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4763 C&R

東証P
1,610円
前日比
+5
+0.31%
PTS
1,615.1円
14:59 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.3 2.26 2.67 56.47
時価総額 370億円
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C&R Research Memo(6):クリエイティブ分野(日本)及び医療分野の業績が過去最高を更新


■業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリーク・アンド・リバー社<4763>のクリエイティブ分野(日本)の売上高は前期比11.8%増の19,101百万円、セグメント利益は同6.7%増の1,155百万円といずれも会社計画(売上高19,000百万円、セグメント利益1,150百万円)を上回り、過去最高を連続更新した。売上高は主力の映像(テレビ・映画)、ゲーム、Web分野が揃って増収となったほか、新規エージェンシー分野も順調に拡大した。セグメント利益率が前期の6.3%から6.0%に低下したが、これは中途採用等による人件費・採用費の増加や新規エージェンシー事業の立ち上げ、及びVRやAI等の新市場への取り組み強化に伴う販管費の増加が要因となっている。

分野別で見ると、映像分野は地上波やBS放送等のバラエティ、情報、ドキュメンタリー番組中心に企画・制作の需要が旺盛で売上高は2ケタ増収と好調に推移したものの、営業利益は2ケタ減益となった。「働き方改革」の一環として長時間労働の是正に取り組んでおり、人件費が増加したことが要因だ。

一方、ゲーム分野については受託開発案件の増加や旺盛な派遣需要により、2ケタ増収増益と好調に推移した。自社開発のソーシャルゲームについては前期比横ばいの6タイトルを運営している。また、新たな取り組みとしてFacebook Messengerで楽しむミニゲーム「Facebook インスタントゲーム」の開発に着手したほか、女性向け人気ゲーム・アニメとのコラボレーションイベント等も開催し(4回で総来場者数は7千人以上)、関連グッズの販売等が好調だった。

Web・紙媒体分野は売上高が1ケタ増収、営業利益が2ケタ減益となった。官公庁向け等の大規模Webサイトの制作案件の受注が伸長したものの、官公庁向けは売上計上時期が3月に集中することもあって、売上高は1ケタ増収にとどまった。また、営業利益はWeb業界に特化した業界最大級の新規求人情報サイト「Webist(ウェビスト)」の開設に伴い、人員体制を強化したこともあって2ケタ減益となった。

電子書籍・YouTube分野は売上高が2ケタ減収となったものの、営業利益は2ケタ増益となった。売上高については電子書籍の販売キャンペーンに関する大口案件(約3億円)が2018年2月期は無くなったことが減収要因となったが、電子書籍取次事業において配信数、ダウンロード数が順調に増加したほか、YouTubeを使った企業の公式チャンネルの運用管理も拡大し、増益要因となった。

その他、建築分野では一級建築士等のネットワーク拡大による人材紹介や派遣等のエージェンシー事業の立上げが順調に進んでいるほか、プロデュース事業においても付加価値の高いデザイナーズ賃貸物件「Creative ResidenceR」シリーズの実績が順調に積み上がっており、事業化以降、初めて通期での黒字化を達成した。また、ファッション分野(デザイナー紹介)についても当第4四半期に初めて黒字化している。

VR市場への取り組みとしては、一体型VRゴーグル「IDEALENS K2+(アイデアレンズ K2プラス)」の法人向けサービスにおいて、使用目的に応じたレンタルプランの策定やコンテンツの提供、サポートスタッフの派遣等が着実に伸びている。BtoB分野(教育研修、医療教育、観光分野等)では約5千台を出荷しており、国内市場ではトップの実績となっている。

その他、新規事業として2017年10月よりドローン事業をスタートしている。ドローンパイロットやエンジニア、空撮を熟知したカメラマンやディレクター等をネットワーク化し、映像の企画・制作から撮影、中継、3D化を行うだけでなく、AI(画像解析)やVR技術を組み合わせることで、土木・建築や農業・酪農等の産業分野での需要掘り起こしを進めている。

(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比70.1%減の985百万円、セグメント利益は同85.0%減の2百万円となった。従来、連結子会社であったCREEK & RIVER KOREA(以下、CRK)で日本と同様のビジネスモデルを展開していたが、2016年12月に同事業を会社分割し、同事業を新設会社であるCREEK & RIVER ENTERTAINMENT(以下、CRE)に承継。今後はCREでテレビマーケットに特化したエージェンシー事業を行い、CRKでは韓国のゲームコンテンツの日本へのライセンシング等、ライツマネジメント事業を中心に展開していくこととなった。2017年6月よりCREが連結子会社から持分法適用関連会社に異動したため大幅減収となったが、従来から低採算だったこともあり利益面では若干の減益にとどまった。

(3) 医療分野
子会社のメディカル・プリンシプル社で展開する医療分野の売上高は前期比7.5%増の3,557百万円、セグメント利益は同32.8%増の575百万円と期初会社計画(売上高3,450百万円、セグメント利益520百万円)を上回り、過去最高業績を更新した。医療分野では、医療機関や自治体、医師や看護師等の多様なニーズに応えるべく、医師の紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした「レジナビフェア」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、医師の転職・求人・募集サイト「MediGate」、医師を対象に提供する教育プログラム「民間医局アカデミー」等のサービスを展開している。

2018年2月期も全国各地での慢性的な医師不足、地域的偏在を背景に、医師の求人ニーズが引き続き旺盛で、「MediGate」の登録会員数増加とともに紹介事業が伸びたことが収益拡大要因となっている。なお、2017年8月に群馬県高崎市に上信越支社を開設し全国15拠点体制となっている。

(4) その他事業
その他事業の売上高は前期比10.3%増の3,260百万円、セグメント利益は同15.7%減の64百万円となり、期初会社計画(売上高4,100百万円、セグメント利益205百万円)を下回った。IT分野のエージェンシー事業を展開する(株)リーディング・エッジ社ではプログラム言語Pythonに精通するエンジニアの採用・育成を中心として、ロボット・AI等の今後の需要拡大が見込める市場に向けたエンジニアの輩出に取り組んでおり、登録エンジニア数は前年の1,000名規模から3,000名規模にまで拡大している。

法曹分野のエージェンシー事業を展開するC&Rリーガル・エージェンシー社では、弁護士の登録者数が約9,000名と前期末から約1,000名増加し、紹介事業が順調に拡大した。また、弁護士のグローバルニーズに対応するために開発に取り組んでいるSNSプラットフォームサービス「JURISTERRA」の本格稼働に向けた準備を米子会社と連携しながら進めている。同サービスは国内外の弁護士と法人企業をつなぐグローバル規模のBtoBマッチングサービスとなる。当初は2017年12月に本サービスの開始を予定していたが、システム開発に時間が掛かり2019年2月期上期中の本サービス開始を見込んでいる。海外業務が絡む案件数はグローバル化を背景に拡大しているが、海外のビジネス法務に対応できるのは大手法律事務所に限られており、全体の3%程度と言われている。「JURISTERRA」の導入によって、国内の中小規模の法律事務所でも海外の弁護士と協働して、顧客ニーズに対応することが可能となる。法曹分野におけるBtoBのSNSプラットフォームサービスはまだなく、市場の開拓に成功すれば、将来的に大きな収益をもたらす可能性があり、今後の展開が注目される。2016年4月からβ版の事前登録を開始しており、2018年にはコンサルティングやAI書き起こしサービスをスタート。登録者数(弁護士、企業の法務部門)は3月末時点で約5,000人となっている。現段階ではマッチングした際の紹介料のみを売上として計上しているが、今後、プラットフォームが安定稼働してくれば月額2万円程度の課金サービスモデルへと移行していく計画となっている。なお、法曹分野の業績については増収となったものの、「JURISTERRA」の立ち上げ費用増等により営業利益は減益となった。

会計分野のエージェンシー事業を展開するジャスネットコミュニケーションズ(株)では、会計・経理人材の派遣・紹介事業が拡大すると同時に、知的財産や金融・国際業務に関する高度な会計業務を請け負うサービス「高度会計支援サービス」を提供するなど収益の多様化を進めており、登録スタッフ数、顧客数とも順調に拡大し増収増益となった。

ファッション分野のエージェンシー事業を展開する(株)インター・ベルでは、アパレルショップへの販売員の派遣や販売代行等を行っているが、今期は不採算案件の見直しを進めるなど事業再構築に取り組む一年としたことにより、新規事業のなかでは唯一減収となり、営業損失も拡大した。

人材メディア事業を展開する(株)プロフェッショナルメディアについては、2015年にリニューアルした広告・Web専門求人サイト「広告転職.com」が黒字化したほか、同サイトの運営ノウハウを生かして、映像分野で「映像しごと.com」、ファッション分野で「ファッションしごと.com」、食分野で「料理人しごと.com」など専門の求人サイトを相次いで立ち上げるなど収益の多様化を進めている。

2016年8月に設立した(株)VR Japanでは、中国のIdealens Technology Co., Ltd.が開発したケーブルレスの一体型HMD「IDEALENS」の国内総代理店として拡販を進めるため、プロモーション活動を開始した。用途としては業務用ユースの開拓を進めており、企業向け教育研修用途や、医師向けの医療教育用途、ホテル・観光・レジャー施設への導入が進んでいる。ただ、まだ先行投資段階のため、営業利益段階では損失計上となっている。

新規事業として2018年1月に台湾のAIベンチャーであるインツミット(株)と共同で、AIシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行う子会社、Idrasysを設立している。インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobotR」の国内での拡販を進めていく計画となっている。「SamartRobotR」はIBM<IBM>のAIエンジン「Watson」と同等の性能を持ちながら、サービス料金は低価格に抑えていることが特徴で、既に台湾の5大銀行のうち4銀行で接客業務のRPAシステム(Chatbot)として導入されている(残り1銀行も導入予定)。国内では独立系運用会社のさわかみ投信(株)が導入を決定、2018年春より運用を開始(予定)するなど既に複数件の導入が決まっており、今後の成長が期待される。

(執筆:フィスコアナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

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