまった銘柄も少なくない。しかし、市場規模がこれから加速的に膨らんでいくことは確か」(前出のアナリスト)と指摘されている。

●製造装置と部材で群を抜く日本メーカー

 有機ELは韓国勢の後塵を拝しているというイメージが強いが、それは有機ELディスプレーの量産に成功しているのが現状ではサムスンとLGの2社に限られているからだ。製造装置 関連部材ではむしろ日本メーカーの競争力は群を抜いている。

 関連株としては前述した銘柄の他に、有機ELを含むFPD製造装置および材料開発用実験システムを手掛けるアルバック <6728> やイオン注入装置を製造する日新電機 <6641> 、光学ガラスの大手で有機EL露光装置向けに石英が好調なオハラ <5218> 、有機EL用に静電容量方式タッチパネルを展開する日本写真印刷 <7915> 、有機EL向けプラズマ・エッチング装置を手掛けるワイエイシイホールディングス <6298> 、薄膜塗布プロセス技術で優位性を持ち、高効率・高演色の有機EL照明を開発するタツモ <6266> [JQ]などが有力。

 さらに、関連部材では、発光体、電子輸送材、正孔輸送材、正孔注入材を一括供給できる出光興産 <5019> を筆頭に、有機ELパネル向けに、モバイル特性で強みを持つ円偏光板を納入する住友化学 <4005> 、有機EL向けにITO(酸化インジウムスズ)膜を手掛ける倉元製作所 <5216> [JQ]やジオマテック <6907> [JQ]、有機EL材料の開発を進め“有機ELビジネス推進本部”を新設しているケミプロ化成 <4960> [東証2]、有機EL向け高性能水分除去シートを展開するダイニック <3551> などに活躍余地がありそうだ。


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