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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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4725 CAC

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CACHD Research Memo(3):国内IT事業、海外IT事業、CRO事業を展開(1)


■事業内容

CAC Holdings<4725>の時代のニーズに応じて事業ポートフォリオを変化させるなかで、報告セグメントを従来の「システム構築サービス事業、システム運用管理サービス事業、BPO/BTOサービス事業」から改め、2018年以降は「国内IT事業、海外IT事業、CRO事業」としている。

2014年以降のM&A戦略もあって、海外IT事業の売上高が全社売上の20%超を占めるに至ったことが報告セグメント見直しの直接的な理由だが、これまでも海外市場を成長のフロンティアとしてきた同社だけに、海外市場における新たな挑戦に期待したい。

1. プライム契約比率90%を誇る国内IT事業
国内IT事業は、全社売上の57%(2017年12月期)を占める同社の主力事業であり、国内子会社を通じてシステム構築サービス、システム運用管理サービス、人事BPOサービスなどを展開している。

同社は独立系SIerの中立な立場で、プライムコントラクタとして、ユーザ・ニーズを的確かつ直接くみ取り、顧客に最適なサービスを提供することに強くこだわってきた。

実際、国内IT事業の中核を担う、シーエーシー(CAC)は300社程度の顧客数を抱える中で、プライム契約比率は約90%の水準をキープしており、受注時粗利率は25%を確保している模様である。

(1) 銀行・信託向けに強みを有するシステム構築サービス
システム構築サービスは、情報システムの企画から、設計・開発・テスト・導入・保守まで、企業情報システムの構築をトータルに実施するものであり、売上高上位の顧客には、複数の金融機関や大手信託銀行が名を連ねている。

半世紀超にわたりプライムコントラクタとして専門性の高い業務知識と経験を培ってきた結果、メガバンク向けの市場系や海外系システム、信託銀行向けの年金関連システムに強みを有しており、高い市場シェアを誇っている。

(2) クラウド対応を進めるシステム運用管理サービス
システム運用管理サービスは、1971年のアウトソーシング・サービス専門会社(SSK)への出資を起源としており、現在は運用プロセス管理、業務運用、ユーザー支援、クライアント機器管理、アプリケーション運用、インフラ運用など、システムの運用に必要な機能をトータルに提供している。

大手製薬企業への総合的サービス提供を通じて蓄積した運用ノウハウやM&Aにより様々な業種(製造業や商社、水産・食品)のニーズをダイレクトに取り込んだことが強みとなっている。

また、AWS(Amazon Web Services)でのシステムインテグレーションやアプリケーション開発などに注力、その実績が非常に豊富であるとして、「APNアドバンスコンサルティングパートナー」に認定されるなど、クラウド対応についても、急ピッチで強化している。

クラウド化の加速は、ITベンダーにとって既存ビジネスの縮小につながる面も持つが、同社はそのマイナス影響は小さいとしており、クラウド化を新たなビジネスチャンスと捉え、積極的に取り組んでいる。

(3) 人事BPOサービス
人事BPOサービスは、ITを活用し、人事業務などのビジネスプロセスを企業の担当者に代わって遂行するものであり、一般的な給与計算などにとどまらず、人事制度の運用や労務管理、福利厚生管理、その他人事業務全般で業務受託を行っていることが特色となっている。

2. 成長フロンティアに挑む海外IT事業
海外IT事業は、11社(2018年4月1日現在)の海外グループ会社を通じ、システム構築サービス、システム運用管理サービス、保守サービスなどを展開している。

同社は、他社に先駆けて1970年代に海外に進出するなど、早くから海外市場を成長フロンティアとして捉えてきた。そして、M&Aの積極化などもあって、2015年以降の海外比率は20%超(2017年22%、うちアジアが74%を占める)となり、2015-2017年においてはCRO事業を上回る規模に達している。

また、組織・人材面を見ても、外国人取締役比率25%、外国人従業員比率62%など、グローバル展開力の強化は著しい。

一方、急速な規模拡大を求めるなかで、買収企業において想定外の損失が発生し、早くも事業の切り離しに追い込まれるなど、M&A戦略(デューデリジェンスやPMI)における課題も明らかになった。

同社は、海外IT事業について、顧客である日本企業に対するグローバル・サポートや海外グループ会社のオフショア活用がメインの段階から、インドや中国といった現地の巨大マーケット自体によりフォーカスする段階に進みつつあると認識している。

この点、2014年に子会社化したAFLは本拠地インドの製造業や金融機関を始め、米国、英国、中東などの各拠点でも優良な顧客を抱えており、海外現地市場開拓の橋頭堡として注目できる。

また、AFLは成長分野であるADAS(高度運転支援:Advanced driver-assistance system)関連で数億円の売上実績を日本などで上げている。巨大産業でありながら、これまで実績が乏しかった自動車向けビジネスへの足掛かりをグループ内に取り込めた意味は大きい。

ADAS分野は、同社が出資し代理店契約を締結している米Affectivaの感情認識AI技術の活用範囲も大きく、今後の展開に期待したい。

成長ポテンシャルと課題を併せ持つ海外IT事業について、新中期経営戦略「Determination21」のブラッシュアップ版では、文字どおり「覚悟」を感じられるアクションプランが盛り込まれることを期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)

《SF》

 提供:フィスコ

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