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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4829 日本エンタープライズ

東証S
140円
前日比
-3
-2.10%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
25.7 1.11 2.14 5.86
時価総額 54.0億円
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日本エンター Research Memo(2):上場時と比べ事業環境が大きく変化


■会社概要

(1)事業概要

1989年に設立された日本エンタープライズ<4829>は、1997年に携帯電話・PHS等の移動体機器等の販売及び音声コンテンツサービスを開始した。2000年に、ソリューション事業に参入。2016年5月期の売上高5,530百万円の事業別構成比は、コンテンツサービス事業が39.7%、ソリューション事業が60.3%となった。

2001年にナスダック・ジャパン市場に株式を上場後、2007年に東証2部へ、2014年に東証1部へ指定替えとなった。

a)コンテンツサービス事業
モバイルコンテンツに関連する事業環境は大きく変化した。2012-2013年に、モバイルコンテンツ市場でスマートフォン等が市場規模でフィーチャーフォン(従来型携帯電話)を逆転した。NTTドコモ<9437>のiモードなどキャリア(移動体通信事業者)が運営するコンテンツプラットフォームの時代では「月額課金」モデルが一般的で、コンテンツプロバイダは継続的、かつ安定的な収入が得られた。一方、AppleのiOSやGoogleのAndroid OSを搭載するスマートフォン向けアプリでは、月額課金のコンテンツは雑誌など一部に限定され、ダウンロード時の都度課金に移行したうえ、無料アプリや無料コンテンツが豊富に提供されるようになった。アプリやコンテンツを利用するのが無料のため、収入源は広告や有料プレミアム機能の利用、アイテムやスタンプの購入などになる。コンテンツプラットフォームは、OSを提供する企業の「App Store」や「Google Play」になる。

キャリアが運営するプラットフォームでは2つの形態が併存しており、「月額課金」、「キャリア定額」に分けられる。同社は自社広告媒体である「リアル(店頭)アフィリエイト」において携帯電話販売会社との戦略的タイアップにより、スマートフォン向けの月額課金コンテンツの会員獲得に努めている。3大キャリアは、それぞれの定額サービス「スゴ得コンテンツ」「auスマートパス」「App Pass」を展開しており、サービスリストにあるアプリのコンテンツプロバイダは利用者の使用分に応じてキャリアから料金を受け取る。ドコモの「スゴ得コンテンツ」では、約180種類のコンテンツが月額380円の定額で使い放題となっており、会員は500万人を突破している。また、「App Store」や「Google Play」においても、プラットフォーム提供者が決済機能を運用している。

同社のモバイルコンテンツは、3つのジャンルに分けられる。2016年5月期の売上高は、「交通情報」が876百万円(コンテンツサービス事業における構成比39.9%)、「エンターテインメント」が1,024百万円(同46.7%)、「ライフスタイル」が294百万円(13.4%)であった。

コンテンツは、同社の他、同社の子会社でも提供する。「交通情報」は、2011年に子会社化した交通情報サービス(株)が担当している。同社は15年連続して黒字を達成しており、無借金の上、潤沢な資金を有する。M&Aによる業容拡大にも積極的だ。2016年5月期の連結子会社は9社、非連結子会社が5社であった。うち、買収による子会社は5社になる。2016年6月に設立された、いなせり(株)は、東京魚市場卸協同組合向けの電子商取引(EC)サービスを今秋より提供する。

b)ソリューション事業
ソリューション事業の2016年5月期の売上高構成は、ソリューションが1,637百万円(構成比49.1%)、広告(代理サービス)が1,304百万円(同39.1%)、海外が393百万円(同11.8%)であった。

ソリューションは、システムの企画、構築、運用、デバッグ、サーバ保守管理等の法人向け受託開発を行う他、バースオークション&見積徴収システム『Profair』、スマートフォンを活用した企業の内線電話網を構築するアプリケーション『AplosOneソフトフォン』、メッセンジャーアプリ『BizTalk』を提供することで法人向け業務支援を行う。広告ビジネス「リアル(店頭)アフィリエイト」は、携帯電話販売会社が店舗で来店顧客にサービス説明・会員登録への誘導等を行い、成果報酬を支払うものになる。同社は、自社のみならず他社のコンテンツも扱えるアフィリエイトシステムを提供する。海外は、中国・上海エリアに出店した携帯電話販売店(チャイナテレコムショップ)による携帯電話端末の販売が主体となる。

過去5期の事業別売上高とセグメント利益の推移を見ると、コンテンツサービス事業のビジネス形態はスマートフォンの普及により、モバイルコンテンツ市場が店頭で販促活動をかける月額課金とキャリア定額から都度課金もしくは無料のネイティブアプリへと移行している影響をうけている。携帯向けゲームは、制作費が数億円、プロモーションにその倍の費用がかかるものの、当たらないと1ヶ月で閉鎖を余儀なくされるなどリスクが高い。同社の代表的な『ATIS交通情報』と『女性のリズム手帳』は、生活に密着したコンテンツとなる。『女性のリズム手帳』はダウンロード数が300万に到達したが、有料コンテンツ利用者の割合を考慮して、1,000万ダウンロードを目指す。同時に、3DVR(3次元仮想現実)などの新しい技術への対応を積極的に行う。2016年10月に、(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメントよりヘッドマウントディスプレイ(HMD)の「PlayStation VR」が発売される。同社は、新しいゲーム需要を喚起すると期待している。

ソリューション事業は、売上高を伸ばしているものの、先行投資が収益を圧迫している。同社は、他社との業務提携(アライアンス)を通して、自社の経営資源の最大化を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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