貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

4912 ライオン

東証P
1,358.0円
前日比
+6.0
+0.44%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.8 1.34 1.99 17.99
時価総額 3,863億円
比較される銘柄
花王, 
小林製薬, 
資生堂

銘柄ニュース

戻る
 

ロックオン Research Memo(3):マーケティングの効果測定システムをクラウドで提供する市場で国内シェアNo1


■事業概要

1. マーケティングPF事業
(1) 事業特性、商品・ツール
ロックオン<3690>はマーケティングPF事業として、顧客のマーケティング活動を支援する様々な商品・サービスをクラウドベースで提供している。例示すれば、マスメディアや広告に対する反応(上流)から、リスティング広告のクリック履歴(中流)を経て、自社サイトでの申し込み(下流)に至るまで一気通貫で顧客行動やマーケティング施策の効果を把握できる。別の言い方をすれば、消費者に関して、1)最初にどんな広告を見て、2)どの広告をクリックして、3)どのランディングページを通じて、4)どうページを遷移して、5)どんな買い物をして、6)結局どんな特徴の人々だったのか、という6つの情報を把握することができる。デジタルマーケティングの世界では、「顕在顧客向け」マーケティングや「潜在顧客向け」「育成型」マーケティングの重要性が増しており、同社の提供する商品・ツール群へのニーズは高まる傾向にある。

同社では11を超える商品モジュールを取り揃えて幅広いマーケティング課題に対応する。商品ラインの中でも中核となるのが、アドエビスである。このツールは、各広告(最大150万件)の成果を一元管理・可視化し費用対効果の良し悪しを簡単に把握することができる。料金体系は、利用ツール毎に異なり、月間1,000クリックまで10,000円といった使用量により段階的に料金が上がっていく。2017年9月期第2四半期の平均単価は73,919円/月であり、料金改定の影響もあり前年同期比で9,501円増加した。

同社のマーケティングPF事業の事業特性は、ライフタイムが長いストック型ビジネスと言える。顧客獲得のためのマーケティング及びセールス投資が先行するものの、回収後の長いライフタイムを通じて、安定収益を獲得していくモデルとなっている。従って、同社はマーケティングやセールスへの積極的な投資を先行させ、中長期的に収益拡大を目指す方針をとっている。マーケティング及びセールス部門費用の対売上高比を、2016年9月期の24%から、2017年9月期第2四半期では27%に比率を上げて積極的に投資している。当面は高い売上成長率をさらに伸ばしていき、全社のトップライン成長をけん引していくものと見られる。

(2)顧客・流通
顧客はデジタルマーケティングを行う企業・団体・広告代理店などである。2017年9月期第2四半期のアクティブな顧客数は1,285であり、前年同期比で57件増加した。広告費用が月50万円を超える頃からアドエビスを使い効果・効率を求めるニーズが高まる傾向にある。1回契約すると平均では3年以上継続し、過去から一貫して顧客数が積み上がっており、典型的なストック型事業の特性を持つ。営業に関しては、約300社の代理店経由と自社による直接販売がある。ちなみに、公開可能な導入実績(アドエビス及びDMP活用)として、ライオン<4912>(トイレタリー)、(株)ECCジュニア(教育)、(株)インテリジェンス(人材)、(株)イトーヨーカ堂(小売り)、(株)やずや(通販)、アイフル<8515>(金融)、NTTデータ<9613>(通信)など多様な業種で活用されている。

(3)市場・競合
インターネット広告市場は継続的に成長しており、同社には追い風となっている。スマートフォン広告の増加、動画広告の増加、SNS広告の増加、アドテクノロジーの進化を背景にした運用型広告の拡大などが主な要因である。出稿するメディアの多様化は一元管理のニーズを高めていると考えられ、この点でも一気通貫のプラットフォームを持つ同社にとっては追い風である。

広告効果測定に限定して市場及び競合状況整理をすると、3つのセグメント(ローエンド顧客、ミドルエンド顧客、ハイエンド顧客)に分けることができる。ローエンド顧客は、ネット広告出稿量が少なく、googleアナリティクスなどの無料サービスでニーズが満たされている。ミドルエンド顧客は、同社の対象顧客であり、月額50万円以上のネット広告出稿を多様なメディアに行っており、一元管理や効果効率を求めている層である。ハイエンド顧客は、さらに大規模な広告出稿を行い、カスタマイズの自由度が高く専門性が高い。adobeアナリティクスがこのニーズに応える代表的なツールであり、同社の月額単価とは5倍以上の価格差がある。同社は、ミドルエンド市場に特化して展開しているため、競合サービスとは棲み分けがなされている。

2. 商流PF事業(EC-CUBE部門)
EC-CUBEは同社がプロデュースするECサイト構築ツールである。世のツールの中で「高いカスタマイズ性」と「低コスト/簡単」を両立し、ECサイトの質を求めるユーザーから高い支持を得てきた。現在、国内シェアNo.1のオープンソースとしてWEB制作に欠かせないプラットフォームとなっている。

特筆すべきは、そのビジネスモデルで、次の特徴が挙げられる。
・無料配布
・開発は外部コミュニティが行う(一部は同社も担当)
・営業はパートナー企業が行う
・物流や決済などは外部のEC関連事業者が行う
・同社はEC関連事業者からのマージンを収入とする

同社からは人材は設備などの大きな投資は行わずに、顧客を含めたプレーヤーすべてが満足するエコシステムを構築している。

EC-CUBEの経営指標は、順調に成長している。
・開発コミュニティユーザー数:19,420人(2017年9月期第2四半期、前年同期比1,914増)
・EC-CUBE利用者:67,103人(2017年9月期第2四半期、前年同期比11,395増)
・EC関連サービス事業社(プラグイン数):765件(2017年9月期第2四半期、前年同期比230増)

EC市場全体としては、アマゾンなどの大手事業者に取引が集中する傾向になり、中小EC事業者の自社サイトの取引は伸び悩む会社もある。同社としても、経営指標は伸びているものの、EC-CUBE部門の売上は伸び悩む。今後も大きな投資などはしないものの、デザイン性やセキュリティの強化策を着実に行っていく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)

《NB》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均