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4720 城南進学研究社

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城南進研 Research Memo(9):新中期経営計画を始動、再成長を目指す


■今後の見通し

2. 新中期経営計画(2020年-2022年)について
城南進学研究社<4720>は2021年3月期からスタートする3ヶ年の新中期経営計画に関するヴィジョンと基本戦略を発表した。経営数値目標については新型コロナウイルス感染症の影響が不透明なことから、今回は具体的な目標値は開示していないが、見通しが立った段階で発表する予定にしている。

ヴィジョンについては、「総合教育ソリューション企業として、たくましい知性、しなやかな感性を育む能力開発のLeading Companyとなる」ことを掲げた。また、以下の5つの基本戦略に取り組むことで、業績の再成長を目指す方針となっている。

(1) 「学びの個別最適化」を追求
文部科学省が打ち出したGIGAスクール構想の前倒しにより、学校内通信ネットワークの整備や生徒1人1台のPC端末の整備が進展し、教育ICTによる学びの生産性向上が進むなかで、PBL(問題解決型学習)等の主体的な学びがより重要視されることになる。

こうした環境下において、「城南コベッツ」では2020年から「atama+」を直営・FC教室で順次導入を進めており、Edtechの活用とスタッフコーチングを組み合わせた学力向上モデルの構築により、新たな個別指導塾のスタイル確立に取り組んでいる。また、「城南予備校DUO」ではPBLを導入した新学力・新入試対応の予備校として差別化を図り、新たなスタイルを確立していく考えだ。

さらには、ポストコロナを見据えて、在宅学習(遠隔指導)によるサービス展開モデルの構築も進めていく計画だ。既に、個別指導部門、映像授業部門ともに在宅、通学の両方で授業を進める体制は構築済みであるが、今後、在宅学習の需要が高まることを見据えて、教室の広さなども最適化していくことを考えている。また、在宅学習を導入すれば、地方のFC教室では講師不足といった課題も解消することになり、事業の再成長につながる取り組みとして注目される。

(2) 「教育ソリューション事業」の戦略的展開
同社では直営教室の運営による事業拡大だけでなく、自社でこれまで蓄積した様々なノウハウをソリューションとして提供することで、更なる成長を目指していく戦略となっている。

具体的には、デジタル教材「デキタス」「デキタス・コミュ」について、学校や学習塾向けなどBtoBの拡販に取り組み、有料アカウント数を現在の2~3千件から3万件に拡大することを目標とする。前述した中萬学院向けの販売開始や横浜市内の公立学校での導入拡大が期待される。新型コロナウイルス感染拡大によって、期間限定で無償提供した際の登録アカウント数は約8万件に上り、潜在的な需要は大きい。3万件の規模になれば売上高も年間10億円規模に達する見通しで、今後の動向が注目される。

また、「城南コベッツ」のFC教室についても前述した新個別指導塾のスタイルを確立することで競合塾との差別化を図り、現在の201教室を3年後に230教室まで増やしていく。「クボタメソッド」については、育児法認定園を現状の25園から150園(海外展開含む)に、くぼた式認定資格者を1千人まで拡大することを目標に掲げた。

(3) 付加価値の高い「幼少教育事業」の確立
保育事業に関しては、ここ数年、M&A戦略により複数のブランドを首都圏で獲得し、事業基盤を拡充してきた。今後、これらすべての保育園において「クボタメソッド」を導入することで差別化を図っていくほか、フェアリィーの保育士育成ノウハウを共有することで、保育士の採用難といった課題を解消し、事業を拡大していく戦略となっている。

また、英語系学童インターナショナルスクール事業についても、「ズー・フォニックス・アカデミー」「サニーキッズ・インターナショナルアカデミー」に続いて新たに「トレスター・インターナショナル・アフタースクール」をM&Aで獲得したことにより、2020年3月末の3教場から3年間で20教場まで拡大し、小学校3年生以下で中学生レベルの英語力を習得できるサービス体制構築を目指す。さらに、新たな取り組みとなる複合型スクール「城南ブレインパーク」については、現在の2拠点を10拠点まで増設し、グループシナジーを図りながら事業規模を拡大していく考えだ。

(4) 「収益構造改革」の断行
収益構造改革として、前期までに「城南予備校」の運営を終了し、固定費の削減を実施したが、引き続き不採算教場のてこ入れと業務プロセス改革により、不採算教場ゼロの達成を目指していく。同社では3年間連続損失を計上した教場を整理対象としており、四半期ごとのPDCAサイクルの徹底と業務の可視化、組織内の情報共有や迅速な業務改善に取り組むほか、グループシナジーを追求していくことで、収益性の向上を図っていく。また、戦略的業務提携についても今後は積極的に推進していく考えだ。また、本社機能についても前述のとおりスリム化しており、収益体質はここ1~2年で筋肉質なものに変化しているものと見られる。

(5) クレド経営に基づいた人財育成
自ら考えて行動する社員を育成することによって、ミッションが達成される経営を目指していく。また、発展に寄与する人財採用と成長を促すための人事評価制度の構築についても取り組んでいく予定だ。

なお、SDGsの具体的な取り組みとして、同社では「質の高い教育の提供」において、「デキタス」の無償提供による学習機会の提供を実施したほか、「ジェンダーの平等実現」においては、女性の活躍の場を広げるべく保育事業の拡大に取り組んでいる。今後もこうしたSDGsへの取り組みについては継続して強化していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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