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2015年12月25日18時05分

アキュセラ Research Memo(4):エミクススタトは眼疾患治療薬の中で最大規模に成長する可能性も


■エミクススタトの開発動向と成長性について

(3)「エミクススタト」の開発スケジュールと成長性について

現在、「エミクススタト」は臨床第2b/3相試験の最終段階にある。同試験では合計508症例で2年間の投与期間をかけて、その有効性と安全性をプラセボ投与群と比較して実施している。2016年3月に最終投与被験者の投与期間が完了し、その後、データの収集・解析を行って、2016年夏にトップラインデータを発表する予定となっている。

現段階で安全性に関して問題となる事象は上がっていないため、臨床第2a相試験と同様、良好な結果が出るかどうかが注目ポイントとなる。この結果をもとに、もう一本の臨床第3相試験の必要性について検討に入る見込みだ。データ結果の状況にもよるが、新たな臨床試験では投与期間をFDAが定める最短の1年に設定することも考えられる。臨床第2a相試験では統計的有意差とは言えないまでも3ヶ月でプラセボ群と20%の差があったことが傾向として示されたためだ。臨床第2b/3相試験では被験者の登録開始から完了まで約1年と、注射剤に比べ約半分の期間で被験者登録を終えることができたのは、侵襲性が低い飲み薬であったからだと考えられる。次の臨床第3相試験は早期に登録が完了する可能性が高い。臨床試験で良好な結果が出ていれば、希望する患者が増えることが容易に想像されるためだ。

このため、2016年内に臨床試験が開始されたとすれば、最短で2018年前半には臨床試験が完了し、2019年に上市される可能性もあると弊社では考えている。

なお、臨床第2b/3相試験では副次的評価項目として、脈絡膜新生血管に対する効果についても調べている。新生血管の抑制効果において良好な結果が出れば、「エミクススタト」の市場価値はさらに上昇することが予想される。また、抗VEGF薬による治療を行うウェット型患者に、地図状萎縮が進行している症例の報告も出ている。このため、ウェット型加齢黄斑変性でも地図状萎縮の進行を抑制する可能性が期待される「エミクススタト」を併用する価値は十分あるとみられる。アキュセラ・インク<4589>は副次的評価項目にウェット型加齢黄斑変性に対する効果を含んでいることから、将来的にはウェット型への適応の可能性も視野に入れている。

「エミクススタト」の利点として、経口剤であるという点も注目される。前述したように、競合品やウェット型の抗VEGF治療薬は眼球注射であり、患者負担が大きい。経口剤であれば自宅で服用できることから、患者にとっても受け入れやすい治療法となる。地理的、時間的な制約で治療を受けられないという物理的な問題解決にもつながると期待される。眼球注射ではなく経口剤であることからより多くの患者が治療を受けることが可能となり、将来的には軽度の加齢黄斑変性患者に対しても、病気の進行を抑制する根本療法としての需要も期待される。手術や注射などの場合は医者のコストもかかるため、医療財政の負担軽減につながるといったメリットが経口剤にはある。

現在の加齢黄斑変性治療薬はウェット型のみで年間6,500百万ドル以上の市場※となっているが、患者数としては同規模となる地図状萎縮を伴うドライ型治療薬として、また、ウェット型での併用や、軽度の加齢黄斑変性患向けにも対象が広がる可能性があることを考えれば、「エミクススタト」の売上高は将来的に10,000百万ドルを超え、眼疾患治療薬のなかで最大規模の医薬品に成長することも考えられる。
※visiongain, Macular Degeneration (AMD) and Other Retical Diseases: World Drug Industry and Market 2015 - 2025, p31

(4)販売パートナー契約について

同社は臨床第2b/3相試験のデータ結果をもって、欧州地域での販売パートナー契約の交渉を開始する予定となっている。現在、唯一のパートナーである大塚製薬とは、北米地域において共同販売し、アジア太平洋、中東及び北アフリカの一部は大塚製薬に販売権を供与している。欧州、南米、及びアフリカにおける大半の地域は同社が販売権を持っており、今後同エリアにて順次、販売パートナー契約を進めていく方針となっている。すでに複数の大手製薬企業から引き合いが来ており、臨床試験のデータ結果が良ければ、さらに契約を希望する企業が増えることが予想される。引き合いのある企業からのすべての提案を検討するとなると、契約の締結時期としては早くても2017年に入ってからになると弊社ではみている。

現在の「エミクススタト」の研究開発費のうち、同社が負担する開発費については大塚製薬から資金供与を受けている格好(提携からの収益として計上)となっており、40百万ドルを超える費用の半分は商業化後に同社が得られる収益から、長期的に返済していく契約となっている。

(5)その他のパイプラインについて

その他のパイプラインについても開発が進んでいる。2016年には「エミクススタト」を糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫を適応疾患とする臨床試験を検討している。同疾患は、高血糖により網膜の毛細血管が詰まりやすくなり、その結果、新生血管が増殖、出血などにより網膜症や黄斑浮腫を発症することが研究からわかっており、新生血管の発現を抑制することができれば網膜症や黄斑浮腫の進行を抑制できる可能性がある。

糖尿病性網膜症及び糖尿病性黄斑浮腫の患者は全世界で1億233万人、うち米国で1,021万人となっており、加齢黄斑変性とほぼ規模は変わらないが、2019年には糖尿病患者の増加もあって世界で1億1,486万人、米国で1,105万人になると予測されており※1、加齢黄斑変性に次ぐ市場規模であることに変わりない。また、希少疾患であるスターガード病※2に関しても臨床試験を検討している。
※1 Market Scope, 2014 Report on the Retinal Pharma & Biotech Market, p74
※2眼球内部の網膜にある黄斑部が先天性・遺伝性に起因して変性を起こし、視力低下・失明に至る病気

大塚製薬が緑内障を適応疾患として開発し、同社と共同開発契約を結んでいる「OPA-6566」については2012年に臨床第1/2相試験を終了したが、現在は開発戦略を再検討している段階にある。今後、最適な開発方針を決定していくとしている。そのほかにも、同社は今後眼疾患領域において新たなパイプラインを発表する予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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