貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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4385 メルカリ

東証P
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時価総額 2,919億円
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GMOペパボ Research Memo(8):新サービスやminneの成長、M&Aでの事業領域拡大で継続的成長を目指す


■GMOペパボ<3633>の今後の見通し

2. 事業セグメント別の成長戦略
(1) ホスティング事業
ホスティング事業は、売上高で前期比5.3%増の4,342百万円、営業利益で同4.3%増の1,369百万円を見込む。利益率が若干低下するが、これは「ロリポップ!」の新プランとなる「マネージドクラウド」に係るプロモーション費用の増加を見込んでいるため。ただ、第2四半期までの進捗率は売上高で50.4%、営業利益で52.6%と順調に推移しており、下期も顧客単価の上昇が続きそうなことから計画を上回る業績が期待される。

「ロリポップ!」については契約件数が前期と同様、微増となるものの、引き続きスタンダードプランの契約比率上昇に伴う顧客単価アップで増収増益が続く見通し。前述したように新規契約の大半はスタンダードプラン(月額500円?)になっており、直近の顧客単価(約350円)は今後も上昇トレンドが続くものと予想される。また、「マネージドクラウド」(月額980円+従量課金)に関しては、2018年内に機能拡充を行い、2019年以降に本格的に拡販を進める予定。「マネージドクラウド」の顧客ターゲットは個人のクリエイターや中小企業等、従来よりもややヘビーユーザー層となり、既存ユーザーの乗り換えだけでなく新規顧客の獲得にもつながるものと期待される。

国内のクラウド型ホスティング市場は年率2ケタ成長が見込まれている。クラウドサービスを提供する事業者が増加していることが主因だが、同社が顧客ターゲットとする個人や中小企業なども同様の成長が続くものと予想される。ホスティング市場では仮想化サーバーによるクラウドホスティングサービスが伸びているが、同サービスを利用するに当たっては、サーバーの設定・運用などすべて契約者側で行う必要があるため、現状では専任の運用担当者を配置できる大企業向け中心のサービスとなっている。今回、同社は独自技術により運用担当者を必要としない仮想化技術を用いた低価格帯でのクラウドホスティングサービスを業界に先駆けて提供したことで、クラウドホスティングサービスのユーザー層を個人や中小企業等まで広げ、これら潜在ユーザーを新規顧客として取り込むことで成長を加速していく戦略となっている。

一方、「ムームードメイン」についても4月からの一部ドメインの値上げ効果に加えて、2018年8月からはドメイン取得の促進施策として「ムームードメイン」のサイトデザインを一新するとともに検索機能等の機能面での強化を図った。前期から取り組んでいるWordpress等オプションメニューの拡充によるクロスセルの推進により、契約件数の増加と顧客単価アップによって、継続的な収益成長を目指していく。

(2) EC支援事業
EC支援事業については「カラーミーショップ」のインシデント発生の影響により、売上高で前期比0.7%増の1,636百万円、営業利益で同5.0%減の736百万円と保守的に計画していたが、第2四半期までの進捗率は売上高で57.5%、営業利益で58.0%と想定を上回る進捗となっている。「カラーミーショップ」については前述したように、2019年春まで契約件数の減少が続く見込みだが、上位料金プランの比率上昇による顧客単価アップでカバーして通期でも増収増益が見込まれる。

2017年11月に提供を開始した新サービス「カラーミーリピート」については、インシデント発生によりプロモーション活動を控えていたものの、2018年7月時点で契約件数が300社を突破するなど、着実に顧客数が増加している。同社では随時、利用顧客からの要望をもとに機能拡充を進めており、2019年以降は積極的なプロモーション展開もあって契約件数の増加ペースが加速するものと期待される。同サービスは健康食品や化粧品、生活必需品など定期購入者が多くを占めるEC事業者向けのサービスで、定期的なメール配信等の効果的なマーケティング施策を打てる機能を付加することで、顧客の売上拡大に貢献するサービスとなる。同様のEC支援サービスとしてはテモナの「たまごリピート」や(株)PRECSの「リピスト」などが先行しているが、同社はサービスは申し込みから数時間でサービスの利用が可能なことや、必要な機能をリーズナブルな料金プランで提供するなど競合サービスとの差別化を図ることで、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のアップセルにつなげていく考えだ。

一方、クリエイター等のオリジナルグッズ作成・販売サービスの「SUZURI」については、2018年9月より新たにクリエイター支援プラットフォーム「SUZURI People」を正式公開した。クリエイターを支援するためのマイクロ・パトロン・プラットフォームで、クリエイターの創作意欲向上につながるサービスとして注目される。また、当第2四半期から「Canvath」のサービスも加わったことで「SUZURI事業部」を新設、マネジメント体制並びに開発人員の強化を図り、両サービスの強みを生かしていくことで同事業の更なる拡大を目指して行く考えだ。2018年12月期は売上高で前期比2.5倍増の5億円(うちCanvathで約2億円)、営業利益で2倍増の80百万円(うちCanvathで約20百万円)を見込む。

(3) ハンドメイド事業
ハンドメイド事業の売上高は前期比15.8%増の1,613百万円、営業損失は680百万円(前期は1,037百万円の損失)となる見通し。「minne」の流通額は前期比21.4%増の125億円を目指す。第2四半期までの進捗率は売上高で49.2%、流通額で48%とほぼ計画通りに進捗している。7月の流通額についても前年同月比で20.2%増と順調に推移しており、会社計画の達成は可能と見られる。2018年6月には「tetote」のサービスを終了し、「minne」に統合したことに伴うコスト削減効果も見込まれる。

同社ではCtoCのハンドメイドマーケットを確立するため、ここ数年、積極的な広告宣伝費を投下し※、市場の認知度を広げてきたが、流通額で年間100億円を超えてきたことで、収益化まであと一歩の所まで近づいてきたと言える。当第2四半期累計期間では広告費を抑えた中で流通額の20%成長を達成しており、今後も効果的な広告運用を継続すること、また、注文単価の上昇や出品作品の拡充を図るなどの施策を継続し、年率20%成長を目指して行く考えだ。

※「minne」の広告宣伝費は、2015年12月期1,525百万円、2016年12月期1,070百万円、2017年12月期1,180百万円。


なお、同社は2018年6月に伝統工芸品を対象とした動画ECサイト「CRAFT STORE(クラフトストア)」を運営するニューワールドに出資※した。「minne」内での共同プロモーションや一部商品の出品など、「minne」とのシナジー創出に向けた取り組みを今後進めていく計画となっている。

※出資額は11百万円、出資比率は非開示だが持分法適用関連会社に該当しない範囲での出資となっている。


CtoCのマーケットプレイスでは「メルカリ<4385>」が急成長しているが、「メルカリ」はオールジャンルの商品を対象としているのに対して、「minne」はカテゴリー特化型でスキルの高い作家によるハンドメイド作品を集めたサイトとなっている。作家の創作活動をアピールする場ともなっており、おのずと棲み分けが成されていると考えられる。こうした国内のハンドメイドマーケット市場については今後、1,000億円程度まで成長する可能性があると弊社では見ている。ハンドメイドマーケットプレイスで世界トップ企業の米Etsyの米国における流通額が2016年で19.8億ドル(110円/ドル換算で約2,100億円)、2017年で21.8億ドル(約2,400億円)と2ケタ成長が続いており、人口比で見れば日本でも1,000億円程度のポテンシャルがあるためだ。業界トップの同社で流通額がようやく100億円を超えた段階であり、成長ポテンシャルはなお大きいと言える。このため、「minne」の流通額は今後も年率2ケタ成長が続くと予想され、早ければ2020年12月期にも黒字化する可能性があると弊社では見ている。

(4) 投資戦略室の新設と情報セキュリティサービス事業の開始
同社は2018年7月に投資戦略に特化した部署「投資戦略室」を新設した。中長期における継続的な成長と事業戦略の迅速な展開を図ることが目的で、今後も既存サービスとのシナジーが図れる企業への資本出資や業務提携などを今まで以上に積極的に進めていく方針となっている。

また、同年9月には情報セキュリティサービスに特化した新事業を展開する新会社、GMOペパボガーディアンを設立している(出資比率100%)。同子会社を通じて、各種セキュリティ対策支援を行うとともに、情報セキュリティサービスを展開する企業や団体との共同研究、業務提携及びM&Aなどを積極的に行い、事業拡大を目指して行く考えだ。インターネット関連のサービスを展開する同社において、情報セキュリティ対策は経営の重要課題でもあり、自社での取り組みを強化するとともにそのノウハウを生かしてサービス展開していくものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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