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4931 新日本製薬

東証P
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時価総額 367億円
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新日本製薬 Research Memo(4):売上高は2Q計画を上回って着地。効率化施策も進展し前年同期比2ケタ増益


■業績動向

1. 2021年9月期第2四半期業績
新日本製薬<4931>の2021年9月期第2四半期(2020年10月~2021年3月)の業績は売上高16,575百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益1,398百万円(同27.3%増)、経常利益1,430百万円(同30.0%増)、四半期純利益965百万円(同40.8%増)と減収増益となった。前期の下期に広告投資を一時的に抑制したことや直営店舗や取扱店への来店客数が減少したことによる影響が大きく、続く第2四半期も影響を受けて直営店舗販売・卸売販売は減収となった。しかし、第2四半期の売上高計画値に対しては、上回って着地した。主力の通信販売による化粧品売上では、「パーフェクトワン 薬用リンクルストレッチジェル」の販売が好調で、既存顧客によるアップセルが進み、購入頻度の高まりもあって前年同期を上回った。また、新たな顧客層獲得のためのブランド戦略として男性タレントをCMキャラクターに起用したブランドCMの放送やSNSと連動した販促施策等も引き続き好調で、ミニマムライフ世代のブランド認知度が高まり顧客獲得が進捗した。利益面では、各段階利益は前年同期を大きく上回った。効率化施策の進展によるFFコストの低減とコールセンターコストが減少し、オペレーションコストも計画より抑えることができた。

チャネル別売上高では、通信販売の売上高は15,286百万円(前年同期比0.9%減)と減収であったものの、第2四半期の売上高計画値を上回った。全体として、これまで戦略的に広告投資を控えていた影響からヘルスケア商品の売上が低調であったため、売上高は前年同期を下回った。しかし化粧品におけるCMで起用した男性タレントのグッズが当たるプレゼントキャンペーンの販促施策や、定期購入顧客に対する「パーフェクトワン 薬用リンクルストレッチジェル」のアップセルへの取り組みが奏功したことが、計画値を上回る主因となった。また通信販売における化粧品売上高については、アップセルの効果もあったことから前年同期を上回った。

国内外ECは国内の新規顧客獲得と中国をはじめとする海外の好調により、売上高は1,946百万円(前年同期20.7%増)と前年同期を上回り2ケタ伸長した。直営店舗販売・卸売販売は、コロナ禍の影響により事業環境は依然厳しく売上高は855百万円(同22.6%減)となったが、第1四半期に原宿に期間限定で出店したポップアップイベントでは、来店客数と期間中の売上高が想定を大きく上回る結果であった。

海外販売においては、売上高は433百万円(同46.1%増)となった。中国などのアジアで主流となっているKOL(キーオピニオンリーダー)※を起用し、認知度向上に努め売上が拡大した。また、アリババグループが運営する中国最大の小売りオンラインショッピングモール「天猫(Tmall)」に旗艦店を立ち上げてから1年となり、順調に売上を拡大している。このような取り組みにより第2四半期において中国の売上高は前年同期比3.9倍に拡大した。またタイでは、ターゲットの20~40代が多く利用するECモール(東南アジア最大級のECサイト「Lazada」「Shopee」、タイで最大級のコスメECサイト「Konvy」)へ販路を拡大した。

※KOLとは、専門領域を持ったインフルエンサーのこと。


2. 営業利益増減要因
2021年9月期第2四半期の営業利益では、「パーフェクトワン 薬用リンクルストレッチジェル」によるアップセル効果と購入頻度の高まり等による通信販売の売上高上振れに対して、直営店舗・卸売販売及びヘルスケアによる減収要因(-2.1億円)となったほか、粗利率(-0.4億円)、広告宣伝費は前年同期と同水準のマーケティング投資(+0.4億円)、販売促進費(-0.7億円)、発送配達費の削減と決済方法の切り替え誘導による代行手数料の削減といったFFコストの効率化効果(+1.4億円)があった。その他販管費ではコールセンターコストの減少などにより(+4.4億円)と大幅増益に貢献した。

同社において化粧品の売上拡大は当然のことながら、このFFコストの効率化が成長要因の一つであると弊社では考えている。2019年4月より送料有料化施策を進めたことにより、これまで同社が負担していた発送配達費の削減が進んでいる。これによる顧客の買い控えは起こっておらず、2ヶ月分の商品をまとめて1度に配送する「おまとめ配送」の促進によって顧客の送料負担の増加を和らげている。そのほか、決済方法の切り替え誘導においても代引き払いからクレジットによる後払いにシフトさせることにより、同社の決済手数料を削減している。ただ、支払いを代引き払いで行う顧客は依然高い比率であると弊社では見ており、FFコストの効率化余地は大きいと考えている。特に、コロナ禍に伴い非接触を可能とする決済方法として切り替えは進むだろう。またコールセンターコストにおいては、リピーターなどの優良顧客も多く、顧客の意見などを商品に反映させるために専門的な顧客対応が必要で、自社で一定の人員を置くことは必要だ。一方で、コールセンター業務を従来の6割程度を外部にアウトソーシングすることにより、受注状況等によってコミュニケーターの配置状態を変更することが可能となり、コストコントロールを行うことができている。

3. 財務状況
2021年9月期第2四半期末における総資産は20,277百万円となり、前期末比321百万円増加した。主に、現金及び預金の増加354百万円、商品の増加199百万円及び固定資産の減少181百万円等によるものである。負債は4,933百万円となり、前期末比755百万円減少した。主に、未払金の減少307百万円のほか、買掛金の減少154百万円及び未払法人税等の減少106百万円によるものである。純資産は15,344百万円と、前期末比1,077百万円増加した。主に、新株発行による増加664百万円、四半期純利益の計上965百万円、配当金の支払いによる減少642百万円によるものである。自己資本比率は75.0%となり、前期末の71.2%から3.8ポイント上昇している。

同社は2020年12月に第三者割当増資を実施した。増資に係る手取概算額649百万円については、ヘルスケア新規事業に充当する。これまで同社の主要事業はスキンケア商品をはじめとする化粧品であったが、近年の世界的な健康ブームやパーソナルヘルスケアへの関心の高まりを受け、第二の事業の柱としてヘルスケア事業を強化・拡大する方針としている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《EY》

 提供:フィスコ

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