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4720 城南進学研究社

東証S
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373円
13:48 04/24
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時価総額 33.3億円
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城南進研 Research Memo(6):マクロ的成長戦略は総合教育企業としての発展・進化、個々の事業も成長


■中期経営計画と成長戦略

(2)成長戦略

城南進学研究社<4720>は来2018年3月期を初年度とする新中期経営計画を策定し、2017年5月頃を目途に発表の予定だ。計画の詳細は発表まで待たなければならないが、新中期経営計画とも密接に関連するであろう成長戦略がいくつか見えてきたので以下に紹介する。

同社のマクロ的な成長戦略は、前述のように、総合教育企業としての発展・進化だ。少子化の影響を、教育サービスの対象年齢層を拡大することで吸収するということだ。現在でも乳幼児から社会人までカバーした形ができているが、それぞれのサービスが内容や地理的展開などの点で、スタンドアローンで(“点”で)存在している感は否めない。各種サービスを“線”でつなぐ、あるいは“面”でカバーする形にできれば、同社の理想にさらに近づくのではないかと弊社では期待している。

一方、個々の事業における成長戦略もいくつか出てきている。

a)久ケ原スポーツクラブ
久ケ原スポーツクラブについては、今第2四半期において、管理システム、運営体制の強化などを行い、会員数の増加につなげたことは前述のとおりだ。会員数は9年ぶりの水準とのことで、今後に期待が持てる大きな動きと言える。

久ケ原スポーツクラブでは、それ以外にも中期的展開が注目される新しい取り組みが始まっている。そのうちの1つが、愛犬のフィットネスクラブ「エルペロ」だ。久ケ原スポーツクラブは従来からエルペロを運営していたが、同社では当初はエルペロ事業には注目していなかった。しかし、エルペロの知名度・認知度の高さを生かした事業展開の可能性を再評価し、むしろ積極的に拡大していくことを決定した。具体的には、ドッグランナー(犬用トレッドミル)の開発、販売やペットホテルの運営などだ。ペットホテルについては、久ケ原スポーツクラブが渋谷区のペットホテル事業者ドッグマイスターを買収した。現在は1拠点だが、渋谷区のペットホテルとして高い知名度。認知度があることもあり、今後、多店舗展開なども視野に入れているもようだ。

久ケ原スポーツクラブでは、eラーニング教材「デキタス」とのコラボレーションという取り組みも始まっている。デキタスはインターネットを利用した小中学生向けのWeb学習システムだ。学習習慣を身に着けることが主な目標となっている。スイミングクラブは一般に、小学4、5年生に退会者が増えるという悩みがある。4泳法をマスターして一定の目的が達成されるのと、勉強が忙しくなるのが重なる時期に該当するためだ。久ケ原スイミングクラブでは、勉強をサポートする教材として、デキタスの販売活動も行っている。デキタスは月3,000円~4,000円。デキタスがどの程度の会員引き止め効果があるのかはまだデータ不足であるが、スイミングとデキタスの組み合わせは他のスポーツクラブ事業者からも注目を集めており、後述するソリューション事業へとつながっていく。

弊社では、エルペロやペットホテル事業のノウハウを生かすことで、久ケ原スポーツクラブの会員増につなげる施策が可能なのではないかと考えている。飼い主自身とペットの健康管理を同時に行える拠点に対する潜在的ニーズは大きいと考えるからだ。同社からはこうした施策などは特に発表されていないが、久ケ原スポーツクラブの可能性は非常に高いというのが弊社の見方だ。装置産業であるだけに、会員数を増大させれば増加分の売上高がほぼ利益として残る点も魅力的だ。

b)ソリューション事業
同社は今後の成長戦略の1つとしてソリューション事業への展開を表明した。ソリューション事業とは、いわゆるBtoBの、法人相手の事業ということだ。具体的には、同社のサービスや教材について、法人から売却収入やロイヤリティ収入を上げるというものだ。

具体的商材の1つは、くぼたのうけんだ。同社はこども教室を全国で展開する講談社パルに対して、くぼたのうけんのノウハウなどの提供を開始した。講談社パルはこども教室を全国で約200教室展開している。同社は売上高に応じたロイヤリティ収入を得るという収益モデルだ。

また、前述のデキタスは、既に複数のスイミングクラブに対して販売されている。同社から相手先法人に対しては、1アカウント当たり一定額で販売され、導入企業が消費者に販売する金額等は自由に設定できる形となっている。したがって導入した企業は営利事業として独立した商材として販売することや、スイミングとのセット割引での販売など、様々な料金形態で提供することが可能となっている。

さらに、同社が開発した電子黒板Active Loopも高等学校などから注目を集めている。講師のレベルに左右されずに一定の水準の授業を行うことができる点などが高い評価を受けている。既に高校などに売り込みをかけており、一部では本格的な商談に発展しているもようだ。

同社のソリューション事業がどの程度の事業規模になるのか、あるいは同社が目指す水準がどこかなどはまだ明らかにされていない。次期中期経営計画の中では事業計画に織り込まれ、事業規模についても同社の計画などが示されるのではないかと弊社ではみている。弊社では、上で紹介した商材以外にも、ソリューション事業で展開可能な商材やノウハウを多数有しているのではないかとみている。自社との競合可能性なども考慮しながら慎重に展開すべきものも多いと考えられるが、一定規模の事業に成長する可能性があるとみて、今後に注目していきたいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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