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パソコンとオフィスの融合、「テレワーク革命」で生まれる大化け株候補 <株探トップ特集>


―政府主導で働き方改革の切り札に、「台風テレワーク」推進で投資テーマとして急浮上―

 来年に東京オリンピック・パラリンピックを控えるなか、テレワーク の需要拡大が急速に進んでいる。ここにきて、株式市場でも中長期的に保有して安心感のある内需関連株への関心が高まっており、そのなか成長シナリオの描きやすい同関連銘柄にスポットライトが当たっている。政府主導でテレワークの導入が進められるなか、今秋の相次ぐ大型台風などの自然災害などを受け「台風テレワーク」を推進する動きも出ている。働き方改革 の普及を支える環境づくり、サービス、関連製品を視野に、成長シナリオの実現性が高まれば、関連株への物色が本格化しそうだ。

●経済成長の切り札、テレワーク

 現在の日本はかつてないほどの人手不足に直面している。女性・高齢者・身体障害者などの労働参加や副業の拡大が日本の成長戦略の切り札とされているだけあって、政府もテレワークの普及推進に本腰を入れている。政府は、企業や官公庁などに対して、東京五輪の開会式が行われる7月24日を含めた「テレワーク・デイズ」実施を求め、それをきっかけに日本社会に働き方改革を定着させる狙いにある。これは2012年のロンドン五輪の成功例に倣ってのことだ。総務省「通信利用動向調査」によると、18年には、テレワーク導入もしくは導入予定のある企業の割合は26.3%と前年の同18.2%から大きく上昇し、政府が掲げる20年目標の34.5%を視界に捉えるところまで迫った。

 もともとテレワークは、社会と企業、就業者の三方にメリットがあり、女性や高齢者も含めた労働参加で生産性向上が進めば、経済効果が更に大きくなる可能性がある。前述の調査によれば、企業がテレワークの導入目的として最も多いのが定型的業務の効率性(生産性)の向上(56.1%)や勤務者の移動時間の短縮(48.5%)、通勤困難者(身障者、高齢者、介護・育児中の社員など)への対応(26.0%)などだった。これらの導入目的に対して、効果を認めている企業も8割強となっている。

●グローバルな視点から、日本でテレワークが普及する余地は大きい

 米調査機関のWorldatWorkによると、15年には米国のテレワーク導入比率は既に85%と日本よりはるかに高い。英国においても、12年のロンドン五輪開催を契機に、市内約8割の企業が導入し、一気に普及が進んだ経緯がある。特に米国のテレワークは、1970年代のロサンゼルスで交通渋滞や環境汚染問題への対応から導入されたことを始めとして、その後パソコンの普及や女性の社会進出が本格化したことで、関心が高まった。94年にロサンゼルス郊外に位置するノースリッジでの地震の発生により高速道路が使えない状態となったこととその後の危機管理への対応が、テレワークの導入を更に加速させた。各国の例をみても、日本でテレワークが普及する余地が大きいとみられる。

●台風頻発でフレキシブルな働き方改革が社会に浸透

 東京都による19年7月調査では、都内の従業員30人以上の企業の約25%がテレワークを導入している。年々増加しているが、非常時(地震・新型インフルエンザなど)の事業継続に備える意識はまだ低い。しかし、今秋に次々と首都圏を襲った巨大台風で、台風テレワークの導入が提唱されている。危機管理などといった柔軟な対応が求められる声が高まっており、テレワークやスマートワークの導入には追い風となっている。

 ただし、テレワークに利用されることの多いカフェやサテライトオフィスといった空間は、セキュリティーの面で課題があり、秘匿性のある情報を取り扱いながらの資料作成や電話などに適しておらず、隙間時間の有効活用を実現するテレワークをするための理想的な場所が不足しているのが現状だ。

 こうした問題の解決に一役買いそうな企業では、テレビ会議システムを手掛けるブイキューブ <3681> がある。同社が開発した小型共用ブース「テレキューブ」は、セキュリティーや防音性が高い個室空間。有事への対応はもちろんのこと、移動や商談の合間に周囲を気にせず資料作成や電話に集中できる。オフィス家具大手のオカムラ <7994> などと協力開発した。JR東日本 <9020> が新規開業したシェアオフィスに採用されるなど知名度も上がり、テレワーカーからも熱い視線が注がれている。19年7-9月期から販売台数が急拡大、サブスクリプションモデルやマス広告の開始に伴い来期から利益の本格成長に期待が持てそうだ。

 このほか、セキュリティー対策ソフトやシステム構築を手掛けるソリトンシステムズ <3040> やリモートサポートによる情報端末管理ソフトをクラウドで提供するオプティム <3694> 、情報システム設計が主力のSAMURAI&J PARTNERS <4764> [JQG]なども注目される。

●「オワコン」の国内パソコン市場に新潮流

 スマホやタブレット端末の台頭により、シェアオフィスとの相乗効果や、一時は「オワコン(終わったコンテンツ)」とまで言われたパソコン市場も、テレワークや教育ICTの推進により再び成長期に入り、市場のすそ野を広げている。JEITA(電子情報技術産業協会)が公表したパーソナルコンピューター国内出荷実績によれば、19年4-6月は216万7000台(前年同期比35.5%増)、同7-9月は287万6000台(同66.0%増)と、需要が加速している。急拡大の背景には今年10月の消費税率の引き上げや来年1月のウィンドウズ7のサポート終了があるが、前回の消費税率引き上げ時やウィンドウズXPのサポート終了時にあたる14年1-3月の伸び率(同30.5%増)をも大きく上回ったことから在宅勤務などの導入需要によるものが大きいといえる。パソコン関連銘柄としてはNEC <6701> や富士通 <6702> のような大手のほか、パソコン専門店のピーシーデポコーポレーション <7618> 、マウスなど周辺機器大手のエレコム <6750> 、サイバーセキュリティー製品の研究開発や販売を手掛けるFFRI <3692> [東証M]なども恩恵を受けそうだ。

●オンライン化で拡大するクラウドソーシングビジネス

 テレワークの普及は、副業の広がりにもつながる。クラウドソーシング は、フリーランスと企業を仕事領域でマッチングさせるビジネスで、この業界最大手のランサーズ <4484> [東証M]が16日、東証マザーズに上場を果たした。今年のフリーランス人口は15年に対して1.2倍となっており、フリーランスの経済規模は約20兆円と15年の1.4倍に拡大した。オンライン化率がフリーランスの仕事獲得につながるとされるが、日本は17%とフリーランス先進国である米国の64%と比べ伸びしろが大きい。今後ITの進化やテレワークの浸透で業界は飛躍的な成長局面を迎えている。

 同じくワーカーとクラアントの仕事をマッチングさせるサイトを運営するうるる <3979> [東証M]は、宣伝費など先行投資が重く20年3月期こそ営業赤字見込みだが、独自のビジネスモデルが評判でSNSの口コミなどによりベンチャー企業を中心にクラウドソーシングビジネスの契約を順調に増加させており、早晩脚光を浴びよう。

 また、17日に東証マザーズに新規公開を果たしたスモールビジネス向けクラウドERPサービスを展開するフリー <4478> [東証M]にも注目したい。同社は決算書作成や確定申告が簡単に行える主力のクラウド会計ソフト「freee」を展開している。この分野のトップシェアを誇る同製品は、中小企業の多様な業務を「統合型」でカバーすることによって、業務の事業化を促進し、働き方を変えていくプラットフォームとして機能するだろう。

 このほか、事務代行ソフトのロボットアウトソーシング事業を主力とするRPAホールディングス <6572> や、ヤフーを傘下に持つZホールディングス <4689> 、対話アプリLINEを運営するLINE <3938> などにも商機があろう。

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