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4516 日本新薬

東証P
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時価総額 3,017億円
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ラクオリア創薬 Research Memo(6):統合失調症薬ジプラシドンは2019年承認申請、20年上市のスケジュール


■導出済みプログラムの進捗状況

4. 5-HT2A/D2拮抗薬(RQ-3/ジプラシドン)
ジプラシドンは統合失調症及び双極性障害を適応症とする医薬品で、既にファイザーから欧米を含む75の国と地域で発売済みである。ラクオリア創薬<4579>は日本国内の権利をファイザーから取得し、Meiji Seikaファルマにライセンスアウトした。Meiji Seikaファルマは2015年3月にP-III臨床試験を開始した。このP-III臨床試験は2018年中に終了する予定だ。その後必要な準備を整え、2019年中の承認申請、2020年の販売開始というスケジュールで作業が進められている。

同社の業績に対しては、新薬承認申請や上市などの節目においてマイルストンが入り、上市後は売上に応じたロイヤルティが入ることになる。日本の統合失調症の治療薬の市場規模は約1,600億円と推定されている。大塚製薬(大塚ホールディングス<4578>)のエビリファイ及び第二世代(非定型)統合失調症治療薬などが有力な地位を占めているが、ジプラシドンは既存の第二世代統合失調症治療薬と同等の効力を有しながらも、体重増加や血糖値上昇などの副作用が少ないことが特長とされており、単剤のみならずエビリファイとの併用が期待されている。市場規模と想定される用法などから考えて、年商100億円以上の医薬品に成長する可能性があるとみられる。


イオンチャネル創薬領域初のライセンスアウトを実現

5. 選択的ナトリウムチャネル遮断薬
同社は2017年12月に、同社がイオンチャネル創薬の一環で開発した選択的ナトリウムチャネル遮断薬について、マルホとの間でライセンス契約を締結した。

ナトリウムチャネルは筋肉や神経組織に存在し、痛みやかゆみなどの感覚の伝達を担っていることが知られている。同社が開発した化合物は特定のナトリウムチャネルの機能を選択的に遮断することで痛みやかゆみを緩和する治療薬となることが期待されている。

同社はイオンチャネル創薬の領域に強みを持ち、当該領域に関して他社と共同開発を行うと同時に自社でも化合物の探索を進めてきた。これまで、選択的ナトリウムチャネル遮断薬とTRPM8遮断薬の2つの化合物について特性評価を行ってきたが、今回の選択的ナトリウムチャネル遮断薬は、前臨床に移行前のアーリーステージでの導出ということになり、それだけマルホ側の期待が高いことが読み取れる。

今後は、マルホが主体となって本化合物を有効成分とする医薬品の開発を行っていくが、同社もマルホの開発を支援していくことになる。

業績インパクトとしては、ライセンス契約締結時に同社は契約一時金を受領した(2017年12月期)。今後は開発段階に応じてマイルストンを、販売開始後はロイヤルティを受け取ることになる。ただし、導出した選択的ナトリウムチャネル遮断薬の開発段階は前臨床の手前のアーリーステージにあるため、マイルストンの計上までにはかなり時間を要するとみておくべきだろう。


米国でプレシジョン・メディシンとしての新薬承認を目指して開発が進行中

6. レチノイン酸誘導体(TM-411)
同社が2017年2月に子会社化したテムリックでは、レチノイン酸誘導体(レチノイド)(化合物コード:TM-411、一般名:タミバロテン)を現在開発中だ。これは東京大学大学院薬学系研究科薬化学教室の首藤紘一(しゅどうこういち)名誉教授が創製したもので、がん領域、特に白血病を主適応症としている。既存薬に比べて化学的安定性、安全性、強い分化誘導活性などに特長がある。国内では東光薬品工業(株)が臨床試験を行い、2005年4月に「再発または難治性の急性前骨髄球性白血病(APL)」の治療薬として承認され、同年6月に「アムノレイク錠2mg」として日本新薬<4516>から発売されている。

テムリックはAPL以外の適応症での医薬品を目指して、TM-411を2004年に導入した。2014年に日本の大原薬品工業(株)に、2015年に米Syros Pharmaceuticals, Inc.(以下、Syros)に導出し、それぞれの導出先企業で臨床開発が進んでいる。Syrosは急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形成症候群(MDS)のプレシジョン・メディシン※として新薬承認を獲得することを目指している。

※プレシジョン・メディシンとは従来型の医療に対立する新しい概念で、患者個々人の遺伝子情報の違いを分析して予防や治療を行うというもの。従来型の医療や医薬品は、平均的な患者を想定してデザインされたものであり、特に抗がん剤において、ある患者群においては大変効果がある一方、その他の患者にはほとんど効果がない”という状況が起こっている。プレシジョン・メディシンはそうした問題点への1つの有効な改善策と期待されている。Syrosでは、自社開発した“Gene Control Platform”(遺伝子制御プラットフォーム)に基づき、TM-411が作用するレチノイン酸受容体(RARα)がより強く発現する全体の25%のAML/MDS患者を選別し、そのグループに対して高い効果を発揮することが期待できる新薬として開発を進めている。


Syrosは現在までにMDSを対象とした単剤投与のP-II臨床試験を終了し、AML向けの多剤併用のP-II臨床試験を継続中だ。順調に行けば2018年中にP-II臨床試験を終え、2019年からP-III臨床試験に移行できる見通しとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MW》

 提供:フィスコ

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