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4588 オンコリス

東証G
717円
前日比
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PTS
715円
22:23 04/23
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
10.26
時価総額 150億円
決算発表予定日

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オンコリスバイ Research Memo(6):B型肝炎治療薬で2018年にも臨床試験に進む可能性


■開発パイプラインの動向

3. その他パイプライン
(1) OBP-AI-004
2015年7月に鹿児島大学と共同研究契約を締結し、B型肝炎ウイルス(HBV)の治療薬創製に関する共同研究を進めてきた。現在は、試験管レベルで効果が確認された候補化合物が3つに絞り込まれており、同化合物を用いてネズミによる前臨床試験(1クール10週間)を2017年中に開始する予定となっている。安全性や有効性が確認されれば2018年にも第1相臨床試験を米国で始めたい考えだ。

B型肝炎については、治療薬を投与してもウイルスの遺伝子が残るため完治することはなく、再活性化した場合の治療薬はまだない。このため、再活性化すれば時間とともに肝硬変や肝臓がんに症状が進行することになる。オンコリスバイオファーマ<4588>では、再活性化の原因が治療薬投与後でもHBs抗原※の量がほとんど変らないことにあると考えている。OBP-AI-004はこのHBs抗原の量を半分程度に低減する効果が試験管レベルで確認されており、HBs抗原の量が低減すれば再活性化リスクも大幅に低下するものと見ている。

※HBVの外殻を構成するタンパク質。


B型肝炎の患者数は世界で3.5億人、うち70%がアジア太平洋地域に分布しており、国内の患者数は150万人と言われている。B型肝炎治療薬の市場規模は2021年には世界で4,200億円程度まで成長するとみられているだけに、開発が進めば市場の注目度も一気に高まるものと期待される。

(2) OBP-801
OBP-801は分子標的抗がん剤で、幅広いがん種に対する治療効果が期待されている。2015年5月より、米国で他の治療法に抵抗性を示す進行性の固形がん患者を対象とした第1相臨床試験が進んでおり、現在は血中濃度解析を行っている段階にある。安全性や有効性が認められれば、チェックポイント阻害剤との併用による臨床試験を進めていくことになる。

また、国内でも2016年8月に京都府立医科大学と共同研究契約を締結し、緑内障手術後の結膜組織の線維化(瘢痕形成)に対する抑制効果について動物実験が行われている。結膜組織の線維化の進行が眼圧の上昇につながり、緑内障の症状を再び悪化させる原因になると見ているためだ。既存の細胞増殖阻害薬では必ずしも十分な効果が得られておらず、線維化に対する高い抑制効果のある薬剤の開発が医療現場では求められている。京都府立医科大学では2017年内に動物実験を終えて、結果が良好であれば2018年にも医師主導の臨床試験に進む可能性がある。

(3) ジカ熱ワクチン
2017年3月に米ワシントン大学発のウイルス治療ベンチャー企業であるプレシジョンとの間で、資本提携契約を締結した。具体的には、50万ドル(議決権比率約14%)を出資し、プレシジョンが開発する全てのプロジェクトに関して、アジア地域での第一拒否権を獲得したことになる。また、プレシジョンに取締役1名を派遣している。

今回の出資の目的は、世界トップクラスのアデノウイルス改変技術を有するプレシジョンとの提携により、同社が国内外で推進するテロメライシンを始めとする遺伝子改変アデノウイルスを用いたがんのウイルス療法に加え、治療法のない熱帯病ワクチンを重症感染症パイプラインに追加し、将来的なビジネスチャンスの拡大につなげていくことにある。

プレシジョンでは現在、ジカウイルス感染症ワクチンの開発を進めており、2018年に前臨床試験、2019年に第1相臨床試験の開始を目指している。ジカ熱は主に中南米やアフリカ、南アジアなど84の国と地域で感染が報告されている。主にジカウイルスを媒介する蚊に刺されると感染するが、症状は軽度の発熱などにとどまるため感染が気づきにくい。ただ、妊婦が感染すると新生児が先天性小頭症になる可能性が高まるとの研究報告があり、妊娠の可能性のある女性はワクチン接種が必要とされている。大手製薬企業も予防ワクチンを開発しているが、副作用があるほかデング熱に罹りやすくなるといったデメリットが指摘されている。プレシジョンの開発品はそういったデメリットがないため、開発に成功すれば大手製薬企業にライセンスアウトできるものと予想される。同社にとってはアジア地域における販売権に相当するライセンス収入が入ることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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