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4668 明光ネット

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22:05 04/19
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明光ネット Research Memo(5):明光義塾の生徒数回復遅れにより2018年8月期業績を下方修正


■今後の見通し

1. 2018年8期の業績見通し
明光ネットワークジャパン<4668>は第3四半期決算発表と同時に、2018年8月期の連結業績の下方修正を発表した。売上高は前期比1.4%減の19,120百万円、営業利益は同51.1%減の1,280百万円、経常利益は同50.5%減の1,390百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同64.3%減の730百万円を見込む。期初計画比では売上高で6.3%、営業利益で36.4%の下方修正となる。

修正要因は、当初下期からの回復を見込んでいた明光義塾事業の生徒数が回復せず、第4四半期も前年割れが続きそうなこと、また、予備校事業においても2018年春の新規入学者数が想定を下回ったことで、売上高が当初計画を下回る見込みとなったことによる。その他事業についてはほぼ期初計画どおりに推移する見通しとなっている。

なお、当第4四半期よりケイラインの業績が連結に組み込まれることになる。ケイラインは東京都、神奈川県、静岡県、愛知県で明光義塾を42教室運営しており、2017年8月期は売上高で1,267百万円、営業損失で120百万円となっている。従来は、明光義塾FC事業でロイヤルティ売上高等を計上してきたが、MAXISと同様に明光義塾直営事業として組み込まれることになる。


今後は生徒数の回復に向け「MEIKO式コーチング」「明光eポ」「新コンテンツの拡充」を差別化戦略として取り組みを強化していく方針
2. 明光義塾事業の再成長施策
(1) 明光義塾事業の低迷要因と課題
同社は個別指導学習塾のパイオニアとして業界をリードし、FC展開によって教室数並びに生徒数の拡大を進めることで成長を続けてきたが、2015年8月期をピークに教室数、生徒数ともに減少に転じ、ここ最近は苦戦を強いられている。個別指導学習塾に参入する企業が増え、競合企業が多様な価格戦略やブランディング戦略、新規教室開設などで生徒を獲得していくなかで、学生やその保護者に対して明光義塾の特徴である「自立学習を通じて創造力を育む」という教育理念が上手く訴求しきれていないのが要因と考えられる。

今後に向けては明るい兆しも見え始めている。生徒当たり売上単価が直営、FC教室ともに当第3四半期から前年同期比でプラスに転じたことだ。ICTを活用した英語コンテンツ等の拡充を進めたことが要因とみられ、今後もこれら新コンテンツの拡充を推進することで、売上単価の上昇が見込まれる。また、2013年8月期以降減少傾向が続いていた小学生部門が、2018年8月期は5期ぶりに増加に転じる見込みであることも明るい材料となる。学習コンテンツを拡充してきたことが生徒数の増加につながっているようで、小学生向け「明光みらい英語」も好評で、小学生の生徒数増加、並びに売上単価の上昇に寄与していると見られる。

(2) 再成長に向けた重点施策
同社は2019年8月期以降の再成長に向けて、まずは教室当たり生徒数の回復に取り組んでいく方針だ。激しい競争が続くなかで、差別化戦略として2017年秋以降、取り組んでいるのが新学習指導法となる「MEIKO式コーチング」と「明光eポ」の導入、並びにICTを活用した学習コンテンツの拡充となる。また、Webマーケティングの強化やサービス品質向上のためのコンタクトセンターの強化も同時に進めている。

「MEIKO式コーチング」とは、コーチングの手法を取り入れた新しい学習指導メソッドで、従来の「自立学習」という教育理念をさらに進化させたものとなる。授業の中で講師は生徒にヒントを出し、生徒が自分の力で問題を解き、分かったことを自らの言葉で講師に説明することで、学習の理解力や表現力をより高める学習指導法となる。「MEIKO式コーチング」を進めていくうえでのツールとして「振り返りノート」と「明光eポ」も活用していく。「振り返りノート」ではその日に学習した内容や、今後の学習計画などを生徒自らが記入する。また、「明光eポ」は生徒の学習記録などをタブレットPCによってデジタルに蓄積していくプラットフォームで、保護者もスマートフォンで子どもの学習記録や学力の向上具合などをタイムリーに確認できることが特徴となっている。従来は、塾での学習状況などは定期的に行う面談でしか確認できなかった。「MEIKO式コーチング」を行うことで学力が向上し、結果的に顧客満足度の向上と生徒数の回復につながるものと弊社では考えている。

なお、「MEIKO式コーチング」と「明光eポ」は2017年秋から直営教室で導入を開始し、2018年4月以降、FC教室でも導入を開始、2019年春までに全教室での導入を予定している。

ICTを活用した新たな学習コンテンツとして好評を得ている小学生向け「明光みらい英語」の特徴は、英語によるコミュニケーション力を身につけるために必要な「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの要素を取り入れ、タブレット端末を使って楽しく学ぶことができることにある。2020年度から導入される新学習指導要領では英語教育について、従来の「読む」「書く」など文法中心の授業に加えて、「聞く」「話す」といったコミュニケーション力を育成する授業も重視されるようになるため、今後の更なる受講者数の増加が期待される。また、中学生向けの英語コンテンツである「明光の中学リスニング」についても同様のことが言える。そのほか、ICTを活用した学習コンテンツとしては中学生向けオンライン教材「理社クイッパー」や高校生向け映像学習「MEIKO MUSE」なども従前から提供しており、今後の生徒当たり売上単価の上昇に寄与するものと予想される。

(3) 2019年8月期の業績見通しについて
2019年8月期の業績についても、明光義塾事業の生徒数がどの程度回復できるかがカギを握ることに変わりない。また、生徒数が横ばいにとどまったとしても、生徒当たり売上単価の上昇により、明光義塾事業の売上高は4期ぶりの増収に転じる可能性が高いと弊社では見ている。また、2018年8月期に実施している広告宣伝費や販促費等の戦略的投資を2019年8月期はどの程度投下するかについては未定のため、その水準次第で利益も変わってくると見られる。

予備校事業については2018年春の新入生が低水準にとどまったことから、2019年8月期の業績も上期までは低水準が続くことになる。一方、その他事業についてはキッズ事業や日本語学校事業などがけん引役となり、増収増益が続くものと予想される。

■株主還元策

明光ネットワークジャパン<4668>は1997年4月のJASDAQ上場以降、連続増配を続けており、また、株主優待制度も導入するなど、株主還元に積極的な企業として位置付けられる。配当政策については期初配当予想に変わりはなく、2018年8月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の42.0円(配当性向152.8%)と20期連続の増配を予定している。

株主優待制度については、8月末の株主に対して保有株数、継続保有期間に応じて1,000~5,000円相当のQUOカードを贈呈している。100株保有で保有期間が3年未満の株主は1,000円相当となるが、3年間継続保有すれば3,000円相当となる。株主優待も含めた単元当たりの投資利回りは、現在の株価水準(8月6日時点で1,121円)で5~7%の水準となる。また、資本政策については自己資本の充実を図るとともに、株価水準や財務状況などを勘案しながら柔軟かつ機動的に自己株式の取得も検討していく方針としている。


■情報セキュリティ対策
同社は学習塾を運営するとともに、独自のFCシステムに基づき加盟社と契約を締結し、継続的な教室運営指導を行っている。教室運営の過程において、生徒、保護者及び講師等の個人情報を入手するが、これら個人情報の管理については「個人情報保護規定」に則り、「リスク管理委員会」による情報漏えい未然防止策の検討、施策の運用状況等の検証を行い、個人情報保護対策に努めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《TN》

 提供:フィスコ

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