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4633 サカタインクス

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サカタインクス Research Memo(4):2018年12月期第2四半期累計は数量増だが原材料価格上昇で減益


■業績動向

1. 2018年12月期第2四半期累計連結業績概要
2018年8月10日発表したサカタインクス<4633>の2018年12月期第2四半期累計(1月-6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.2%増の78,938百万円、営業利益が同41.2%減の2,680百万円、経常利益が同40.2%減の3,540百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同43.6%減の2,609百万円だった。

計画値(2018年2月14日公表、売上高80,400百万円、営業利益3,300百万円、経常利益4,300百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益3,000百万円)との比較で見ると、売上高は1,462百万円、営業利益は620百万円、経常利益は760百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は391百万円、それぞれ下回って着地した。

拡販戦略の推進で、印刷インキ事業においてインキ販売数量が5%増(日本が横ばい、アジアが10%増、北米が6%増、欧州が5%増)と順調に増加し、機能性材料事業も順調に伸長したが、為替換算の影響、原材料価格(特に酸化チタン)の想定以上の急激な上昇の影響で、全体として売上高、利益とも計画を下回り、増収ながら大幅減益だった。

売上総利益は前年同期比で10.4%減少し、売上総利益率は21.1%で同2.9ポイント低下した。販管費は同0.3%減少し、販管費比率は17.7%で同0.4ポイント低下した。営業外収益では持分法投資利益826百万円(前年同期は863百万円)を計上し、営業外費用では為替差損212百万円を計上した。特別利益では前年同期に計上した投資有価証券売却益1,117百万円がはく落した。

なお為替換算影響排除後ベースでは、売上高は3.0%増収、営業利益は39.9%減益、経常利益は39.3%減益、親会社株主に帰属する四半期純利益は42.6%減益だった。為替の期中平均レートは1米ドル=108円68銭で、前年同期の1米ドル=112円37銭に対して3円69銭の米ドル安・円高だった。為替換算影響額は売上高で669百万円、営業利益で58百万円、経常利益で53百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で48百万円のマイナス要因だった。売上高は為替影響を除くとほぼ計画水準だった。

また前年同期との比較による要因別増減分析によると、売上高16億円増加の要因はインキ数量31億円、機能性材料5億円、その他3億円、減収要因はインキ単価下落9億円、機材7億円、為替影響6億円、調整額1億円だった。また営業利益18.7億円減少の要因はインキ数量13.7億円、機能性材料0.9億円、調整額0.3億円、減益要因はインキコスト増加21.8億円、インキ単価下落9.3億円、機材1.7億円、為替影響0.5億円だった。インキ数量はパッケージ関連中心に増加した。

2. セグメント別動向
セグメント別(連結調整前、為替影響排除前、前年同期比)の動向は以下のとおりである。

印刷インキ・機材(日本)は、売上高が3.2%減の26,422百万円、営業利益が70.6%減の356百万円だった。売上はパッケージ関連で食品・飲料用途グラビアインキが安定的に推移したが、フレキソインキが天候不順の影響を受けたことに加えて、新聞インキ・オフセットインキ及び機材(印刷製版用材料、印刷製版関連機器)が需要低迷で低調に推移し、全体として減収だった。利益は原材料価格上昇と販売価格改定遅れで大幅減益だった。

印刷インキ(アジア)は、売上高が6.7%増の15,499百万円、営業利益が37.1%減の699百万円だった。売上は拡販戦略の進展で販売数量が増加し、為替換算影響を吸収して増収だった。インドネシア・インド・ベトナムにおいてパッケージ用グラビアインキ、インド・中国において新聞・オフセットインキの販売数量が増加した。利益は原材料価格上昇と販売価格改定遅れで大幅減益だった。

印刷インキ(北米)は、売上高が1.9%増の22,114百万円、営業利益が38.1%減の625百万円だった。売上は、オフセットインキが印刷市場縮小の影響で減少したが、パッケージ用のフレキソインキ、グラビアインキ、及びメタルインキが好調に推移し、販売数量増加効果で為替換算影響を吸収して増収だった。利益は、販売数量増加や高付加価値製品拡販がプラス要因だったが、原材料価格上昇やインキ単価下落による利益率の低下、拡販に伴う物流費・人件費の増加などで減益だった。

印刷インキ(欧州)は、売上高が5.9%増の4,656百万円、営業利益が215百万円の赤字(前年同期は142百万円の黒字)だった。売上はグラビアインキ、フレキソインキ、及びメタルインキの販売数量が増加し、為替の現地通貨高・円安も寄与して増収だった。パッケージ用を中心とする拡販戦略の成果で、第2四半期(4月-6月)から販売が上向いた。利益は、販売数量増加がプラス要因だったが、原材料価格上昇やインキ単価下落による利益率の低下、拡販に伴う人件費の増加などで赤字だった。

機能性材料は、売上高が11.4%増の5,987百万円、営業利益が17.3%増の702百万円だった。インクジェットインキ、カラーフィルター用顔料分散液、トナーが順調に伸長して増収増益だった。その他は売上高が4.9%増の8,106百万円、営業利益が5.4%減の176百万円だった。

3. 財務状況
財務面では、2017年12月期末との比較で、2018年12月期第2四半期末の長短借入金合計が7億円増加、自己資本比率が0.6ポイント低下、1株当たり純資産(BPS)が16円15銭減少したが、特にネガティブ要因とはならない。自己資本比率はその他の包括利益累計額が為替換算調整勘定などで減少したため0.6ポイント低下したが、利益剰余金の積み上げで株主資本が増加して50%台を維持している。財務健全性に問題はないだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SF》

 提供:フィスコ

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