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4563 アンジェス

東証G
50円
前日比
-1
-1.96%
PTS
50.4円
23:52 04/19
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.39 4.21
時価総額 101億円
決算発表予定日

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アンジェス Research Memo(4):2018年12期は研究開発費の減少により営業損失が縮小


(3) CIN治療ワクチン(参考)
韓国バイオリーダースから導入したCIN治療ワクチン(子宮頸がん前がん病変治療ワクチン)については、2016年12月に森下仁丹に国内外の独占的開発・製造・販売権の再許諾を行い、現在は森下仁丹によって開発が進められている。同ワクチンの開発に成功し、上市されれば、販売額に応じた一定のロイヤリティ収入を同社が受け取ることになる。

■業績動向

1. 2018年12月期第1四半期の業績概要
アンジェス<4563>の2018年12月期第1四半期の連結業績は、事業収益が前年同期比11.4%減の73百万円、営業損失が590百万円(前年同期は1,035百万円の損失)、経常損失が587百万円(同1,030百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が537百万円(同1,511百万円の損失)となり、会社計画どおりの進捗となった。

事業収益については、「ナグラザイムR」の売上高が前年同期比で9百万円減少した。事業費用の内訳を見ると、売上原価が「ナグラザイムR」の販売減に伴い前年同期比4百万円減少したほか、研究開発費も同472百万円減の402百万円となった。主にHGF遺伝子治療薬の旧国際共同第3相臨床試験にかかる費用※が減少したことによる。販管費については前年同期比で22百万円増加の225百万円となった。法人事業税の資本割額が増加したことにより、租税公課が20百万円増加したことなどによる。この結果、営業損失額は前年同期比で445百万円改善し、また、前年同期に特別損失として計上した投資有価証券評価損476百万円がなくなったこともあり、四半期純損失については974百万円の改善となった。

※海外で2016年まで実施していた国際共同第3相臨床試験についての費用で、臨床試験は既に終わっているが、その後の施設の閉鎖費用や患者のフォローアップ費用等が残っている。


2. 2018年12月期以降の業績見通し
2018年12月期の業績は、事業収益で前期比横ばいの365百万円、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失についてはいずれも2,500百万円と前期比で損失縮小を見込んでいる。事業収益については「ナグラザイムR」の売上見込みだけを計画に入れている。事業費用については、研究開発費が引き続き大きく減少する見込み。HGF遺伝子治療薬の旧国際共同第3相臨床試験の中止に伴う関連費用が減少するほか、椎間板性腰痛症やDNA高血圧ワクチンの臨床試験開始に伴う申請・準備費用が減少する。また、販管費についても引き続き抑制方針となっている。

なお、2018年12月期は国内の重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療薬の「条件及び期限付承認」が下りて、田辺三菱製薬からマイルストーン収入が入る可能性はあるものの、金額的には軽微であり大勢に影響はないと見られる。


第3者割当による新株予約権の行使により、当面の事業資金を確保
3. 財務状況と新株予約権発行について
2018年12月期第1四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比49百万円増加の4,013百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では新株予約権の行使が進んだことで現預金が307百万円増加した一方、未収消費税等が80百万円減少したほか、原材料の評価替えに伴い原材料及び貯蔵品が60百万円減少した。固定資産では保有有価証券の売却及び評価額の下落に伴い投資有価証券が141百万円減少し、東京支社の移転に伴う敷金及び保証金が50百万円増加した。

負債合計は前期末比158百万円減少の183百万円となった。主に「ナグラザイムR」の仕入れ代金の支払いにより買掛金が168百万円減少した。また、純資産は前期末比207百万円増加の3,829百万円となった。新株予約権の行使に伴い資本金及び資本準備金が490百万円増加した。一方、その他有価証券評価差額金が保有有価証券の評価額下落に伴い119百万円減少したほか、親会社株主に帰属する四半期純損失537百万円を計上したことが減少要因となった。

2018年12月期第1四半期末における現預金は1,455百万円となっており、当面の事業費用については2017年9月に発行した第31回(第三者割当)新株予約権の行使に伴う資金調達で賄っていくことになる。2018年4月~5月は新株予約権の行使により1,188百万円を調達しており、5月末現在で未行使分の潜在株式数は664.02万株、仮に行使価額400円とすると残り約26億円を調達できることになる。新株予約権がすべて行使されたとすれば手元資金と合わせて約2年分の事業資金を賄えることになる。

同社では、現在進めている開発プロジェクトにおいて、早期にライセンスアウトし資金回収を進めていく方針としている。なお、同社は期間損失が続き財務面でも厳しい状況にあることから、2018年12月期第1四半期の決算短信において、継続企業の前提に関する注記を付している。


■長期ビジョン
遺伝子医薬のグローバルリーダーとなり、売上高500億円以上を目指す
同社は長期ビジョンとして2025年ビジョンを策定している。主な目標として、遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、世界で認知される遺伝子治療・核酸医薬のスペシャリストとなること、治療法のない病気の新薬を実用化すること、売上高で500億円以上を達成することの3つを掲げている。黒字化の時期は現在の開発パイプラインの進捗状況次第となるが、特に、米国での重症虚血肢治療薬の開発に成功した場合には、数十億円規模のマイルストーン収益(既に受領した契約一時金含む)が得られる見通しとなっているため、国内での承認審査の結果も含めて今後の動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

 提供:フィスコ

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