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4684 オービック

東証P
21,555円
前日比
+435
+2.06%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
34.8 5.14 1.39 10.59
時価総額 21,469億円
比較される銘柄
野村総研, 
NTTデータ, 
SCSK
決算発表予定日

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SI Research Memo(3):「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」(2)


■事業概要

3. ERP・AI事業
ERP・AI事業では完全Web型ERPパッケージ「GRANDIT」の開発、導入販売を行っている。「GRANDIT」は13社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、システムインテグレータ<3826>は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。「GRANDIT」の顧客ターゲットは年商数百億円規模の中堅企業から最近は大企業向けの実績も増え始めており、導入社数はコンソーシアム全体で1,000社超まで拡大している。「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、また、スマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であれば、どこでもシステムの利用が可能となる。また、13社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に生かされるため、機能面での競争力も高い。2018年にリリースした最新版の「GRANDIT3.0」では、新たにRPAもラインナップに追加するなど日々進化を続けている。

同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムの中でトップの実績を誇っており、2016年、2017年と2年連続で販売実績No.1の企業に与えられる「GRANDIT AWARD Prime Partner of the Year」を受賞している(累計5回受賞)。同社の優位性は、「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」を、ソフトウェア業界向けには「OBPM」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」などを自社開発するなど、幅広いソリューションに対応できる開発力があることに加えて、RPA、AIと組み合わせた業務自動化提案力を持つこと、AWSやMicrosoft Azure等のパブリッククラウドベースでのインテグレーションサービスに対応可能なことなどが挙げられる。

2018年の国内ERP市場は前年比4.4%増の1,123億円になったと見られる。大企業を中心に基幹システムの再構築が進んでおり、2019年以降も1ケタ台の安定成長が見込まれている。ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けが進んでおり、大企業向けではSAP(エスエイピー<SAP>)やOracle(オラクル<ORCL>)が強い。同社の顧客対象は従来、中堅企業向けが中心で競合品は富士通<6702>の「GLOVIA」やオービック<4684>の「OBIC7」などであったが、ここ最近は顧客ニーズの多様化に伴い受注案件も1件当たり3?5億円程度と大型化をする傾向にある。売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概には言えないが平均すると20%台となり、営業利益率では8%前後で推移している。また、ストック売上比率は20%強の水準となっている。

また、AI事業としては米Work FusionのRPAツール「RPA Express」の販売代理店となり、ERPビジネスの補完ツールとして拡販しているほか、自社開発したディープラーニング異常検知システム「AISI∀-AD(Anomaly Detection)」の販売を2018年10月より開始している。「AISI∀-AD」は従来、人が目視検査していた工程をディープラーニング技術を使って自動化するシステムで、ディープラーニングは学習に最適な環境が整備されているMicrosoftのAzureクラウドを利用し、異常検知処理は高速リアルタイムに判定できるエッジコンピュータを用いるシステム構成となっている。検査対象物や要求精度が顧客によって異なるため、個々の案件ごとに仕様を固めていく必要があり、現在は本格運用に向けて見込み客と個別に実証実験を行い、効果測定を進めている段階にある。システム導入に当たって、カメラやコンピュータ等のハードウェアについてはパートナー企業が販売し、同社は「AISI∀-AD」の実証試験にかかる費用のほか、導入・運用サポート料を売上計上していくことになる。導入料金は1ライン当たり500万円程度を目安としている。

4. その他
その他の事業には、新規事業が含まれる。既に売上に貢献しているサービスとしては、2018年1月にリリースしたプログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」がある。プログラミング言語に依存しない共通スキルであるアルゴリズム力を問う問題を難易度別(6段階)に組み合わせてオンラインで出題・採点し、受験者のスキルレベルを可視化するサービスとなる。企業における技術者採用時のスクリーニングや社員向け教育研修ツールとして、また、外注先企業を選定する際のスキルチェック用としての利用を見込んでいる。多言語に対応していることから、外国人エンジニアの採用やオフショア企業選定の際にも活用することができる。2019年8月時点の導入社数は約70社(学校含む)と順調に拡大している。

料金プランは、従量制と年間契約の定額制に分かれている。定額制で一般企業の場合(標準プラン)、年間基本料30万円と利用人数に応じて年間利用料が付加される(学校向けは標準プランの1割で提供)。プログラミングスキル判定サービスの競合としては、(株)ギブリーの「track(トラック)」がある。同社サービスとの違いは、カバーする範囲が上流の設計分野からプログラミング分野まで広範囲にわたり、サービス料金も基本料金で月額5万円+利用IDによる従量課金とやや高めの設定となっている点が挙げられる。手軽にエンジニアのプログラミングに関するスキルチェックを行いたい場合は、同社サービスの方が使い勝手が良いと思われる。

なお、同社は「TOPSIC」の認知度向上も兼ねて、2018年から「TOPSIC」を用いた企業・学校対抗プログラミングバトル「PG BATTLE」を開催している。1チーム3人制で、出題された問題を解くプログラムを90分間に4つ書いて、オンライン提出するというもので、3人の合計点数と所要時間を競う。第1回大会は企業169チーム、学生91チームが参加したが、2019年秋に開催された第2回大会では企業251チーム、学生193チームと参加数が大幅に増加し盛況に終わった。2020年以降も規模を大きくしながら大会を継続し、「TOPSIC」の認知度もさらに広めていく考えだ。

その他、今後サービス化を予定している「AISI∀-CL(Company List)」の開発費も含まれている。「AISI∀-CL」はインターネット上に開設されている約480万社に上る企業のホームページを24時間クローリングし、スクレイピング(情報抽出)した会社概要や製品・サービス等の企業ページの文章をAIの自然言語理解技術で読み取り、業態や業種などを自動でタグ付けするサービスとなる。同サービスの提供により従来型の企業情報提供サービスよりも、低コストで鮮度の高い情報収集が可能となる。企業のマーケティング部門や営業部門、資材調達部門などでの需要が見込まれるが、リリース時期は未定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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