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4596 窪田製薬HD

東証G
69円
前日比
-1
-1.43%
PTS
68.6円
21:17 04/24
業績
単位
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PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 38.9億円
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決算発表予定日

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窪田製薬HD Research Memo(1):「PBOS」は最終仕様がほぼ固まり、2020年の販売開始を目指す


■要約

窪田製薬ホールディングス<4596>は革新的な眼疾患治療薬及び医療デバイスの開発を進める米アキュセラ・インクを子会社に持つ持株会社で、2016年12月に東証マザーズに上場した。現在は、加齢黄斑変性症や糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患患者向けの在宅遠隔医療モニタリング機器「PBOS (Patient Based Ophtalmology Suite)」と、スターガルト病及び網膜色素変性を適応対象とした治療薬候補品の3つのパイプラインを中心に開発を進めている。また、2019年3月にNASA(米航空宇宙局)と、宇宙飛行士の眼疾患診断用小型OCT(光干渉断層計)※に関する開発受託契約を締結し、開発をスタートしている。

※OCT(Optical Coherence Tomography)は赤外線を利用して網膜の断面を精密に撮影する検査機器のことで、緑内障や加齢黄斑変性症等の網膜疾患患者の診断用として使用される。


1. 開発パイプラインの進捗状況
主要開発パイプラインのうち、最も早く商用化が見込まれる「PBOS」については、2020年内の米国での販売開始に向けたマイルストーンを明らかにしている。製品仕様に関しては患者や医師の意見等も参考にして、客観的データである網膜の厚み測定機能に加えて、主観的データとなる視力測定機能も加えることにした。このため、視力測定アプリの510(k)※認証取得に向けた臨床試験を2019年後半に行い、2020年中頃を目途に網膜厚測定ユニットと視力測定アプリを合わせたシステムでの510(k)認証取得、及び2020年内の販売開始を目指していく。販売戦略に関しては、今後検討を重ね固めていくことにしている。米国での事業が軌道に乗ればその他地域への展開も進めていく計画だ。網膜疾患患者は世界で1億人を超え、今後も高齢化の進展によって患者数は増加の一途をたどると見られており、眼科疾患における革新的診断ソリューションとして大きく成長する可能性がある。

※510(k)申請:市販前届出制度。米国内で医療機器を販売する際に、既に販売されている類似製品があれば安全性や有効性において同等以上であることを確認できるデータをFDA(米国食品医薬品局)に提出することで、販売の許認可が得られる制度。申請後、FDAが90日以内に販売承認の可否判断を行う(質問・追加データ要請等の時間を除く)。


スターガルト病※を適応症とするエミクススタトの臨床第3相試験(被験者数約160名)については、2018年11月より欧米を中心に約11ヶ国で開始されているが、稀少疾患ということもあり登録の進捗状況がやや遅れ気味となっているようで、当初想定していた2019年内の被験者登録終了及び2021年内の試験終了については1年先送りされそうだ。同様に網膜色素変性を対象とした遺伝子治療についても、導入ウイルスベクターの改良を進めている段階で、非臨床試験開始の開始時期は2021年、IND(臨床試験用の新医薬品)申請時期は2022年と現在の開発状況を踏まえて当初計画から1年先送りしている。

※スターガルト病:遺伝性の若年性黄斑変性で、症状の進行とともに視力の低下や色覚障害を引き起こし、有効な治療法がいまだ確立されていない稀少疾患。患者数は欧米、日本で合計約15万人弱と少ない。


なお、NASAとの宇宙飛行士向けの小型OCT開発プロジェクトについては、複数の協力企業とグローバルなバーチャルチームを組み、2022-2023年頃の完成を目指している。開発受託契約を締結していることから、開発費相当分の事業収益が2020年12月期以降、計上される見込みとなっている。損益面での直接的な影響は軽微なものの、NASAとの共同開発を開始したことによるレピュテーション効果が期待される。

2. 業績動向
2019年12月期第2四半期累計の連結業績は、事業収益の計上がなく、営業損失で1,530百万円(前年同期は1,488百万円の損失)となった。人件費を中心に一般管理費が前年同期比133百万円減少したが、臨床試験費用を中心に研究開発費が同175百万円増加した。2019年12月期の営業損失は3,200百万円(前期は3,273百万円の損失)を見込んでおり、予定どおりの進捗となっている。

■Key Points
・在宅・遠隔医療モニタリング機器、スターガルト病及び網膜色素変性の治療薬開発に加えて、NASA向けに小型OCTの開発プロジェクトをスタート
・「PBOS」は眼疾患領域における革新的な遠隔診断ソリューションとなる可能性
・開発ステージのため損失が続くものの、2019年12月期は会社計画どおりの進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

 提供:フィスコ

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