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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4912 ライオン

東証P
1,375.5円
前日比
+10.5
+0.77%
PTS
1,373.4円
10:24 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.0 1.36 1.96 17.47
時価総額 3,912億円
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決算発表予定日

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ロックオン Research Memo(3):主力商品「アドエビス」のアカウント数及び平均単価が続伸


■事業概要

1. マーケティングPF事業
(1) 事業特性、商品特性
株式会社ロックオン<3690>はマーケティングPF事業として、顧客企業のデジタルマーケティング活動を支援する様々な商品・サービスをクラウドベースで提供している。例示すれば、マスメディアや広告に対する反応(上流)から、リスティング広告のクリック履歴(中流)を経て、自社サイトでの申し込み(下流)に至るまで一気通貫で顧客行動やマーケティング施策の効果を把握できる。別の見方をすれば、消費者に関して、1)最初にどんな広告を見て、2)どの広告をクリックして、3)どのランディングページを通じて、4)どうページを遷移して、5)どんな買い物をして、6)結局どんな特徴の人々だったのか、という6つの情報を把握することができる。デジタルマーケティングの世界では、「潜在顧客向け」「育成型」マーケティングの重要性が増しており、同社の提供する商品・ツール群へのニーズは高まる傾向にある。

同社の商品ラインの中で中核となるのが、「アドエビス」である。このツールは、各広告(最大150万件)の成果を一元管理・可視化し費用対効果の良し悪しを簡単に把握することができる。料金体系は、月間50,000クリックまで100,000円といったように使用量により料金プランを選択できる。

(2) 顧客・流通
顧客はデジタルマーケティングを行う企業・団体・広告代理店などである。デジタル広告費用が月50万円を超えるようになると、「アドエビス」などのツールを使い効果・効率を求めるニーズが高まる傾向にある。営業に関しては、約300社の代理店経由と自社による直接販売がある。ちなみに、公開可能な導入実績(「アドエビス」及びDMP活用)として、ライオン<4912>(トイレタリー)、(株)ECC(教育)、(株)やずや(通販)、アイフル<8515>(金融)、NTTデータ<9613>(通信)など多様な業種で活用されている。

(3) 市場・競合
インターネット広告市場は継続的に成長しており、同社には追い風となっている。2017年のインターネット市場規模は1兆5千億円を超え、広告費全体の23.6%を占め、2018年には広告市場の4分の1を超えると言われている。スマートフォン広告の増加、動画広告の増加、SNS広告の増加、アドテクノロジーの進化を背景にした運用型広告の拡大などが主な要因である。出稿するメディアの多様化は一元管理のニーズを高めていると考えられ、この点でも一気通貫のプラットフォームを持つ同社にとっては追い風である。

広告効果測定に限定して市場及び競合状況整理をすると、3つのセグメント(ローエンド顧客、ミドルエンド顧客、ハイエンド顧客)に分けることができる。ローエンド顧客は、ネット広告出稿量が少なく、Googleアナリティクスなどの無料サービスでニーズが満たされている。ミドルエンド顧客は、同社の対象顧客であり、月額50万円以上のネット広告出稿を多様なメディアに行っており、一元管理や効果効率を求めている層である。ハイエンド顧客は、さらに大規模な広告出稿を行い、カスタマイズの自由度が高く専門性が高い。Adobe Analyticsがこのニーズに応える代表的なツールであり、同社の月額単価とは5倍以上の価格差がある。同社は、ミドルエンド市場に特化して展開しているため、競合サービスとは棲み分けが成されている。同社は、広告効果測定市場において市場シェア42.9%を獲得し、2位に2倍以上の差をつけている。

(4) 重要な経営指標(KPI)
マーケティングPF事業の重要な経営指標(KPI)は、「アドエビス」のアクティブアカウント数と月額平均単価である。2018年9月期末のアクティブな顧客数は1,518件であり、前期末比で160件増加した。顧客単価(平均月単価)においても、84,918円(前期末比4,966円増)となっており、第3四半期からの新プランスタートの影響で上昇傾向である。

(5) ビジネスモデルの特長
マーケティングPF事業の事業特性は、ライフタイムが長いストック型ビジネスということである。顧客獲得のためのマーケティング及びセールス投資が先行するものの、回収後の長いライフタイムを通じて、安定収益を獲得していくモデルとなっている。1回契約すると平均では3年以上継続し、過去から一貫して顧客数が積み上がってきた。従って、同社はマーケティングやセールスへの積極的な投資を先行させ、中長期的な収益拡大を目指す方針を取っている。マーケティング及びセールス部門費用の対売上高比は32%(2018年9月期)に達しており、成長を優先する戦略である。弊社試算では、同社の生涯顧客価値(LTV)から考えられる1顧客獲得コスト(CPA)の上限は2.9百万円、それに対して実際のCPAは1.1百万円と2分の1以下であり、経済的に十分正当化できる適性水準と言えるだろう。

2. 商流PF事業(EC-CUBE部門)
「EC-CUBE」は同社がプロデュースするECサイト構築ツールである。世のツールの中で「高いカスタマイズ性」と「低コスト/簡単」を両立し、ECサイトの質を求めるユーザーから高い支持を得てきた。現在、国内シェアNo.1のオープンソースとしてWEB制作に欠かせないプラットフォームとなっている。

特筆すべきは、そのビジネスモデルで、次の特徴が挙げられる。
(1) 無料配布
(2) 開発は外部コミュニティが行う(一部は同社も担当)
(3) 営業はパートナー企業が行う
(4) 物流や決済などは外部のEC関連事業者が行う
(5) 同社はEC関連事業者からのマージンを収入とする
同社からは人材や設備などの大きな投資は行わずに、顧客を含めたプレーヤーすべてが満足するエコシステムを構築している。

EC市場全体としては、アマゾンなどの大手事業者に取引が集中する傾向になり、中小EC事業者の自社サイトの取引は伸び悩む会社もある。同社としても、EC-CUBE部門の売上は横ばいである。今後も大きな投資などはしないものの、デザイン性やセキュリティの強化策を着実に行っていく。2018年9月には、子会社「株式会社イーシーキューブ」の設立を決定し、独立した事業運営体制に移行し、成長を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

 提供:フィスコ

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